2017 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
10885
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
外国書研究1
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
2
担任者名
Instructor
奥 正嗣
曜限
Day/Period
月3
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 ダイシーの『憲法序説』は、イギリス憲法のみでなく、広く近代憲法に関する古典の一つに数えられる。講義では、ダイシー理論(特に、「法の支配」の理論)を、その当時の時代的背景を明らかにしながら検討し、併せて、ジェニングスによるダイシー批判を概観する。以上の考察にあたり、ヨーロッパ大陸法や日本法との対比も試みる。さらに、近年のイギリス憲法の変容についても考えたい。

到達目標 / Course Objectives

 ダイシーの「法の支配」に関する解説書はたくさん存在しているが、本講義では、ダイシーおよびジェニングスの原書に直接あたりながら、英米法の基礎的概念や考え方を修得することを到達目標とする。本講義をきっかけとして、各自がさらに「英米法」の学習を継続発展させることを希望する。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

 1.ダイシーという人物、その業績、時代的背景の概観、2.国会主権、3.法の支配ないし優位、4.ド・トクヴィルの指摘に基づくスイスとイギリスとの制度および慣習の対比、5.法の支配・優位・優越という観念の不明確さ、6.法の支配の第一の意味(ダイシー時代のイギリスと大陸との比較)、7.法の支配の第一の意味(18世紀のイギリスと大陸との比較)、8,法の支配の第二の意味(すべての人が通常裁判所の運用する通常法に服すること)、9.法の支配の第二の意味(イギリスとフランスとの比較)、10.法の支配の第三の意味(憲法の一般規範が国の通常法の結果であること)、11.法の支配の第三の意味(イギリス憲法と外国憲法との比較)、12,法の支配の要約、13,ジェニングスによるダイシーの批判(1)、14,ジェニングスによるダイシー批判(2)、15,EUと現在のイギリス憲法、の順に、歴史的な背景にも触れ、また、具体的事例を踏まえながら、わかり易く解説する。その際には、英米法と大陸法との違いを浮き彫りにすることにより、それぞれの法制度の特徴を鮮明にとらえることを心掛ける。そして、それぞれの法制度が、わが国の法制度に対していかなる影響を及ぼしたのか、それぞれの法制度からわが国は何を学び取るべきなのかを考えることを学習の目標とする。

授業時間外学習 / Expected work outside of class

「予習」として、教科書・参考書などで、授業で学ぶ予定の該当箇所を熟読しておくこと。また、「復習」として、授業の内容を記述した各自の講義ノートを再確認すること。疑問があれば、次回に必ず質問すること。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。総合評価割合(出席30%、授業内での発表20%、小テストまたはレポート50%)。

基準 / Evaluation Criteria

英文の読解力とともに、各回で取り上げた基本的な問題について正しい法的理解ができているかどうかを評価する。

教科書
Textbooks

A.V.Dicey  Introduction  to  the  Study  of  the  Law  of  the  Constitution  (Eighth  Edition)  Macmillan  and  Co.,Limited  Eighth  Edition  (1915),  First  Edition  (1885) Sir  W.  Ivor  Jennings  The  Law  and  the  Constitution  (Fifth  Edition)  University  of  London  Press  Limited  Fifth  Edition  (1959),  First  Edition  (1933)
 必要な箇所のコピーを授業中配布する。

参考書
References

戒能通厚・広渡清吾  『外国法-イギリス・ドイツの社会と法-』  (岩波書店)  1991年 長島伸一  『大英帝国-最盛期イギリスの社会史-』  (講談社)  1989年 田中英夫 編  『英米法辞典』  (東大出版会)  1991年 加藤紘捷  『概説イギリス憲法』  (勁草書房)  2002年 エリック・バーレント著、佐伯宣親訳  『英国憲法入門』  (成文堂)  2004年 戒能通厚編  『現代イギリス法事典』  (新世社)  2003年 I.ジェニングス著、榎原猛・千葉勇夫訳  『新訂 イギリス憲法論』  (有信堂)    1981年 飛田茂雄著  『英米法律情報辞典』  (研究社)  2002年 田島裕  『イギリス法入門〔第2版〕』  (信山社)  2009年 元山健  『イギリス憲法の原理』  (法律文化社)  1999年 松井幸夫ほか  変化するイギリス憲法  (敬文堂)  2005年 初宿正典、辻村みよ子編  『新解説世界憲法集〔第2版〕』  (三省堂)  2010年 伊藤正己  『イギリス法研究』  (東京大学出版会)  1978年 田中和夫  『英米法概説〔再訂版〕』  (有斐閣)  1981年 藤倉皓一郎ほか  『英米判例百選〔第3版〕』  (有斐閣)  1996年 山下茂  『体系比較地方自治』(イギリスにつき、69〜105頁)  (ぎょうせい)  2010年 幡新大実  『イギリス憲法Ⅰ 憲政』  東信堂  2013年 戒能通弘  『近代英米法思想の展開』  ミネルヴァ書房  2013年
 その他必要に応じて紹介する。

備考
Other Comments

 毎回授業に出席して、きちんとした自筆ノートを作っておくことが肝要である。自筆ノートの作成についても、目次を作ったり、色分けしたり、図表化するなどして、各自の利用しやすいものにすることが望ましい。また、講義で紹介した内容に関連する書物などのコピーの切り抜きを自筆ノートに貼付するだけの熱意も必要である。