- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 会計研究科(専門職大学院)
- 時間割コード
Course Code - 97017
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 監査制度論
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 春(隔・ク)/2
- A01
- 担任者名
Instructor - 松本 祥尚
- 曜限
Day/Period - 火2/金3
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
授業種別 / Teaching Types
講義(対面型)
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
本科目では、わが国で行なわれている法定監査制度を理解することを目的とする。
わが国の公認会計士ないし監査法人が専担する法定監査制度は、金融商品取引法と会社法に基づく監査制度に大別される。前者が投資意思決定支援の観点から、資本市場の流動性や公正性を確保する目的で強制されるものであり、後者が利害調整の視点から、有効なコーポレート・ガバナンスを維持する目的で強制されている。このような目的観の相違は、両法定監査生成の歴史的経緯に起因するため、目的観の相違を念頭に置きながら、両監査の歴史的変遷、意義、内容、さらには実態について理解する。その過程で、監査そのもののモニタリング・システムとしての自発的な必要性についても学習する。したがって、わが国の法改正を含む法定監査制度を理解したうえで、実態面からの最新情報に基づく種々の争点や問題点について、議論を自ら展開できる素養を身に付けることができる。学位授与方針との関係 / Related Diploma Policy
(会計研究科(専門職))
1.知識・技能
会計専門職業人として必要とされる理論と実務に習熟し、かつ職業倫理観および豊かな会計的センス、高度な判断能力や思考能力を修得し、それらを総合的に活用することができる。
2.思考力・判断力・表現力等の能力
健全な精神を持ち合わせた監査界・産業界・官公庁のリーダーたりうる会計専門職業人として行動力をもって社会の要請にこたえることができる。
到達目標 / Course Objectives
わが国法定監査制度の意義・内容を適切に理解することを目標とする。
授業手法 / Teaching Methods
・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生による学習のふりかえり
・課題探究(プロジェクト学習、課題解決型学習、ケーススタディ等含む)
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1回 モニタリング・システムとしての監査の必要性
わが国では特に監査の必要性が法規による強制に求められることが多いが、本来は、財の受委託関係に係わる当事者間の利害対立から、自然発生的にモニタリング・システムの1つの形態として生じることを、監査の歴史的視点から理解する。
第2回 自発的監査の生成可能性
当事者間の利害対立を前提にして、自然発生的に生じる監査が、経済学的な視点から合理性の高いシステムであることを説明する。
第3回 わが国法定監査制度の歴史的展開
わが国には、商法(現、会社法)の制定とともに導入された会社法監査制度と、証券取引法(現、金融商品取引法)の制定に伴って別形態として取り入れられた金商法監査制度があるが、これらの制度化の経緯について歴史的に学習する。
第4回 わが国法定監査制度の概要とその趣旨
2つの法定監査というわが国特有の監査制度について、それぞれの法律が監査に求める目的と当該目的適合的な監査のあり方を理解した上で、欧米の監査制度のあり方との比較も含めて学習する。
第5回 金融商品取引法に基づく企業内容開示制度
金融商品取引法が上場企業に対して強制する発行開示規制と継続開示規制について、年度・半期・四半期毎に具体的内容を確認しつつ学習する。
第6回 金融商品取引法監査制度の監査主体
金商法監査制度は、証取法監査としての1951年導入当初より、公認会計士による監査としてアメリカ証券諸法に関する監査制度を範として当時の大蔵省の所管のもとに運用されて来たが、1974年以降、組織的監査の必要性から監査法人制度が創設されている。このような監査主体の変化に焦点を当てた学習をする。
第7回 金融商品取引法監査制度の対象企業
1951年にスタートした証取法監査制度から今日の金商法監査制度に至るまで、当該監査の対象となる企業の範囲は、随時拡大されてきたが、その根拠と実際の対象範囲となる基準について理解する。
第8回 金融商品取引法監査制度の報告形態
金商法監査制度が保護の対象とする一般投資者にとって、最も重要となるのが監査報告書であるため、この記載内容とそれらの記載根拠について学習する。
第9回 会社法監査制度の種類と監査主体
わが国の会社法監査制度は、株式会社の不祥事が生じる度に修正が加えられて来た経緯がある。この歴史的経緯とともに、会社法が求める法定監査の目的と監査主体について理解する。
第10回 会社法監査制度の対象企業
現在の株式会社は、主に資金調達の側面から基準が設けられ、当該基準によって株式会社が規模ごとに区分けされ、異なる監査が要求されている。この区分けの必要性・内容と監査のあり方について学習する。
第11回 会社法監査制度の報告形態
株主総会向けに作成される監査報告書について、監査役と会計監査人による2種類のものがあるが、その記載内容、その根拠、両者の関係、について理解する。
第12回 金商法と会社法監査制度の連携
金商法監査を担当する公認会計士(監査法人)と会社法監査を担当する監査役との連携が強調されるようになってから、日本公認会計士協会ならびに日本監査役協会から、種々の連携のためのガイドラインが公表されている。それらのガイドラインをもとに両者の連携のあり方について学ぶ。
第13回 わが国監査基準の変遷と内容
わが国監査基準は1950年制定以来、数度にわたって改訂を重ねてきている。当該改訂は、国内外における企業不祥事が切っ掛けとなっており、重要な企業不祥事と当該不祥事を可能とした監査の不備を解消することが目的であった。このような重要な企業不祥事とそれに起因した監査基準改訂の内容について学習する。
第14回 わが国法定監査制度の改革
わが国監査制度の抱える問題点を解消する目的で実施された、公認会計士法の改正による制度改革、ならびに委員会設置会社制度の導入というコーポレート・ガバナンスの形態の変更を認める会社法改正などについて、その根拠や内容、さらには期待される改善の方向について学習する。
第15回 期末試験授業時間外学習 / Expected work outside of class
各回の講義教材で示された復習課題を必ず予め解答しておき、次回開始時間における復習小テストに備えること。
- 成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
試験(筆記)の成績7割と平常成績(主に小テスト)3割で総合評価する。基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy
法定監査制度の意義・内容の理解度で評価する。
- 教科書
Textbooks 伊豫田隆俊・林隆敏・松本祥尚 『ベーシック監査論』 (同文舘出版)
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参考書
References 日本公認会計士協会 『監査実務指針ハンドブック』 (中央経済社)
課題に際して指示するもの以外に、講義時に随時指示する。
- フィードバックの方法
Feedback Method 随時、メールにより対応する。
- 担任者への問合せ方法
Instructor Contact オフィスアワー
その他
yosmatsu@kansai-u.ac.jp
- 備考
Other Comments 予め授業で進む範囲を示すので、該当箇所を予習していることを前提に講義を進行する。授業においては、進行度に応じて復習を目的とした課題を課し、次の授業においてその復習による歩留まりを、質疑応答ないしは小テストを実施することによって確認する形で進行する。したがって、本講義においては、予習ならびに課題による復習は必須である。受講生は、自学自習するとともに、適時かつ適切な課題を課されることによって、監査制度の必要性や内容、さらには制度としてのあり方を理解するよう期待される。