2016 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
法務研究科(法科大学院)
時間割コード
Course Code
96044
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
民法演習1
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
T3
担任者名
Instructor
今西 康人
曜限
Day/Period
木5
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 民法の主として「総則」及び「物権法」の理論的な重要問題であり、かつ、実務においても相当の頻度で取り上げられる問題につき、講学上の基本事例及び重要判例の事案を簡略化した事例を提示し、さまざまな設問によって各事例に関する法的論点と重要な法的事実の発見、法的解決法とその法律構成を、具体的に学ばせる。当該問題の解決基準となる法規の要件充足事実、関係する判例理論につき正確な知識を身に付けさせると共に、様々な法制度・法概念の体系的な意義と相互関連性を事例の検討を通じて深く理解させ、かつ、柔軟な論理的思考力と応用展開力を備えた学力を養成・向上させることを目的とする。

到達目標 / Course Objectives

【到達目標】 民法の「総則」及び「物権法」における下記15テーマに係る基本事例及び基本判例を簡略化した事例を取り上げ、法的論点、判例準則及び主要学説を正確に、事例に即し具体的に理解し、かつ、これら法理論を駆使して同テーマに関係し、又はこれから派生する様々な事例にたいする法的論点発見能力、法的解決能力・解決に係る法律構成力を修得させることが目標である。同時に、複数の法制度・法概念に係る民法横断的な体系的知識を修得することもその目標である。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

 簡単な設例、設例の全部又は一部を加工又は追加したもの及びこれらに関する主な質問事項を記載した教材を事前に配布し、受講生は予習した上で演習に臨んでもらう。講義は双方向的の演習形式で行い、設例及び加工された設例につき具体的回答を受講者に求め、時には全員で議論を行い、全員参加型の演習となるよう特に留意する。さらに予告していない事項につきその場で当為即妙に的確な回答ができるようトレーニングしていく。基準となる学習理解度・到達度を達するためには、予習と復習の反復が必要である。 
 予定する各回のテーマは以下のとおりである。ただし、必要に応じリニューアルを行うので、テーマが変更されることがあることに留意してもらいたい。 
第1回 導入講義 
 民法演習科目の内容及びその学習法、物権関係及び債権関係の区別と交錯(いくつか事例につき両関係の峻別と交錯を取り上げ、両関係の理解を深める)。 
第2回 無権利者の処分行為 
 その法律効果、無効行為の追認、他人物売買との関係など財産法全体にわたる諸論点の関連性について設例を順次加工しながら検討する。 
第3回 94条2項類推及び代理関係1 
 表見法理、表見代理等に関する諸論点について設例を順次加工しながら検討する。
第4回 代理関係2 
 有権代理、無権代理及び表見代理の典型例への事例加工、白紙委任状の濫用、表見代理の重畳適用事例、署名捺印の代行及び商事代理、代理と代表、代理権の濫用又は利益相反行為について典型例への設例加工を行い検討する。 
第5回 契約の成立過程における瑕疵の諸相 
 物品供給契約又はサーヴィス提供契約を素材にして契約の錯誤無効、詐欺・強迫による取消、消費者契約法による取消、公序良俗違反による無効等様々な救済法が機能する各場面を検討する。 
第6回 時効および除斥期間  
 所有の意思と自主占有、時効援用権者の範囲、援用・放棄・中断の相対的効力、起算点、消滅時効と除斥期間の差異について設例を順次加工しながら検討する。民法改正案にも適宜触れる。 
第7回 不動産物権変動1 
 二重譲渡とその法律構成、対抗関係の意義、第三者の範囲等について設例を順次加工してその典型ケースを検討する。 
第8回 不動産物権変動2 
 取消と登記、相続と登記、取得時効と登記など177条の適用範囲について典型ケースを検討する。 
第9回 動産物権変動 
 178条適用事例と引渡しの意義、即時取得の要件を設例を順次加工し検討する。 
第10回 抵当権の効力1 
 304条準用の範囲、抵当権に基づく物上代位と他の制度(相殺、差押え、債権譲渡)との優劣について順次設例を加工し検討する。 
第11回 抵当権の効力2 
 抵当権の及ぶ物的範囲、抵当権侵害の諸類型、妨害排除請求権の行使場面について設例を順次加工し検討する。
第12回 譲渡担保 
 動産、不動産、債権を例にして所有権移転型の非典型担保(譲渡担保等)の意義・効力について順次設例を加工し検討する。  動産及び債権の譲渡の対抗要件特例法にも言及する。
第13回 共同抵当及び代位弁済 
 共同抵当と後順位抵当権者・物上保証人との関係、代位弁済と担保権の法定移転、代位の範囲、担保保存義務違反につき保証人と物上保証人の競合例を中心に検討する。 
第14回 契約の清算関係 
 取消し、解除及び無効の場合における契約の清算関係につき検討する。
第15回 総合テーマ 
 民法総則及び物権法に係る主要テーマにつき再度整理し、理解を深める。

授業時間外学習 / Expected work outside of class

教材につき解答の概略を文書で作成し授業に臨む。受講後は講義を踏まえ作成済み文書を完璧なものとし、かつ、関係判例の正確な理解を行う。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Course Content

定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。期末試験を7割、平常成績(講義時の質問に対する回答等)を3割として総合的に評価する。欠席は、その回数に応じ成績評価において相当の減点を行う。  成績評価については初回授業の冒頭に詳細をアナウンスする。なお、6回以上欠席した者は定期試験の受験資格がない。
2015年度の実績:S→0名、A+→1名、A→6名、B+→2名、B→10名、C+→1名、C→11名、不合格→5名

基準 / Evaluation Criteria

期末試験では、総則及び物権法の法律問題を主たる論点とする事例問題を素材にして民法上の論点の抽出、事実の法的評価、論点に係る判例・多数説の理解、これらを活用した事例問題の法的解決が論理的かつ明晰な法律文章を以てできているかを評価する。平常成績は講義の質疑応答における発言内容(予習の有無・基本知識の確認・コミュニケーション能力)、受講態度、出席状況等を評価する。

教科書
Textbooks


教材は事前に配布する。
六法以外に持参するものとして、中田裕康他編『民法判例百選Ⅰ総則・物権』・同『民法判例百選Ⅱ債権』各第7版・別冊ジュリ(有斐閣)。
なお、総則の標準の教科書として内田貴『民法Ⅰ(第4版)』(東大出版会)、四宮和夫・能見善久『民法総則(第8版)』(弘文堂)、潮見佳男『民法総則講義』(有斐閣)、山本敬三『民法講義Ⅰ総則(第3版)』(有斐閣)、佐久間毅『民法の基礎(1)  総則(第3版)』(有斐閣)。
物権法の標準の教科書として近江幸治『民法講義Ⅱ物権法(第3版)』(成文堂)、佐久間毅『民法の基礎(2)  物権』(有斐閣)、安永正昭『講義物権・担保物権法(第2版)』(有斐閣)、我妻栄『民法講義Ⅱ新訂・物権法』(岩波書店)、七戸克彦『基本講義物権法Ⅰ』(新世社)。
担保物権法のみの標準教科書として道垣内弘人『担保物権法』第3版(弘文堂)、高木多喜男『担保物権法』第4版(有斐閣)。

参考書
References


 教科書のほかに演習物として、内田貴他『民法判例集総則・物権』第2版(有斐閣)、瀬川信久他『民法判例集担保物権・債権総論』第2版(有斐閣)、松本恒雄・潮見佳男編「判例プラクティス民法」1・2(信山社)、安永正昭・道垣内弘人『民法解釈ゼミナール(2)物権』(有斐閣)、磯村保他『民法トライアル教室』(有斐閣)。総則については山本敬三『民法講義Ⅰ総則』第3版(有斐閣)に掲載の事例も参考となる。  なお、関係する判例についてはTKC及びLLIを利用し判例準則を正確に理解し、かつ、判例における当該事案への具体的なあてはめ内容及び具体的解決法を自身で必ずチェックしておくこと。重要判例についてはLLI掲載の最高裁判所調査官解説は必読。この点は講義において質問し、確認する。

備考
Other Comments

 教材で指示した判例については判例データベースであるTKC及びLLI、LLI掲載の最高裁判所調査官解説、教科書等を活用しながら、必ず予習又は復習しておくこと。疑問点を速やかな解決して学習を進めるべく、質問等はオフィスアワー等を利用して積極的に活用すること。演習科目であるので全回出席が原則であり、遅刻又は無断欠席は認めない。受講態度が不良な者、講義の運営又は進行を妨げる者、予習を怠る者等は退席してもらう。