- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 化/工
- 時間割コード
Course Code - 65137
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 塑性加工学
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 春/2
- 担任者名
Instructor - 西本 明生
- 曜限
Day/Period - 木1
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
金属の塑性加工は,金属の塑性という性質を利用して行われるものである。実用金属は一般に多結晶体であっても,結晶内の力学的性質と結晶粒界の性質にはほとんど差がないため,荷重を加えると比較的一様に変形する。金属の塑性は結晶面上でのすべり変位,双晶変形,無拡散相変態などによって生じる。しかし,塑性加工において利用されている塑性は主にすべり変位に基づいており,荷重によって原子の位置が格子点から変位し,除荷に際しても原子は次の原子の格子点に移動してしまい結晶内に永久変位が残ることとなる。一般の金属材料には転位と呼ばれる初期変位が多数存在するが,塑性変形を生じさせる荷重は結晶内でこの初期変位の分布を移動させるのに必要な荷重である。このように転位の存在は結晶の塑性変形を容易にするが,しかし転位密度の増大は初期変位の相互作用によってかえって塑性変形に必要な荷重増大をもたらす。これが冷間加工による加工硬化の原因である。しかし,この硬化作用は原子の拡散が可能になる温度で加熱すれば転位密度を下げ変形抵抗をふたたび減少させ,塑性加工を容易にさせる。
一般に塑性加工では材料が主に圧縮荷重を受ける加工を「圧縮加工」,引張り荷重を受ける加工を「引張り加工」,曲げモーメントを受ける加工を「曲げ加工」,せん断力を受ける加工を「せん断加工」としている。 圧縮加工では,材料は1軸,2軸,3軸の圧縮応力を受けて変形する。したがって破壊が生じにくく,変形の初期または変形域の入口で座屈を生じないように注意すれば,一般に大きな変形を生じさせることができる。引張り加工では少なくとも1軸にかなり大きな引張り応力が作用する。したがって加工はくびれの発生によって制限されるので,一度に大きな加工は与えられない。曲げ加工では変形域は引張り変形部と圧縮変形部からなる。せん断加工では変形域は一つの面の近傍に局限され,その面に沿って降伏せん断応力が作用する。
本講義では,材料工学の基本知識を修得させることを目的として,塑性加工に関連した金属結晶学や力学的特性,さらにこれらの種々の応力が組み合わされた材料製造プロセスに関する基本的知識と関連させながら,塑性加工を具体的に行うところの鍛造,圧延,押出し,引抜き,各種板材加工法等について講述する。到達目標 / Course Objectives
(1) 塑性加工に必要な金属材料学的知識の修得
(2) 塑性加工に必要な力学的基礎知識の修得
(3) 塑性加工法の中の鍛造,圧延,押出し,引抜き,板材加工等の具体的加工法に関する知識の修得
(4) 材料の省資源化や循環型社会の構築に関連した塑性加工法に必要な基本的な事項の修得
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1週 塑性加工法の目的
塑性加工の目的は(1)目的の形状に加工すること,(2)材質の改善の2つに大別できる。それぞれ具体的な例をあげながら解説する。
第2週 塑性加工の加工条件
塑性加工は冷間加工と熱間加工に大別できる。前者は再結晶温度以下の,後者は再結晶温度以上の温度域の加工であり,冷間加工を加えると金属材料の転位密度が増大しひずみ硬化する。これらの条件で塑性加工を加えた材料の諸性質について解説する。
第3週 塑性加工の応力
塑性加工は,圧縮,引張り,ねじり,曲げおよびせん断応力等により目的の形状に加工し,最終的には強靱な材料の調製を目的とする場合が多いが,この項では応力の種類と関連させながら種々の加工法について解説する。
第4週〜第5週 塑性加工の金属学的基礎
固体を構成する原子またはイオンの三次元的配列による結晶構造の基礎的物性から,結晶中の格子欠陥の種類と性質,金属材料の諸特性に及ぼす影響,すべり変形,加工硬化および破壊等について3週にわたり主に次の項目について解説する。
1. 結晶構造
2. 単結晶体および多結晶体の塑性変形
3. 応力-歪曲線
4. 降伏現象と破壊
5. 集合組織
第6週 変形抵抗と変形能
塑性変形に対する抵抗は材料の強化を意味する。転位の移動を妨げる方法についての基礎と応用に関して解説する。金属材料は最終的には強靭性の向上を目的とする場合が多く,強化と共に延性の改善に関する方法について解説する
第7週 塑性変形させた材料の組織と性質
冷間加工された金属材料には多くの転位が導入され同時に結晶粒は歪を受け加工硬化する。これを再結晶温度以上に加熱すれば転位の再配列により材料は軟化する。この過程における組織ついて材料の強靱化と関連させながら解説する。
第8週 クリープ変形および超塑性変形
金属材料を使用する場合クリープ現象を無視することはできない。とくに高温で使用する場合は主要な因子である。本項ではクリープの機構について解説する。
第9週〜第10週 鍛造加工
鍛造加工はハンマーとアンビルあるいは金型と金型の間で材料を圧縮することによって塑性変形させ目的の形状に成形する加工法である。塑性加工の中ではもっとも古い歴史を持ち,現在多くの機械部品がこの加工法によって作られている。鍛造による材料の変形機構と具体的な技術について解説する。
第11週 圧延加工
圧延加工は,回転する複数のロールの間に板状または棒状の材料を通して,その厚さまたは断面積を減じ,同時に断面を目的の形状に成形する加工法である。圧延の際,材料はロールからの摩擦力によってロール間隙に引込まれ,そこでロールからの圧縮力を受けて変形する。圧延による材料の変形機構と具体的な技術について解説する。
第12週 押出し加工
押出し加工法は円筒状のコンテナに材料を入れて,その両端から圧力を加え,加圧板の一方またはコンテナに設けたダイス孔から流出させることにより,丸棒,管,形材など一定の断面をもった製品を得る加工法である。加工は圧縮応力だけで行われるため緻密で健全な材料を製造することができる。押出しによる材料の変形機構と具体的な技術について解説する。
第13週 引抜き加工
引抜き加工は,材料をダイスに通して引張り,ダイス穴形状と同一の断面の棒,線および管材を得る加工法である。このため,長さ方向の引張り応力すなわち引抜き応力と,ダイス面からの横方向の圧縮応力の相互作用によって素材の断面が定常的に成形される。引抜きによる材料の変形機構と具体的な技術について解説する。
第14週 板材加工
板材の加工には(1)せん断加工,(2)曲げ加工,(3)深絞り加工がある。せん断加工は一対の工具に圧縮力を加えて材料をせん断変形させ,破壊分離させる加工法である。曲げ加工には加工形式によって種々の方法があるが板,棒,管,形材等の成形加工には必ずこの曲げ加工が含まれている。深絞り加工は板材の立体化成形法の中でも最も重要なもので,板材をポンチとダイスにより加工し,継目のない底付きの容器に成形する方法である。各種板材加工による材料の変形機構と具体的な技術について解説する。
第15週 総括授業時間外学習 / Expected work outside of class
授業資料、教科書、ノートを読み返し、授業内容の理解に努めるよう復習をすること。
- 成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Course Content
定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。成績評価割合:定期試験(80%)、小テスト(20%)
基準 / Evaluation Criteria
定期試験で80%の評価を行う他,授業時間中に実施する小テストの成績で20%の評価を行う。
- 教科書
Textbooks
プリントおよびノート講義
-
参考書
References 町田輝史,古閑伸裕 『絵とき「塑性加工」基礎のきそ』 (日刊工業新聞社) 日本塑性加工学会 編 『塑性加工入門』 (コロナ社) 朝倉健二 『塑性加工』 (共立出版) 木内 学 『塑性加工』 (丸善) 加藤健三 『金属塑性加工学』 (丸善) 河合 望 『塑性加工学』 (朝倉書店) 長田修次, 柳本 潤 『基礎からわかる塑性加工』 (コロナ社) 川並 高雄, 関口 秀夫, 齊藤 正美, 廣井 徹麿 『基礎塑性加工学(第3版)』 (森北出版) 小坂田宏造, 森 謙一郎 編著 『塑性加工学 改訂版』 (養賢堂)
- 備考
Other Comments 本科目の学習・教育到達目標:C, B
本科目の基礎となる科目:物理を学ぶ1(演習含)(基礎物理学1),物理を学ぶ2(演習含)(基礎物理学2),物理化学3,材料の強さと変形(演習含),結晶構造とX線回折,マテリアル科学実験1,2およびマテリアル工学実験1,マテリアル科学演習1,格子欠陥と塑性変形,材料の強さと組織,金属材料
本科目を基礎とする科目:マテリアル工学実験2,マテリアル科学演習2,特別研究1,2
オフィスアワーについて:毎回の授業終了時に受付を行いますので、各自申し出てください。またメールでも随時受付けます。
メールアドレス:akionisi(アットマーク)kansai-u.ac.jp