- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 経/商/社/シ/環/化
- 時間割コード
Course Code - 00569
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 宗教学を学ぶ
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 春/2
- A
- 担任者名
Instructor - 磯 忠幸
- 曜限
Day/Period - 水4
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
わたしたちは「宗教」についてどのようなイメージをもっているだろうか。たとえば、「正しい生き方の道しるべ」であったり、「社会的生活の秩序のガイダンス」であったり、いわば「道徳的」、「倫理的」なイメージもあるだろうし、願い事や祈りをききとどけてくれる「カミサマ」を中心にした「信仰」というイメージもあるだろう。あるいは、日常生活とは相容れない考え方や行動を強制したり、怪しげな勧誘を受けたりと、きわめてネガティブなイメージもあるだろう。
この講義では、様々なトピックを提示しつつ、それらを宗教研究の基本的な概念や理論と関係づけながら、宗教に対するそうしたイメージを解体し、「宗教」(宗教的なもの)について再考する、柔軟で多様なパースペクティブを提示したい。到達目標 / Course Objectives
①「宗教学」がどのような研究分野なのかを理解できる。
②「宗教学」が問題としている主題とその学説について、基本的な理解ができる。
③受講以前に漠然と抱いていた「宗教」についてのイメージを見直すことができる。
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1回 「宗教学」とは何を研究しているのか
宗教学とは「宗教を学ぶ」分野であるが、それは、たとえば仏教やキリスト教などの特定の各宗教について学ぶということなのだろうか。そうした宗教の「教え」や「(信仰)行為」を知ることなのなのだろうか。もっと一般的な「宗教」について考察することなのだろうか。初回は導入として、「宗教学」が何をどのように研究し、どのような研究構成になっているのかを、細分化された各分野にまで言及しながら、俯瞰してみる。
第2回 タブーと穢れ
どうしてブタを食べてはいけないのだろうか。なぜ近親相姦は禁止されているのだろうか。実はこの二つのことが同じルールで決められているとしたら…。「禁止されたもの」と「穢れたもの」の関係を、宗教的な側面から考えてみる。
第3回 わたし以外は信じてはならない
以前に「サンタクロースがクリスマスに火あぶりにされた」という「事件」が起こった。「サンタクロースは異教の存在だから」というのがその理由であるけれども、わたしたちにすればいささか理解に苦しむ理由だろう。しかし、この理由には宗教研究の重要な主題が隠れている。今回はこの事件を手がかりに、一神教や原理主義の問題、宗教のシンクレティズム(混淆)の問題を考えてみたい。
第4回 呪術師とその呪術
サッカーW杯のアフリカ予選では、必ずといっていいほど、呪術が行使されたというウワサがたつ。呪術がサッカーの試合の勝敗に影響するなんてばかげたことだと言って済ませていいのだろうか。今回は、「呪術」や「妖術」について、人類学的な見地も参照しながら、考察してみたい。
第5回 死生観とお葬式
死後の世界とはどのような場所なのか、そもそも死後の世界なんて存在するのだろうか。お葬式が「あの世への旅立ち」の儀式だというのなら、死者(死者の魂)は、どこへ旅立つのだろうか。インドネシアのバリ島で行われているお葬式を参照しつつ、死生観とお葬式について再考してみたい。
第6回 苦行と快楽
「悟り」を開いたり、「信仰」のあかしをたてるには、極限的な苦行や修行が必要とされている。その一方で、SMプレイでは、縛ったり、鞭打ったりすることで、極限的な快楽が得られるとされている。どちらも身体を極度の過剰や不足にさらすということであるが、はたして両者は全くの別物なのか、それとも共通点はあるのだろうか。
第7回 怪獣はどこからやって来るのか
怪獣といえば「ゴジラ」であり、世界的に有名なモンスターであるから、誰もが知っているだろう。映画『ゴジラ』を糸口にして、異形のものが共同体に侵入するとはどういうことなのか、「異人とまれびと」という宗教学の重要な主題を考え直してみたい。
第8回 絆と無縁社会
東北大震災以降、「絆」のいう言葉のもとに、人間関係の重要性が半ば強制的に主張されているが、震災以前は、「無縁社会」という孤立状態が深刻な社会問題となっていたはずだ。「無縁社会」で「絆」を叫けぶことは可能なのか、そもそも無縁社会は解消したのか…今回は、災害時や孤立社会に焦点をあてて、宗教の社会的役割について考察してみたい。
第9回 踊る宗教研究
宗教研究は、長きにわたって、思想か、信仰(儀礼)かの議論を続けてきた。今回は、「宗教は教典にあるんじゃない、行為にあるんだ!」という見地から、宗教研究における「思想/行為」の理論的対立を、いくつかの宗教儀礼の映像を参照して、儀礼論(パフォーマンス論)の側から考察してみたい。
第10回 カルトと市民社会
キリスト教はもともとユダヤ教に出自があるとされているが、ご存知の通り、キリスト教は過酷な迫害を受けてきた。今回は、キリスト教の初期成立段階とカルト宗教(過去のカルト宗教事件)を比較しつつ、宗教と市民社会との関係を考えてみたい。
第11回 コロンブスと「ホテル・カリフォルニア」
新大陸発見の宗教的意義の考察を出発点として、アメリカを舞台に、サイケデリック、カウンターカルチャー、東洋思考など、精神が彷徨する宗教的プロセスを考えてみたい。
第12回 「きのくに」の秘密
今や世界遺産として有名になった「熊野」。わたしたちは「観光地」としてそこへ行くことが多いわけだが、はたして「熊野」に魅せられる本当の理由とは何なのだろう。今回は、神話的存在としての「熊野」に焦点をあてつつ、「宗教的観光」について考察してみたい。
第13回 病とその語り
身体の具合が悪くなって病院に行くと、医師は診察して「具合が悪いのはどこで、どういう原因なのか」を教えてくれるが、「なぜこの時期に、このわたしだけが具合が悪くなったのか」のその理由を教えてくれない。わたしたちにとって重要なのは、「病名」を知ることよりも、「なぜその病気になったのか」を知ることなのではないか。今回は、医療における患者‐医師の関係を糸口に、病と宗教の関係を考察してみる。
第14回 聖なるもの
「聖なるもの」という概念は、宗教研究において最重要の主題であり続けているし、議論もなされている。今回は、「聖なる空間(聖地・聖域)」に焦点をあてて、「聖なるもの」について再考してみたい。
第15回 まとめ 「宗教とは何か」とは何か
「宗教とは何か」という問題設定が置かれているコンテキストを検証しつつ、これまで講義した内容を踏まえて、「宗教とは何か」を問う態度を再検討してみたい。授業時間外学習 / Expected work outside of class
各回の講義は、全体として相互連関するものの、内容的に各回の主題はそのつど完結することになっている。従って、講義内容の復習、および講義内で提示した文献の精読を必要とする。
- 成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。定期試験(筆記試験)70%
平常成績(出席状況・態度)30%基準 / Evaluation Criteria
・各主題で取り上げた事象がどのような概念と結びつき、どのようなコンテキストで問題になっているのかを理解できているか。
・各主題で取り上げた内容を受講者自らの関心・興味や経験などと関連づけて考察し、それを論理的に説得力をもって論述表現できるか。
- 教科書
Textbooks
指定しない。必読文献がある場合は、講義中に指示する。
-
参考書
References
各主題に関しては、その都度講義中に紹介する予定である。
- 備考
Other Comments