- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 経/商
- 時間割コード
Course Code - 40656
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 現代世界経済論
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 担任者名
Instructor - 羽鳥 敬彦
- 曜限
Day/Period - 木3
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
本年度のテーマ;自由貿易体制の現在
2016年における世界経済は、国民投票によるイギリスのEU離脱派勝利、アメリカ大統領選挙におけるD.トランプ氏当選など「まさか」の連続だった。グローバリズムへの反発から世界には一国主義的傾向が強まり、その行方を不明瞭なものとしている。そうしたなか、自由貿易体制にも暗雲が迫っているようである。保護主義的傾向の台頭がそれである。
この講義では、自由貿易体制の現状に焦点を合わせる。自由貿易は、自国のみならず相手国もそれを採用することで成立する。したがって、それは一定の国際的な制度的枠組みをもっている。また、自由貿易主義の目指すところは、世界全体が自由貿易となることである。このグローバルな自由貿易体制はどのようなものであり、どのような構成要素からなっているのかがまず問題となる。
他方、自由貿易主義のアンチ・テーゼとなるのが、保護貿易主義である。保護貿易は一国だけでも達成可能なので、必ずしも国際的な体制となるわけではない。しかしながら、各国がそれを採用し極端になるまで進むと、世界経済は解体の危機に陥る。その歴史的経験を回顧しておくことは、自由貿易の現状を考えるうえでも有益な教訓を引き出してくれるものと思われる。
それゆえ、この授業では、まず自由貿易の原点ともいうべき19世紀自由貿易体制を素材として、自由貿易体制の主要構成要素を検討する。続いて、保護主義が未曾有の高まりを示した1930年代の保護主義の体制を考える。今日の自由貿易体制を生み出したのが第2次世界大戦後のIMF・GATT体制であり、またGATTにとってかわったのがWTOあるので、これらを検討することにする。現在は、WTOの枠組みのなかで、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)など地域主義が隆盛を極めている。こうしたなかでの保護主義的潮流の旺盛化である。そこでの自由貿易体制の今後を展望するのが、最後の課題である。到達目標 / Course Objectives
①自由貿易体制の基本的構成要素を理解する。
②19世紀自由貿易体制とその問題点を理解する。
③1930年代の保護主義の制度的要素とその問題点を理解する。
④IMF・GATT体制とその問題点を理解する。
⑤WTOとその問題点を理解する。
⑥地域主義ととその問題点を理解する。
⑦自由貿易体制の現状を理解する。
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1週 序論
本講義の課題とアプローチ、講義計画を提示する。
第2週~第3週 19世紀自由貿易体制
自由貿易体制の基本的構成要素を解説し、それが19世紀自由貿易体制においてどのように達成されていたかを検討する。
第4週~第5週 1930年代の保護主義
保護主義台頭の背景を考察し、その制度的要素みることによって、それが世界経済の解体に至った過程を検討する。
第6週~第9週 IMF・GATT体制
1930年代の反省のうえに、第2次世界他戦後に再建された自由貿易体制がIMF・GATT体制である。その内容を検討する。
第10週~第11週 WTO
GATTの発展のうえに登場したWTOの内容、仕組み等について考察する。
第12週~第13週 地域主義の台頭
WTO最初の多角的交渉であるドーハ開発アジェンダがたいして進展しないなか、現在隆盛を極めているのがEPAなどの地域主義である。その自由貿易体制にとっての意味を考察する。
第14週 自由貿易体制の現状
第15週 まとめ
これまでの議論をまとめ、今後を展望する。授業時間外学習 / Expected work outside of class
配付教材においては、主要項目の冒頭に授業内容に関する問いかけ形式のnode wordが掲げられている。復習の際、その問いかけに答えが出せるかどうか、自分で確かめることが必要である。答えられない場合は、理解不足なので、教材を詳しく読み直すべきである。
- 成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験(筆記試験)の成績で評価する。定期試験;100%
基準 / Evaluation Criteria
①自由貿易体制の基本構成要素の理解を問う。
②19世紀自由貿易体制、1930年代の保護主義、IMF・GATT体制、WTOの理解を問う。
③現在の地域主義台頭の意義に関する理解を問う。
④自由貿易体制の現状の理解を問う。
- 教科書
Textbooks
-
参考書
References 北野大吉 『自由貿易運動史』 日本評論社、1943年 宇野弘蔵 『宇野弘蔵著作集 第7巻』 岩波書店、1974年 熊谷次郎 『イギリス綿業自由貿易論史』 ミネルヴァ書房、1995年 川島信太郎 『本邦通商政策条約史概論』 厳松堂、1941年 フランク・ウィリアム・タウシッグ(長谷田泰三・安芸昇一訳) 『米国関税史』 弘文堂書房、1938年 フリードリッヒ・リスト(小林昇訳) 『経済学の国民的体系』 岩波書店、1970年 楊内克巳編 『世界経済論』 東京大学出版会、1961年 大島 清編 『世界経済論』 勁草書房、1965年 西川輝 『IMF自由主義政策の形成』 名古屋大学出版会、2014年 津久井茂充 『ガットの全貌』 日本関税協会、1993年 筑紫勝麿編著 『ウルグアイ・ラウンド』 日本関税協会、1994年 外務省 『世界貿易機関を設立するマラケッシュ協定WTO』 日本国際問題研究所、1995年 外務省 『解説WTO協定』 日本国際問題研究所、1996年 浦田秀次郎編 『アジアFTAの時代』 日本経済新聞社、2004年 渡邊頼純監修 『解説FTA・EPA交渉』 日本経済評論社、2007年 ジェフリー・J.ショット他(浦田秀次郎監訳) 『TPPがよくわかる本』 日本経済新聞社、2013年 ジェーン・ケルシー編著(環太平洋経済問題研究所・農林中金総合研究所訳) 『異常な契約TPPの仮面を剥ぐ』 農文協、2011年 中野剛志編 『TPP 黒い条約』 集英社、2013年 経済産業省(旧通商産業省) 『不公正貿易報告書』 各年版
そのほかは授業中指示。
- 備考
Other Comments 授業の進捗状況等によって若干の変更がありうる。