2016 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
62282
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
熱力学1(演習含)
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/4
GG1
担任者名
Instructor
松本 亮介
曜限
Day/Period
月2/水2
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

熱機関は発電、輸送機器、空調・冷凍設備など産業・民生の部門で極めて重要な位置を占めている。特に近年では、地球温暖化、化石燃料枯渇、これに東北大震災後の原子力事情が絡み合い、現代社会を成立させるための前提となるエネルギーに関する正しい知識はより重要なものとなっている。
熱力学はこのようなエネルギー、エネルギー変換の基礎を与える学問分野であるだけでなく、熱や物質の拡散、移動、さらには材料生成過程にも直接的に関わる基幹科目であるため、機械工学においては材料力学、流体力学、機械力学と合せて4力学と称され重要視されている。この熱力学は物質を連続体と見る巨視的な立場から出発してその理論体系が構築されてきたが、一方では個々の気体分子の微視的な運動を統計的側面から記述する統計力学と呼ばれる立場からも学問体系が構築されている。本講義では機械工学の立場から熱力学において特に重要な基礎概念である熱力学の第1法則(エネルギーの保存則)、エントロピーに関する第2法則、さらには理想サイクルであるカルノーサイクルを理解することを目的とする。

到達目標 / Course Objectives

本講義の到達目標は次の①〜③である。
①気体分子運動論と連続体理論双方から圧力、内部エネルギー、温度、理想気体の状態方程式などの基礎概念を理解している。
②気体の状態変化過程、仕事、熱、エントロピー、エンタルピー、エクセルギーなど熱力学的諸量を理解している。
③カルノーサイクルを具体例として熱機関のサイクルについて理解している。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

古典的な気体分子運動論から出発して、巨視的な立場からの記述との関係と密接に関連させながら熱力学の基礎知識ならびに計算能力を養う。本科目は週2回の講義と演習からなっており、以下の項目は2回をペアとした1週間あたりの内容である。
なお、到達度により調整もありうる。

  1.  気体の取扱い
 高校で学んだ、ボイルシャルルの法則に代表される連続体としての気体の取扱いを復習をかねて説明する。
  2.  気体分子運動論   
 気体分子運動論による気体の取り扱いを説明する。また、量子論的な気体の取り扱い、確率統計論的な取り扱いについても解説する。
  3.  エネルギーとエントロピー
 エントロピーの基本概念、熱力学的温度について説明を行う。
  4.  熱力学の法則、恒等式
 エントロピーの概念を交えて、熱力学の法則、熱力学の恒等式、熱と仕事に関して説明を行う。
  5.  理想気体・比熱 気体の状態方程式、比熱に関する説明を行う。
  6.  過程Ⅰ
 等温変化、等容変化、等圧変化に関する説明を行う。
  7.  過程Ⅱ
 等エントロピー変化、等エンタルピー変化に関する説明を行う。
  8.  到達度の確認
 主として、気体の取り扱いから過程までの到達度の確認を行う。また、その解説を含めてここまでの総括を行う。
  9.開いた系と閉じた系
 開いた系と閉じた系における、仕事、エネルギー保存について説明を行う。
10.熱機関の基本要件
 ここまでの知識をもとに熱機関を考える場合の基本要件を説明する。
11.カルノーサイクル(原動機)
 理想サイクルであるカルノーサイクルをもちいた原動機について説明する。
12.カルノーサイクル(冷凍機)
 原動機の逆サイクルとなる冷凍機について説明する。
13.  サイクル論とエクセルギー
 エクセルギーの基本的な考え方を説明し、これを踏まえてサイクルを説明する。
14.  非可逆性をもつ熱機関
 サイクルで発生する非可逆性について説明する。
15.  全体総括と到達度確認
 熱力Ⅰ全体の総括を行うとともに、到達度確認を行う。

なお各講義ごとに基本的な演習問題を課する。

授業時間外学習 / Expected work outside of class

レポート提出用の演習問題を指定するが、それ以外も取り組むことが望ましい。
受講に際しては高校の物理Ⅰの「運動とエネルギー」、物理Ⅱの「分子、原子の運動」の内容を復習し十分に理解しておくこと。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Course Content

定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。毎回演習問題を課し、その結果を平常成績とする。なお単位修得にはこの課題提出を必要条件とすることから、毎回の出席ならびに全ての課題に適切に対応することが必要である。
なお、都度行う到達度の確認は均等に評価する。

基準 / Evaluation Criteria

①気体分子運動論と連続体理論双方からの圧力、内部エネルギー、温度、理想気体の状態方程式に関する理解度を評価する。
②気体の状態変化過程、仕事、熱、エントロピー、エンタルピー、エクセルギーなど熱力学的諸量の理解度を評価する。
③カルノーサイクルの理解度を評価する。

教科書
Textbooks

竹中信幸,小澤守  『工業熱力学入門-初歩の統計熱力学からサイクル論へ』  (コロナ社)   小澤守,梅川尚嗣,松本亮介,網健行  『演習 工業熱力学』  (電気書院)  
教科書を基本にした講義を行う。レポート提出の対象とする演習問題は適時指示する。

参考書
References

日本機械学会  『JSMEテキストシリーズ 熱力学』  (日本機械学会)   戸田盛和  『熱・統計力学』  (岩波書店)   キッテル原,山下,福地訳  『熱物理学』  (丸善)  

備考
Other Comments

毎回の講義には教科書、電卓、学科指定のレポート用紙、ホッチキス持参のこと。
オフィスアワーについては随時受け付けるので各自申し出ること。
なお、受講に際しては高校の物理科目での「運動とエネルギー」、「分子、原子の運動」の内容を復習し十分に理解しておくこと。