- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 法務研究科(法科大学院)
- 時間割コード
Course Code - 96186
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 現代法特殊講義2
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 01
- 担任者名
Instructor - 栗原 宏武
- 曜限
Day/Period - 火3
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
言語 / Language
<秋>
日本語(Japanese)授業概要 / Course Description
<秋>
少年法は、非行少年の処遇に関する基本法であり、犯罪行為・触法行為・ぐ犯行為を行った少年を保護観察や少年院送致などの保護処分に付したりする少年保護事件(少年審判)についての各種規定のほか、少年の刑事事件についての規定等も有している。講義では、それらの少年法制の仕組みや特色等について、その理念や実際の運用がどのような状況になっているのかが理解できるよう、通常の刑事裁判の仕組み等と対比しながら論じていく。少年非行の背景や最近の動向等にも触れ、家庭裁判所を中心とした関係機関で行われている実務の実情を知ることができるよう、随時、ビデオを見たり、家庭裁判所・少年鑑別所・少年院等の関係機関の見学等も実施する予定である。
到達目標 / Course Objectives
<秋>
少年法の理念や実際の運用について、その基礎的な理解を習得することが、さしあたっての到達目標である。
少年非行の問題は、個人や家庭の問題であるとともに社会問題の一つでもある。数も多く、法曹としても少年事件の実務に携わる機会が多い状況であるが、法曹になるまでに学ぶ機会が少ないため、はじめて実務を担当することになって戸惑ったり苦慮したりすることが多い実情であるといわれている。法科大学院に在学中から少年法の基礎について学習し実務に取り組む際の手がかりを得ておくことは、法曹を志す者にとって意義深いことである。
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
<秋>
抽象論は避け、少年法が実際にどのように運用されているのか、その実情を理解することができるよう、各種資料や審判例等を用いるとともに、関係機関の見学等も実施するなどして、実務的観点に立った具体的解説を行う。なお、予習・復習を要求する他、受講内容についての理解度確認のため、レポートの提出(1回)を求め、小テストも実施する。
第1回 少年審判の仕組みや手続きの概要等について、ビデオ等も見ながら、解説する
少年審判の機能、目的、基本原理(少年の健全育成と人権保障、司法的機能と福祉的機能、保護優先主義、全件送致主義、秘密保持・非公開の原則、個別処遇の原則、職権主義等)のほか、改正少年法の内容、その運用状況等にも触れる。
第2回 対象少年を巡る諸問題を取り上げる
最近の少年非行の動向・特徴(一般化、低年齢化、凶悪化、いきなり型、暴力、いじめ、薬物、性、援助交際、児童買春、外国人少年の非行等)・今後の展望等について、新聞記事等にも触れながら、具体的に解説する。
第3回 家庭裁判所及び関係機関の現状等を巡る諸問題を取り上げる
少年事件の実務と取り組む警察官・検察官・裁判官・調査官・書記官・付添人・保護者のほか、少年鑑別所、少年院、保護観察所(保護観察官・保護司)、児童相談所、児童自立支援施設等の各現場の実情と問題点等にも触れる。
第4回 家庭裁判所・少年鑑別所・少年院等の関係機関の見学等(第1回目)を実施する
授業内容の理解を具体的にするため、関係機関の見学等(見学先は追って決定)を実施し、当該現場等において補足説明を行う。
第5回 非行発見活動(少年事件の捜査等)を巡る諸問題を取り上げる
少年の取調べ、身柄拘束(逮捕・勾留・勾留に代わる観護措置)、触法少年の事件の調査活動を巡る諸問題等について解説する。
第6回 家庭裁判所における少年保護事件の受理・調査等を巡る諸問題を取り上げる
家庭裁判所の管轄、不告不理の原則、受理(送致)の態様、簡易送致等の問題について解説する。審判条件、法的調査と社会調査、調査命令、調査報告、法律記録と社会記録、記録の閲覧・謄写等の問題にも触れる。
第7回 1)観護措置を巡る諸問題を取り上げる
観護措置の意義、要件、期間、決定時期、手続、方式、通知、異議申立等の問題について解説する。
2)審判の実施等を巡る諸問題を取り上げる
審判の開始決定、審判の準備、審判の進行と方式、審判の原則(非公開・併合・個別・直接)、検察官の関与と国選付添人選任等の問題について解説する。
第8回 非行事実と要保護性の認定を巡る諸問題を取り上げる
非行事実の認定と証拠調、証拠法則(自白の任意性、補強証拠の要否、審判廷の自白、伝聞法則)、職権証拠調の範囲・限度、補充捜査、非行事実認定手続についての法改正(裁定合議制・国選付添人・検察官の審判出席等)のほか、要保護性の審理・認定等を巡る諸問題について、審判例等を取り上げながら、具体的に解説する。
第9回 家庭裁判所・少年鑑別所・少年院等の関係機関の見学等(第2回目)を実施する
授業内容の理解を具体的にするため、関係機関の見学等(見学先は追って決定)を実施し、当該現場等において補足説明を行う。
第10回 1)試験観察(在宅・補導委託)を巡る諸問題を取り上げる
ビデオ等も見ながら、試験観察の目的・要件・手続・期間・内容等について解説する。奉仕活動・親子合宿・保護者教室・その他の保護的措置等にも触れる。
2)保護的措置等を理由とする審判不開始・不処分の終局決定を巡る諸問題を取り上げる
第11回 保護処分を巡る諸問題を取り上げる
保護処分(保護観察・児童自立支援施設等送致・少年院送致)の決定を巡る諸問題について解説する。
第12回 1)保護処分の付随措置等を巡る諸問題を取り上げる
保護処分の付随措置(処遇勧告、環境調査命令、保護処分決定後の措置、押収物の没取・還付)のほか、保護処分の一事不再理効等の問題について解説する。
2)検察官送致決定を巡る諸問題等を取り上げる
刑事処分相当の検察官送致決定と年齢超過の検察官送致決定を巡る諸問題を取り上げる。尚、知事又は児童相談所長送致決定の問題にも触れる。
第13回 家庭裁判所・少年鑑別所・少年院等の関係機関の見学等(第3回目)を実施する
授業内容の理解を具体的にするため、関係機関の見学等(見学先は追って決定)を実施し、当該現場等において補足説明を行う。
第14回 1)抗告を巡る諸問題を取り上げる
抗告の対象、抗告権者、抗告期間、抗告理由(短期処遇勧告がないことを理由とする抗告等)を巡る諸問題のほか、抗告審の手続を巡る問題にも触れる。
2)準少年保護事件の概要について解説する
保護処分取消事件・収容継続申請事件・戻し収容申請事件・施設送致申請事件について解説する。
3)少年補償制度を巡る諸問題について解説する
第15回 1)少年の刑事事件を巡る諸問題を取り上げる
科学主義を活かした審理、少年法55条とその運用の実情、少年の刑事処分に関する特則(死刑と無期刑の緩和・不定期刑・換刑処分の禁止・資格制限の緩和等)のほか、少年を被告人とする裁判員裁判を巡る諸問題等にも触れる。
2)少年の実名報道禁止規定を巡る諸問題を取り上げる。
3)少年事件の被害者に対する配慮の制度(審判の段階における制度・保護処分の執行段階における制度)について解説する。
4)更なる少年法の改正問題等について解説するほか、少年事件の実務(少年保護事件の付添人活動や逆送事件の弁護人活動等)と取り組む際の心得等についても考察する。
授業時間外学習 / Expected work outside of class
<秋>
授業の一環として実施する関係機関の見学等は、関係機関の都合等から、実施の曜日・時間帯・所要時間が本来の「授業時間」と一致しない場合が多い。他の授業科目の受講日程との関係で見学等に参加できない場合は、参加を強制しない(参加できなかった受講生には、参加に代え、後日、参加の際の資料等を配付し解説する)が、できるだけ多くの受講生の参加が可能となるよう、状況に応じて、日程の変更を検討するほか、関係機関の受け入れが可能であれば、異なる曜日に同じ見学等を複数回実施することも考慮する。それらの日程変更等の場合は、予め受講生に周知するよう配慮するが、その関係で、授業の開始時期が9月初旬頃、終了時期が12月下旬頃となるなど、全日程がそれぞれ早まる場合もありうるので、予め留意しておかれたい。
- 成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Course Content
<秋>
定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。レポート(50%)・小テスト等(10%)・受講態度等(40%)を総合的に評価する。
なお、正当な理由なく30分以上遅刻した者の出席については、0.5回の出席として扱う。
基準 / Evaluation Criteria
<秋>
レポートや小テスト等は、少年法の基本的な問題について実施し、各問題についての理解度によって評価する。なお、授業中の質疑応答等の状況も総合評価の参考にする。
- 教科書
Textbooks <秋>
栗原宏武 『少年法(法と社会)』 非売品(レジュメとして受講生に配付する) その他、諸資料を随時配付するので、受領方について留意すること。
備 考 / Note=====================================
<秋>
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参考書
References <秋>
裁判所職員総合研修所監修 『少年法実務講義案(再訂補訂版)』 (司法協会) 川出敏裕 『少年法』 (有斐閣) 植村立郎 『骨太少年法講義』 (法曹会) 田宮裕・廣瀬健二編 『注釈少年法〈第3版)』 (有斐閣)
備 考 / Note=====================================
<秋>
その他、開講時に指示する。
- 備考
Other Comments <秋>