2025 年度の講義概要のデータベースを検索します。カリキュラムツリーへのリンク
学部・研究科
Faculty/Graduate School
文学研究科
時間割コード
Course Code
90763
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
M宗教文化研究B 講義
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
手島 勲矢
曜限
Day/Period
木4
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

本講義は、近代人のヘブライ語聖書と一神教研究について、また宗教学者・聖書学者が展開した旧約聖書の成立の諸仮説について概観・考察するものである。その彼らの研究方法に関して、近代のマックス・ミュラー宗教学やフェルディナン・ド・ソシュール言語学は、ともに、文字伝統の外を取り巻くオーラルな社会・文化環境を重視し、比較可能な一般概念化の議論の方向を推進した点でとても重要である。その傾向は、ユリウス・ヴェルハウゼンの古代イスラエル理解(律法と預言)にも、それに反論するユダヤ学者イェヘスケル・カウフマンの宗教史理解にも認められる。本講義は、彼ら近代の宗教学と言語学の論争の前提には16-17世紀の宗教改革の中で生み出された聖書本文や文法研究の理解が影響していることも視野に収めつつ、近代人の一神教理解の特徴を素描してみたい。

到達目標 / Course Objectives

①知識・技能の観点
聖書学・宗教学の基礎的な用語を習得すること。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
印刷聖書とヘブライ語原典の違いを問題にする文献学の解釈学的視点を理解すること。
③主体的な態度の観点
一神教理解の比較一般化に関するメリットとデメリットを考えること。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・授業中に示す資料の読解にも学生は参加する。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1回  近代の宗教学と言語学:マックス・ミュラーとフェルディナン・ド・ソシュール
第2回  比較という手法:比較宗教学と一般言語学の立場
第3回  聖書研究の根本問題:マソラー原典と70人訳翻訳の関係
第4回  16世紀の歴史批判の始まり:エリヤ・レヴィータとアザリア・デイ・ロッシの原典理解
第5回  17世紀の聖書本文(マソラー)の根本問題:ユダヤ教のヘブライ語聖書と教会のギリシア語聖書の違い
第6回  19世紀の聖書原典と歴史批判:キッテルの校訂本ビブリア・ヘブライカ
第7回  リシャール・シモンの資料説とスピノザの普遍宗教:原典にある矛盾解決の方途
第8回  M・ミュラーの『宗教学序説』第1講義:旧約聖書と比較宗教学
第9回  宗教の種類と聖典の言語(第2講義):一神教文明とその他の文明
第10回  言語と宗教と民族:M・ミュラー第3講義を考える
第11回  比較宗教学をめぐる方法論(第4講義):ヴェルハウゼンの自然理解と古代イスラエルの神学
第12回  歴史の一回性:カウフマンの古代イスラエル宗教の視点
第13回  文法学者と神秘主義者の聖書伝統:文字とオーラル(口承)の区別
第14回  概念と名前の関係性を考える:スピノザ文法の意義
第15回  総括:宗教学・聖書学・言語学の比較手法と文法の問題
第16回 
第17回 
第18回 
第19回 
第20回 
第21回 
第22回 
第23回 
第24回 
第25回 
第26回 
第27回 
第28回 
第29回 
第30回 

授業時間外学習 / Expected work outside of class

レジュメと資料の読み直しと、参考文献の予習。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
ミニッツペーパー(30%):授業に対する疑問や批判のコミュニケーション。関連の基礎用語の定義や書名・人名などの知識を確認する相互インタラクション。
期末レポート(70%):講師の与える選択肢の中よりテーマを選び講義内容を踏まえ自学自習の成果レポート。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

①知識・技能の観点
比較宗教学の基礎的な諸概念やユダヤ教/キリスト教/イスラームの用語を理解しているか。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
宗教学と聖書解釈の歴史の関係における問題を理解しているか。
③主体的な態度の観点
比較研究と歴史研究の問題を自分の言葉で評価・表現できるか。

教科書
Textbooks

参考書
References

L.D.レイノルズ/  N.G.ウィルソン  『古典の継承者たち』(西村賀子+吉武純夫訳)  国文社  4-7720-0149-X  C0022  P4738E
小原克博・中田考・手島勲矢  原理主義から世界の動きが見える  PHP新書  4-569-65577-7
マックス・ミュラー  『比較宗教学の誕生』  国書刊行会  978-4-336-05689-4

その都度、授業の中で参考文献は紹介する。

フィードバックの方法
Feedback Method

授業の冒頭で前回の授業内容の確認や質問を受け付ける。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

学内メールにて。メールアドレスは授業内で開示します。
必要に応じて関大LMSのメッセージ機能も使用します。

備考
Other Comments

日本語訳の資料や著書を中心にする。聖書からの引用確認のために新共同訳・旧新約聖書(旧約続編付き)を授業に携帯することを薦める。参加者の研究テーマ・分野に引き寄せた、積極的なフィード・バックを歓迎する。