2016 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
50829
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
心理測定法
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
春集/4
担任者名
Instructor
清水 和秋
曜限
Day/Period
金4/金5
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

<春学期集中> 
心理測定法(psychometrics)は,心理学的研究とその成果の応用において必須の方法論に関する科目である。この授業では,心理学固有の測定に関する問題とその質を評価する方法について,基礎的な概念・分析手法そして心理テストや測定の実際を対象にして講義する。心理学の実証的研究の専門論文を理解するために必要な測定に関する専門用語の解説を行う。心理テストや実証的研究の事例あるいはデータ解析結果などを教材として,より具体的に式と図を併用しながら「はかる」ということの本質と方法論の理解を深めることができるようにしたい。そして,心理テスト使用資格に必要な学部レベルでのテスト実施の体験や知識の習得も目標としている。なお,この科目は,「心理学データ解析実践学習プログラム」と「心理テスト実践学習プログラム」の必修科目である。2コマ連続で授業を行う。

到達目標 / Course Objectives

1)心理学における質問紙法検査についての知識を身につける。
2)信頼性や妥当性を心理尺度構成と関連させて理解できる。
3)因子分析法の基礎的知識を身につける。 
4)心理学の実証的研究の方法論について理解できる。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

<春集> 
1)序論(第1週) 
 1.  心理学における測定:構成概念 
 2.  心理テストの歴史
 3.  個人間差の概念と測定 
 4.  心理テストの体験1: Big  Five性格検査(尺度採点・プロフィール作成・測定の標準誤差) 
2)統計の復習と新しい動き(第2週) 
 1.  測定の基礎的概念:「数」と「数える」 
 2.  測定の4尺度水準:名義・順序・間隔・比率 
 3.  得点の分布(平均・分散・正規分布・歪度・尖度) 4.  2つの変数の関連(共分散・相関係数) 
 5.  変数の合成(=尺度) 
 6.  統計的判断と標準誤差,検定力と効果量 
 7.  心理テストの体験2:YG性格検査(標準得点・偏差値・プロフィール) 
3)心理テストの構造と個人間評価の方法(第3週) 
 1.  個人間の多様性とその理解の方法 
 2.  構成概念と測定尺度・心理検査
 3.  測定の誤差と反応歪曲 
 4.  心理テストの体験3:キャッテルCF知能検査の体験 
4)能力の測定と構造(第4週) 
 1.  項目困難度(通過率) 
 2.  2値データの統計量 
 3.  知能の構造と測定
 4.  行動遺伝学 
5)信頼性とその推定方法(第5〜6週) 
 1.  古典的テスト理論:真の得点+ランダム誤差 
 2.  信頼性の定義 
 3.  測定の標準誤差 
 4.  信頼性の推定(再検査法・平行テスト法) 
 5.  合成と信頼性(スペアマン・ブラウンの公式) 
 6.  内部一貫性からみた信頼性の推定(α係数) 
 7.  差得点の信頼性 
 8. 心理テストの体験4と5:GHQ(第5週)と:PFスタディ(第6週) 
6)妥当性とその検証方法(第7週) 
 1.  定義と妥当性の証拠 
 2.  妥当性の推定方法:回帰分析・重回帰分析,判別分析 
 3.  妥当性係数とその解釈 
 4. 心理テストの応用 
7)古典的テスト理論の総括(第7週続) 
 1.  尺度と尺度の構成原理 
 2. 古典的テスト理論の限界 
 3.  モデルと操作 
 4. 心理テストの体験6:EQS
8)因子分析法(第8〜9週) 
 1.  因子分析モデル:次元性と階層性
 2.  探索的因子分析法:方法と結果の解釈 
 3.  確認的因子分析法:仮説と因子軸の回転 
 4.  検証的因子分析法:因子的不変性 
9)項目応答理論(第10週) 
 1.  2値項目の困難度と識別力 
 2.  項目とテスト情報:項目特性曲線 
 3.  項目応答理論の応用 
 4.  心理テストの体験7:クレペリン検査 
10)心理テストの構成(第11週) 
 1.  項目分析と尺度構成 
 2.  心理テストの編成・個人診断の方法
 3.  心理テストの結果解釈と実際 
 4.  心理テストの体験8:CISS 
11)一般化可能性理論(第12週) 
 1.  G研究:分散分析によるテストに関係する要因の分析 
 2.  D研究:テスト実施のシナリオの決定 
12)構造方程式モデリング(第13〜14週) 
 1.  検証的因子分析法(因子の不変性、等価性、縦断的因子分析法など) 
 2.  共分散構造の解析と因果モデル 
 3.  平均構造の解析モデル 
13)まとめ(第15週) 
 1.  尺度構成の方法と応用利用の注意点 
 2.  変化の測定 
 3.  心理学的モデルの構築:相関的分析から因果的モデル化へ

授業時間外学習 / Expected work outside of class

配付する資料、紹介した文献、ノートを読み返し,授業内容の理解に努めるよう復習をすること。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Course Content

定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。平常成績は授業時間内に指示する課題(毎週)とレポート(1回)による。これに定期試験(筆記)の成績を合算する。授業時間内の課題を20%、レポート20%、定期試験の評価を60%として合算し、最終成績とする。

基準 / Evaluation Criteria

心理テストや心理測定法の基礎知識についての理解の程度を評価する。

教科書
Textbooks


特に指定しない。プリント資料を配付する。

参考書
References

T.P.ホーガン 繁桝算男・椎名久美子・石垣琢磨 (共訳)  心理テスト-理論と実践の架け橋  培風館   日本パーソナリティ心理学会(企画) 二宮克美ほか(編集)  パーソナリティ心理学ハンドブック 21章 パーソナリティ測定の基礎  福村出版    1節:信頼性(井上裕光),2節:妥当性(松田浩平),3節:多変量解析(服部 環),4節:構造方程式モデリング(清水和秋) 
そのほか,授業中に指示する。

備考
Other Comments

2014年次入学生から始まった「心理テスト実践学習プログラム」と「心理学データ解析実践学習プログラム」の必修科目である。これらのプログラム修得を希望する学生は、2年次での履修が望ましい。前者のプログラムの必修科目としては「心理アセスメント」「職業指導の技術ⅠⅡ」であり、後者の必修科目としては初級心理学実験実習・中級心理学実験実習の他に「推測統計学」,「心理調査法ⅠⅡ」「心理学データ解析演習ⅠⅡ」がある。オフィス・アワーは木3限とする。質問はemail(shimizu@kansai-u.ac.jp)でも受け付ける。