2016 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
62200
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
解析力学
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
伊藤 博介
曜限
Day/Period
金2
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 17世紀にニュートンにより確立された古典力学は,その後おもにフランスとドイツで数学的整備がなされた。ニュートンの運動方程式は,たとえば直交直線座標と極座標で形が変わるように,座標系のとり方に依存し,また,束縛条件がある場合に見通し良く運動方程式を解くことは難しい。これに対し,ラグランジュの運動方程式やハミルトンの運動方程式は,座標系を自由に選定しても,また束縛条件がある場合でも,形が変わらない。従って,これらの方程式を用いると変数の取り方に捉われない一般な問題の解法が与えられる。
 また,解析力学では「変分」という新しい概念を用いて,ラグランジュの運動方程式やハミルトンの運動方程式を統一的に理解することができる。力学の法則をそのように見直し,さらに方程式そのものの性質を調べることにより,解析力学は量子力学や統計力学へとつながった。  
 本講義では,最初に古典力学(ニュートン力学)の簡単な復習をしてから,座標と座標変換についての理解を深めたのちに,ラグランジュの運動方程式やハミルトンの運動方程式がどのようにして導き出されるかを学び,これを具体的な問題に適用する。さらに,量子力学・統計力学への橋渡しという観点から,正準変換と位相空間について理解した後に,解析力学と電磁気学,統計力学,量子力学とのかかわりについて学ぶ。

到達目標 / Course Objectives

(1)  位置ベクトル,速度,加速度の極座標表示を習得する。
(2)  ラグランジュとハミルトンの運動方程式を理解し,それを種々の力学系に適用できる。
(3)  変分原理を理解する。
(4)  位相空間の概念を理解し,正準変換とは何かを理解する。
(5)  電磁界中のラグランジアンとハミルトニアンを理解する。
(6)  古典力学の破綻を理解するとともに解析力学と量子力学の関わりについての初歩的理解を得る。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1章.古典力学(ニュートン力学)の復習 
 第1回 質点の運動,質点系の運動,2質点系の重心運動と相対運動 
第2章.座標と座標変換 
 第2回 デカルト座標(直線直交座標)  と座標の回転
 第3回 極座標と回転座標系,慣性系と加速度計 
第3章.ラグランジュの運動方程式 
 第4回 一般化座標,一般化運動量,一般化された力 
 第5回 ラグランジアンとラグランジュの運動方程式 
第4章.変分法とハミルトンの運動方程式
 第6回 変分原理とハミルトンの変分原理 
 第7回 ハミルトニアンとハミルトンの運動方程式 
 第8回 中間テスト
第5章.正準変換 
 第9回 位相空間と正準変換:その1
 第10回 正準変換:その2
 第11回 ポアッソンの括弧式、正準変換不変量、リウビルの定理
第6章.物理学における解析力学 
 第12回 電磁界中のラグランジアンとハミルトニアン
 第13回 量子力学と解析力学:古典力学の破綻
 第14回 量子力学と解析力学:前期量子論
第7章.まとめ 
 第15回 まとめと到達度の確認

授業時間外学習 / Expected work outside of class

1.教科書・ノートを何度も読み,講義内容の理解に努めること。 
2.演習問題を必ず解いてみること。
3.分からない所は積極的に質問すること。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Course Content

定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。 中間テストと到達度確認テスト(80%),平常点(レポート+講義への取り組み)(20%)。

基準 / Evaluation Criteria

 講義で取り上げた基本概念や基本問題についてきちんと理解できているかどうかを評価する。

教科書
Textbooks

ランダウ,リフシッツ  「力学(増訂第3版)」  (東京図書)  

参考書
References

久保謙一  「解析力学」  (裳華房フィジックスライブラリー)   宮下精二  「解析力学」  (裳華房テキストシリーズ-物理学)   前野昌弘  「よくわかる解析力学」  (東京図書)  

備考
Other Comments

1.力学,微分・積分,ベクトル解析,線形代数に関する素養をある程度持っていることを前提とする。
2.解析力学は量子力学や統計力学の基礎となるものなので,解析力学の考え方を身につけておくことは非常に重要である。従って,解析力学演習を受講して,自らのあたまで考えて問題を数多く解き,解析力学を確実に習得することを強く勧める。

 オフィスアワーについては,授業終了時あるいはメールにて随時受付を行う。メールアドレス:hitoh@kansai-u.ac.jp