2017 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
政策
時間割コード
Course Code
86453
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
政治学史と政策
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
安武 真隆
曜限
Day/Period
火3
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

世の中には変わり易いものと、変わりにくいものがある。変化の激しい昨今、「今ここ」で役立つことに目が向かいがちなのは否めない。しかし、「今ここ」で役に立つことが、諸君が社会に巣立った後にも役に立つとは限らない。即戦力となる情報は、即戦力外通告を受ける情報ともなりやすいことを覚悟しなければならない。むしろ「今ここ」に執着した近視眼的で軽薄な「実践」性よりも、どのような場面に出くわしても動じない、より広い射程の育成こそ、大学教育には求められるべきではないか。そのためは、「今ここ」とは異なった文脈で書かれた過去の古典と取り組むことが、迂遠なように見えて王道であると、講義担当者は信じている。大きな樹に成長するためには、根元に近い場所に水や肥料をやるのではなく、少し遠いところにやった方がよいからである。(近年、企業の若手幹部候補生を集めたセミナーが盛んになりつつあるが、そのような場においてしばしば指定されるテクストが、本講義で扱うものと重なっていることは興味深い。オバマ元大統領が学生時代に知的に覚醒したのも、政治思想のゼミにおいてであった。)

 本講義では、日本の近代化にも多大な影響を与えた欧米の政治学・政治的言説の歴史的展開を概観する。本講義で紹介する過去の政治学が「今ここ」で即効性を持つとは保証できない。むしろ「役に立たない」かもしれない。しかし、千年以上も前に書かれた書物が今なお読み継がれていることを想起するならば、「今ここ」で「役に立たない」ことを敢えてやることの意味も自ずと分かってくるであろう。

 少なくとも西欧において、およそ名のある政治家・政治学者であれば誰であれ、この講義で紹介する、プラトン、アリストテレス、キケロ、マキアヴェッリ、ホッブズなどの著作を単に時代遅れのものとはせず古典として親しみ、そのうえで、それぞれの時代の政治学を展開してきた。つまり、それぞれの時代において政治について語り、その時代の政策を構想した人々は、目の前の政治について考えるにあたって、古い本を読みながら考えるという態度を身につけていた。彼らは、まず過去に向かって助走してはじめて、現在を見据え未来を展望をすることができると考えていたのである。

到達目標 / Course Objectives

 本講義では、紹介した政治思想の内在的理解を到達目標とする。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

スケジュール案は以下の通りである。
1.  Introduction
2.  トマス・モア  『ユートピア』
3.  サラマンカ学派  (セブル・ベタ)
4.  サラマンカ学派  (ラス・カサス)
5.  宗教改革とルター
6.  カルヴァン
7.  モナルコマキ
8.  ジャン・ボダン
9.  イングランド内乱期の政治思想
10.  トマス・ホッブズ  『リヴァイアサン』 第1・2部
11.  トマス・ホッブズ  『リヴァイアサン』 第3・4部
12.  ハリントン  『オシアナ』12. ロック  『統治二論』
13.  モンテスキュー
14. ルソー、トックヴィル
15. 総括と質疑

授業時間外学習 / Expected work outside of class

基幹科目の「政治学史」の講義内容をある程度前提として講義を展開するので、未履修の者は、合わせて受講することを強く推奨しておきたい。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。  
複数回の平常試験(100%)。ただし、必要に応じてレポートの成績も勘案することがある。

履修者数等を勘案して、定期試験を実施する場合もありえる。履修者数が多数になった場合には、成績評価方法を「定期試験(16週目)」に変更することがあります。
成績評価方法が変更になった場合は、インフォメーションシステム等で連絡します。

基準 / Evaluation Criteria

紹介した政治思想を内在的に理解できているかどうかを評価の基準とする。

教科書
Textbooks


プリントを配布

参考書
References

『はじめて学ぶ政治学』  (ミネルヴァ書房)   

備考
Other Comments

基幹科目の「政治学史」を踏まえつつ講義が展開される。政治学史を受講していなくても平常試験において対応できるよう試験問題には配慮するが、より深い理解に到達するために「政治学史」の聴講を推奨しておく。