2016 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
65149
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
分光物理化学
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
2
担任者名
Instructor
川崎 英也
曜限
Day/Period
木3
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

分けた光を使って,原子・分子・分子の集合体・物質などの性質や構造を調べる学問である”分子分光学”の基礎ついて学ぶ。分光学による研究では,分子が吸収あるいは放出する電磁波の振動数(波長)とその量(強度)を測定する。これらの情報を定量的に解析することによって,電磁波と相互作用する分子の形(構造),分子の運動,分子の環境,及び電子の配列(電子状態)などを詳細に知ることができる。そのため,分子分光学は生体物質の分子の構造と性質を調べる上で強力な研究手段になる。例えば,ラジオ波との相互作用では,タンパク質などの生体関連物質の構造を知ることができ,病院ではMRI  として利用されている。本講義では,以下の講義計画に沿って,電磁波と分子との相互作用によって観測されるスペクトルの理論的基礎を中心に説明する。そして,得られたスペクトルをどのように解釈するのかについて,生体関連物質を例にあげて説明する。この授業を通じて,分子と電磁波(マイクロ波,赤外,紫外/可視,ラジオ波)との相互作用によって観測される様々なスペクトルについて学ぶことができる。

到達目標 / Course Objectives

到達目標及びテーマ
分子が光(電磁波)を吸収あるいは放出する機構を理解できるようになる。
分子が吸収(放出)する光(電磁波)の振動数(波長)とその量(強度)を定量的に解析することによって,分子の形(構造),分子の運動,分子の環境,及び電子の配列(電子状態)などを詳細に知ることができることを理解できる。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

1〜3週
【分子分光学の基礎  】 
分子によって吸収あるいは放出される電磁波の振動数(波長)とその量(強度)の関係を表すあるスペクトルの基礎について学ぶ. 

1.  光の種類と性質,ボーアの振動条件,  光の吸収と吸収スペクトル2. スペクトル線の強度,ランベルトーベールの法則,実験技術 
3.  光の誘導吸収・誘導放出・自然放出,選択律と遷移モーメント 

4〜6週
【マイクロ波の吸収:回転スペクトル  】 
分子の回転運動との相互作用であるマイクロ波の吸収と分子の回転状態について解説する.  マイクロ波分光測定より得られる情報(分子の回転のエネルギー状態,慣性モーメント,分子構造,等々)について講義する. 

4.  剛体回転子の慣性モーメント,回転エネルギー準位(回転定数,回転項),
5.  回転スペクトル(回転選択律,回転スペクトルの形,  回転スペクトルと分子の結合長) 

7〜9週
【赤外線の吸収:振動回転スペクトル  】 
 赤外線吸収の基本原理,分子振動と分子構造の関係等について講義する. 

6.  二原子分子の振動,二原子分子の振動のエネルギー準位,非調和性 
7.  選択律(赤外活性,基本遷移),二原子分子の振動回転スペクトル  の形 
8. 多原子分子の振動,特性振動数,スペクトルの様相と分子構造 

10〜13週
【可視紫外吸収と発光(蛍光・燐光)】 
分子の電子・振動・回転状態のエネルギー準位とそれぞれの関係を理解し,分子の電子励起・緩和過程やその機構を講義する. 

9.  分子の電子・振動・回転状態のエネルギー準位,フランク-コンドンの原理,垂直遷移 
11.  電子遷移の種類:d-d遷移,振電遷移,電荷移動遷移,π*←πおよびπ*←n  遷移 
12.  電子励起状態がたどる道  :蛍光とりん光 

14〜15週
【核磁気共鳴】 
核スピンのエネルギー状態や核磁気共鳴の基本原理を説明できる. 

13.  核スピン,外部磁場による核スピンエネルギーの分裂とラーモア周波数,核磁気共鳴

授業時間外学習 / Expected work outside of class

授業資料、教科書、ノートを読み返し、授業内容の理解に努めるよう復習をすること。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Course Content

定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。定期試験(70%)、平常成績(30%)

基準 / Evaluation Criteria

定期試験、授業レポート、出席等を合算して評価する

教科書
Textbooks

P.W.Atkins  「  アトキンス物理化学  第8版・下」  (東京化学同人)  

参考書
References

尾崎幸洋,岩橋秀夫  生体分子分光学入門  (共立出版)   P.W.Atkins他  「アトキンス問題の解き方」   (東京化学同人)   千原、江口、斎藤訳  「マッカリー・サイモン物理化学  上」  (東京化学同人)   千原、江口、斎藤訳  「マッカリー・サイモン物理化学  下」  (東京化学同人)   David  W.  Ball,田中,阿竹訳  「ボール 物理化学 上  」  (化学同人)   David  W.  Ball,田中,阿竹訳  「ボール 物理化学 下  」  (化学同人)  

備考
Other Comments

本講義においてエネルギーの計算などが必要になるので、電卓を必ず持ってくること。

オフィスアワーについて:メールにて随時受け付けを行います。 
hkawa@kansai-u.ac.jp