- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 理工学研究科
- 時間割コード
Course Code - 93798
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - D化学・物質工学ゼミナール8
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 担任者名
Instructor - 田村 裕
- 曜限
Day/Period - 土5
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
糖鎖化合物は植物の細胞壁の主成分であるセルロース、エネルギー源としてデンプン中に含まれるアミロースやアミロペクチン、甲殻類の殻に含まれるキチンなどのように単独の多糖として存在するものもあるが、タンパク質や脂質などと結合した複合糖質として生体内に存在する。単純な多糖に比べて種類が多くしかもその存在量が微量のものが多いので不明の部分が多かったが、近年これらの複合糖質の構造と機能が徐々に明らかにされつつある。本ゼミナールでは、生体活動に大きな関わりを持つ天然高分子として複合糖質を取り上げ、これらに関する最新の研究成果を含めて講述する。なお、博士論文に関する研究内容の情報収集や成果発表のために、高分子学会や繊維学会等に参加することを強く勧める。さらに、海外の研究機関への訪問も勧める。本ゼミナールを修得することで、複合糖質が織りなす多彩な機能や「わからないことがまだこんなにある」ということを実感するであろう。
到達目標 / Course Objectives
様々な複合糖質を理解したうえで、それぞれの諸性質を整理すること。
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1週〜第2週:単純多糖としてセルロース、キチン・キトサン、デンプン、マンナンなどについて講述する。
第3週:中性な単糖からなる複合多糖について、ガラクトマンナン、グルコマンナンなどを例に挙げて説明する。
第4週〜第5週:アミノ糖を含む酸性多糖をムコ多糖という。ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリンなど生化学的に重要な多糖が多い。これらの由来、構造、性質について説明する。
第6週:タンパク質に結合したオリゴ糖鎖を一般に糖タンパク質とよぶ。タンパク質中のアミノ酸残基の窒素原子を介して結合したN-結合型糖鎖、酸素原子を介して結合したO-結合型糖鎖、リジンと結合したリジン結合糖鎖が有名である。これらの構造と生理学的作用について説明する。
第7週:糖脂質はスフィンゴ糖脂質とグリセロ糖脂質に分類され、細胞膜上で集合体を形成して特異な機能を発揮する。
第8週:アミノ糖とウロン酸の交互共重合体であるグリコサミノグリカンがタンパク質と結合したものをプロテオグリカンという。
第9週:ペプチドグリカンは原核生物の細胞壁成分であり、ムコ多糖にペプチドが結合したものである。ムコ多糖の構成単糖はN-アセチルグルコサミンやN-アセチルムラミン酸であるので酵素リゾチームによって消化される。
第10週から第11週:細胞表層に存在する複合糖質とその機能について講述する。糖鎖分子は糖タンパク質、糖脂質、プロテオグリカン、ペプチドグリカンなどの複合糖質としてその多くは細胞膜に存在して様々な生命維持活動の主要な役割を果たしている。生命の発生や細胞の分化、血液型の決定などにおける複合糖質の役割を説明する。
第12週:免疫、ガン、微生物の感染などを例に病気と複合糖質の関係を説明する。
第13週から第14週:糖鎖の化学的合成法についてその困難さと現在開発されつつある糖鎖自動合成基に関するトピックを講述する。
第15週:総括授業時間外学習 / Expected work outside of class
関連する分野の参考書の部分を事前に通読しておくように。
- 成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。小テスト(30%)、レポート(70%)
基準 / Evaluation Criteria
小テスト、レポートの内容や出席状況、受講態度などをもとにして平常点で評価する。
- 教科書
Textbooks なし
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参考書
References Ed. By P. Finch Carbohydrates-Structure, syntheses and dynamics Kluwer Academic 西村紳一郎他 生命高分子科学入門 講談社サイエンティフィク
専門分野(キーワード):糖質化合物、複合糖質、糖タンパク、糖脂質、グリコサミノグリカン、ペプチドグリカン
- 備考
Other Comments メールアドレス:tamura@ipcku.kansai-u.ac.jp