- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 会計研究科(専門職大学院)
- 時間割コード
Course Code - 97103
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 中小企業金融論
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 担任者名
Instructor - 宮森 直樹
- 曜限
Day/Period - 木4
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
本科目では、銀行の融資審査の実務経験者が講師となり、我が国の企業金融の中でも特に中小企業の資金調達手法の現状とその問題点について理解することを目的とする。
具体的には、中小企業の資金調達の実態を金融機関の融資審査システムや格付制度、融資手法の多様化など様々な観点から学ぶことにより、中小企業金融に通じた人材の育成を目指す。
授業に当たっては、中小企業金融に関する理解の促進を主眼としつつも、「会計の専門家」として必須の、運転資金等キャッシュ・フローに関する知識等、極力汎用的かつ実践的な知識の習得も目指した内容となっている。このような観点からの理解や知識習得を図る為、ケース・スタディも適宜交えながら、実践的に学習していく。到達目標 / Course Objectives
・中小企業金融に関する理解を通じて、「会計の専門家」としての素養を高めることを目標とする。
・銀行の融資審査の視点を身につけ、企業分析に関する知識を習得する。
・運転資金について多面的に知識を習得する。
・実態B/Sの作成等を通じて、デュー・デリジェンスの基礎知識を身につける。
・「金利感応度」を身につける。
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
具体的な授業計画は下記の通りだが、講義では各テーマについて概説し、質疑応答を通じて理解度を確認しつつ進行する。
第1回:金融機関を取り巻く環境
バブル崩壊後の巨額の不良債権処理や「BIS規制」導入等を通じ、金融機関を取り巻く環境は90年以降劇的に変化した。更に08年の米国のサブプライムローン問題を契機とする世界的な金融危機と経済不況の影響を受け、中小企業を中心に倒産が急増し、新たな不良債権の増加に直面することとなった。バブル以降現在に至る、金融機関を取り巻く環境の変化を概観し、金融機関と中小企業との取引関係にどのような影響を与えることになったのかを明らかにする。
第2回:金融検査マニュアルと自己査定制度
99年4月に公表されて以来、単なる金融検査の指導・手順書の域を超え、組織や業務運営、決算といった、金融機関の経営の根幹を規定すると言っても過言ではない金融検査マニュアル。その中核をなす自己査定制度を中心に金融検査マニュアルについて論じる。
第3回:信用格付制度
金融検査マニュアルの制定以降、金融機関の融資審査方法が大きく変化した。自己査定との連動性から益々「信用格付」が重視されるようになっており、融資審査手法を理解する為には、信用格付制度の理解は必要不可欠である。ここでは、信用格付がどのような仕組み、プロセスで決定されるのかを明らかにする。
第4回:事例研究(その1)
第2回、第3回で論じた、自己査定制度、信用格付制度について、事例研究を通じてその理解を確かなものとする。
第5回:融資審査の基本
時代や環境が変わっても、融資審査の基本については変わらない。「融資5原則」を始め金融機関が融資審査に当たって、どのような資料に基づいてどのように判定しているのか、そのポイントを明らかにする。
第6回:資金使途別の融資審査(設備・運転資金他)
金融機関が融資審査に当たり、設備資金や運転資金等資金使途毎にどのような資料に基づいて、どのように判定しているのか、そのポイントを事例を交えながら説明する。関連する知識として、キャッシュ・フローの分析資料についても、実践的な見方等について概説する。
第7回:業種別の融資審査
金融機関が融資審査に当たり、業種毎にどのような点に着目して判定しているのか、そのポイントを明らかにする。
第8回:担保評価の手法
金融機関が融資審査に当たり、不動産等の担保をどのような点に留意して、どのように評価しているのか、そのポイントを事例を交えながら説明する。併せて保証に関しても、保証協会融資の仕組みを始め基本的な考え方を説明する。
第9回:事例研究(その2)
第5回〜第8回で論じた、融資審査の各ポイントについて、事例研究を通じてその理解を確かなものとする。
第10回:貸出金利
金利に関する知識は、「会計の専門家」として必須であるところから、金利に関する基本的知識はもとより、貸出金利の決定メカニズムや償却・引当についても論じることにより、「金利感応度」の習得に努める。
第11回:最新の融資手法
デリバティブやシンジケート・ローン、動産担保融資等最新の融資商品、融資手法について説明し、中小企業の資金調達方法の多様化について考察する。
第12回:倒産と企業再生
バブル崩壊による不良債権処理が漸く収束したのも束の間、その後の日本の景気後退や世界的な金融危機を契機とする世界同時不況の煽りを受けて企業倒産が急増した。このような、企業を取り巻く環境の変化を踏まえ、倒産と再生の事例を交えながら、何が両者を分けるのか、そのポイント等を考察する。
第13回:事例研究(その3)
第2回〜第12回で考察してきた、信用格付制度を中心とする融資審査システムについて、粉飾決算の見分け方等も織り込みながら、事例研究を通じてその理解を確かなものとする。
第14回:中小企業金融の現状と課題
第1回から第13回まで、中小企業の資金調達の実態を金融機関の信用格付制度や融資審査システムを中心に論じてきたが、本講ではそのまとめとして現状と課題について総括する。
第15回:試験授業時間外学習 / Expected work outside of class
予習は不要だが、上記「到達目標」の達成の為、必要に応じて復習することが望ましい。
- 成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Course Content
筆記試験の成績(55%)と平常成績(レポート25%、授業への参加態度20%)で総合評価する。
基準 / Evaluation Criteria
・上記「到達目標」の期待レベルに達しているかどうかを評価する。
・受講態度についてもプラス・マイナス両面で評価する。
- 教科書
Textbooks
講義内で随時プリントを配布する。
-
参考書
References 藪下史郎 武士俣友生(編著) 『中小企業金融入門』 (東洋経済新報社) 検査マニュアル研究会(編) 『金融機関の信用リスク・資産査定管理態勢』 (金融財政事情研究会)
など
- 備考
Other Comments ・「会計の専門家」としての、「会計士」を始めとする将来の様々な進路において、少しでも有益となるような、汎用的かつ実践的な知識の習得を目指している。
・欠席者への伝言がある場合は「インフォメーションシステム」を通じて行うので、欠席した際は必ずチェックすること。
本科目は、公益社団法人日本証券アナリスト協会のプライマリー・プライベートバンカー資格試験における 第1単位(WM)免除の対象です。