- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 法務研究科(法科大学院)
- 時間割コード
Course Code - 96082
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 刑事法総合演習
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 02
- 担任者名
Instructor - 山中 敬一/森岡 安廣
- 曜限
Day/Period - 火2
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
判例を素材にし、刑法と刑事訴訟法両者の問題点を含んだかなり詳細な具体的事例(ケース問題)を学生に課し、問題点の発見、これに関する判例・文献の調査・分析を行わせ、授業において事例を検討した結果を相互に発表、批判させながら、現実の訴訟においてそのような事例をどのように解決するべきかの思考方法を訓練する、いわば、訴訟というダイナミクスの中で、実体法の解釈と手続法の解釈を機能的に展開するための刑事法総合演習である。
到達目標 / Course Objectives
刑事事件を担当する法律実務家に求められる理論的応用能力及び実務処理上不可欠な知識を習得することを目標とする。
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
原則として、刑法を担当する教員と刑事訴訟法を担当する教員が共同担当し、1問につき2回程度を当てることを予定している。
第1回〜第2回
甲、乙は、乙の父Aが脳内出血により重度の意識障害の状態にあり、医師による治療を打ち切れば死亡する危険が大きいことを知りながら、共謀の上、Aを伊丹市内の病院から連れ出し、航空機等を利用して千葉県成田市内のホテルまで運び込み、生存に必要な措置を講じないまま放置して死亡させたとの殺人罪で起訴されており、甲は、起訴事実を認め、乙は外形的事実は認めたが殺意を争い、検察官が取調請求した甲の検察官に対する供述調書(共同犯行を自認している)について証拠とすることに同意しなかったという事例(殺人罪の実行行為性、殺人と保護責任者遺棄致死罪の共同正犯の成否、甲から供述を得る場合の方法、検面調書の特信性の立証、判断など)
第3回〜第4回
職務質問、所持品検査から逮捕されるに至った被疑者らが、爆発物取締罰則違反(爆発物所持)罪や警察官に対して暴行を加えたとして公務執行妨害罪、傷害罪で起訴された事例(公務執行妨害罪の公務の適法性、違法な公務執行に対する暴行、傷害と正当防衛、過剰防衛の成否など、職務質問を経た警察署への連行、留め置きの適否、捜査の違法と公訴提起の効力など)
第5回〜第6回
刑法の部と刑事訴訟法の部で、とくに刑法の部の設問を新たな論点に適合させるため、設例が異なっている。(A)刑法の部では、食品株式会社の社長に恨みを抱いた者が、当該会社につきネット上で、R食品は、右翼系カルト『S』が母体だとなどと書き込んだ事例、(B)刑事訴訟法の部では、新聞紙上に「吸血鬼Aの罪業」などという記事を掲載し、新聞社社長Aの名誉を棄損したという事案で起訴されている被告人が、摘示した事実の真実性あるいはその誤信の相当性を主張しているという事例(摘示した事実の真実性に関する錯誤と故意、被告人側への挙証責任の転換の許否、Aの言動等を又聞きした証言の伝聞性など)
第7回〜第8回
この回も、刑法の部で扱う論点をより明確にするため、刑法の部と刑事訴訟法の部で設例が異なっている。(A)刑法の部では、被告人が注意義務を果たしていたとしても確実に境を接する蓋然性をもって同じように発生していたという事案と、結果は異なっていたという事案を検討し、注意義務と結果の関係について問う事例(B)刑事訴訟法の部では、被告人は、高速度で普通貨物自動車を運転していたため、対向車を認めて狼狽し、自車が左側のガードレールに衝突しそうになり、あわてて右にハンドルを切り、走行の自由を失って信号柱に自車の荷台を激突させ、荷台に乗っていたAを死亡させるなどしたという交通事故で起訴されているが、ハンドル操作の不適切が事故の原因であることは認めるものの、速度は制限速度内であった、Aが荷台に乗っていたことは知らなかったなどと主張している事例(過失犯における予見可能性の意義、対象、過失犯の訴因変更要否の基準など)
第9回〜第10回
甲が自分の子乙(刑事未成年者)にスナックへ行って強盗するよう命じたところ、乙は自分の判断で店にいたママをトイレ内に閉じ込めるなどして強盗を実行したという事案で、甲は乙の単独犯行を主張している事例(甲は共同正犯か間接正犯か、年少である乙に対する証人尋問の工夫、乙が法廷では供述を拒否した場合の検面調書の証拠能力、触法少年事件の取り扱いなど)
第11回〜第12回
甲、乙が共謀の上、甲が覚せい剤の取引の斡旋にかこつけてAをホテルの一室に呼び出し、別室に待機している買主に覚せい剤を見せる必要があると嘘をいってAから覚せい剤を受け取り、これを持ってホテルから逃走した後まもなく、乙がAのいる部屋へ行ってAを拳銃で狙撃したが殺害の目的を遂げなかったという事案と、その後乙が別のホテルに宿泊している際、薬物使用等の疑いを持ったホテル従業員の通報によりホテルに来た警察官が乙の部屋に立ち入り暴れる乙を押さえつけて所持品検査をし、覚せい剤を発見、逮捕したという事例(甲の覚せい剤の取得は窃盗か詐欺か、強盗殺人未遂の成否、所持品検査の違法性、違法収集証拠の証拠能力など)
第13回〜第14回
暴力団幹部である甲が、組長乙の犯した殺人未遂を隠蔽するため、身代わり犯人丙を出頭させたり、内容虚偽の供述書を提出したり、あるいは捜査官から事情聴取を受けた目撃者F(外国人)に虚偽の供述をさせて捜査官にその旨の供述調書を作成させるなど一連の捜査妨害をしたという事例(証拠隠滅罪、犯人隠避罪の成否、逮捕状の執行に際し令状の呈示なしの居室への立ち入り、令状を所持していない警察官の逮捕の適否、強制送還されたFの検面調書の証拠能力、身代わり犯人として有罪確定後の丙を犯人隠避罪で起訴できるかなど)
第15回
最新重要判例を素材として、通常の演習を、刑法、刑事訴訟法につき行う。授業時間外学習 / Expected work outside of class
【予習】
事前に配布されている演習問題に対する自己の意見(結論及び簡単な理由)を予習ノートに毎回作成すること。作成に際しては、必要な判例・文献を調査・分析しておくことが肝要であるが、特に、各演習問題末尾に提示してある[参考判例]については、必ず全文読んでおくこと。また必要に応じてレポートを課す場合もあるが、授業において適宜指示する。
【復習】
授業を踏まえて、演習問題に対する理解度を確認するとともに、事前に作成した予習ノートを見直しておくこと。
【その他】
オフィスアワー及びTAを積極的に活用すること。
- 成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Course Content
定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。【評価方法】
定期試験7割、平常成績(予習・復習等の授業への取り組み及び議論に積極的に参加する姿勢)3割として、評価する。基準 / Evaluation Criteria
【定期試験及びレポートについて】
設定された具体的事例を解決する上で必要な法解釈能力、法解釈・適用に必要な具体的事実を抽出・分析して、当てはめる能力、一定の結論を論理的に論述する能力が、それぞれどの程度習得されているかを基準とする。
【授業中の質疑応答について】
各回ごとに十分に予習を踏まえた議論を行い、どの程度参加できているかを基準とする。
- 教科書
Textbooks 特にない。
演習の進め方、予習の仕方等については、さらに、学期の開始前に配布する「教材」の冒頭部分を参照のこと。
-
参考書
References 刑法・刑事訴訟法の演習問題を扱った書物
- 備考
Other Comments