2016 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
40955
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
寄附講座(近畿労働金庫-非営利・協同セクターが担う支えあいの経済-)
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
杉本 貴志
曜限
Day/Period
木2
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 2008年秋のリーマン・ショックや2011年の欧州経済不安など、これまでのマネー主導型の経済は各地に加熱経済を生みつつ、一方でコミュニティの崩壊を生み出しています。さらに、その経済によって、雇用不安や貧困、格差問題、児童虐待など数多くの社会課題が引き起こされています。それに対して、相互扶助の精神で設立された協同組合組織は、支えあいの経済を担っているともいえます。2012国際協同組合年を継承し、国際協同組合同盟(ICA)が提唱する“2020年への挑戦”の取り組みの一環として、本寄附講座を実施します。
 本寄附講座では、非営利・協同セクターの基礎を学ぶことに加えて、協同組合組織の実践者による具体的な活動の講義を中心とします。様々な実例を紹介することで、協同組合組織の事業への理解と、福祉・環境・労働などにも関わる幅広い取り組みを知ってもらい、支えあいの経済とはどういうものかについて、学生に実感してもらうことをめざします。

到達目標 / Course Objectives

(1)  非営利・協同セクターの多岐にわたる事業について理解できる。 
(2)  通常の企業の経済活動とは少し異なる、相互扶助の精神で設立された協同組合組織が担う「支えあいの経済」への視点を身につける。 
(3)  事業を通じて社会課題に応える実践方法を修得する。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1回
関西における「非営利・協同」ビジネスの世界
杉本貴志(関西大学商学部教授)、浦田和久(近畿労働金庫地域共生推進室長)
講義のイントロダクションとして、関西地方、とくに大阪の経済において、協同組合などからなる「非営利・協同セクター」はどのような位置を占めているのか、概観する。

第2回
銀行と協同組織金融とはどう違うか
浦田和久(近畿労働金庫地域共生推進室長)
第二次大戦後に労働組合・生協などが、労働者のために設立した協同組織金融が近畿ろうきんである。その事例を通じて、協同金融の役割と課題、そして社会づくりの道具立てとしての可能性を探る。また、NPOのゲストを招いての対談も予定している。

第3回
日本の生協
和田寿昭(日本生活協同組合連合会専務理事)
日本の生活協同組合の歴史と歩みを中心に、様々な事業展開や種類などの全体像を紹介し、消費者が食の安心・安全をいかに追求し、その活動領域を広げてきたかを探る。また、大学生協の歴史・理念・取り組みについて講義する。

第4回
保険と共済はどう違うか
濱田毅司(全労済中日本事業本部専務執行役員)
保険会社とは似て非なる共済について、共済と保険の違い、あゆみや事業内容と共に、火災共済が日本で初めてスタートした大阪における共済事業の発展を振り返り、非営利団体の存在意義を説く。

第5回
生協の店舗事業政策
藤井克裕(大阪いずみ市民生活協同組合理事長)
非営利を目的とする協同組合であるが、厳しい競争の中で事業が存続していくには、一定の収益確保が必要である。ここでは、いずみ市民生協の店舗事業政策と運営を学ぶ。さらに、食品リサイクルにおける障がい者雇用など、事業を通じたコミュティへの関与の実践から、非営利組織の経営を考える。

第6回
講義前半のまとめ
杉本貴志(関西大学商学部教授)

第7回
生協の無店舗(宅配)事業政策
多村孝子(コープこうべ執行役員兼無店舗事業部事業部長)
日本の購買生協の中で最も長い歴史と多くの組合員を持つコープこうべの無店舗(宅配)政策と運営について学ぶ。また、生産者と消費者をつなぐ仕組み、宅配による高齢者の見守り活動や災害時の物資供給活動などコミュニティへの関与の実践について講義する。

第8回
生協と環境問題
森宏之(市民生活協同組合ならコープ理事長)
生協では事業でのエネルギー政策と共に、様々な環境活動を行っている。‘吉野共生プロジェクト’として、森づくり、自然・歴史・文化の継承、産業振興など複合的に進める環境の取り組みを講義する。

第9回
生協の組合活動と女性のエンパワーメント
柴田弘美、川村幸子(京都生活協同組合副理事長)
生協の組合員の多くは女性であり、組合員活動を通して学習・実践を重ねることで、女性が活躍してきた歴史がある。組合員から生協運営に携わり経営者にもなった体験談から、女性のエンパワーメントについて考える。

第10回
農と地域に根ざした活動による地域貢献〜JAの取り組み〜
藤田正幸(兵庫六甲農業協同組合伊川支店長)
JAは、組合員の参加と結集を基本に事業・活動を行う組織で、農業生産に必要な肥料や農薬などの資材の共同購入や、農畜産物の共同販売を行っている。ここでは、都会であり田舎でもある地域性を活かした、地域農家への協同組合的なマネジメントなどを講義する。

第11回
漁業とともに、社会とともに〜漁業協同組合の取り組み〜
突々淳(兵庫県漁業協同組合連合会参事)
漁師は海の防人で、漁業協同組合は海の生産者協同組合である。ここでは漁業の現状・課題と共に、漁業協同組合の役割と事業、地元で獲れた魚を美味しく食べる普及活動などについて講義する。

第12回
非営利・協同と労働組合
高橋均(労働者福祉中央協議会労働者福祉運動アドバイザー)
人は労働者と消費者の両面を持ち地域社会で暮らしを営んでいる。今後の共生社会を展望する際、非営利・協同セクターである協同組合と労働組合の相互関係について考えることは重要な意味がある。その歴史を振り返り、現状と今後の課題を考える。

第13回
地域に根差した医療〜医療生協の取り組み〜
髙橋泰行(医療生協かわち野生活協同組合副理事長)
医療生協は、地域の人が協力協同して「生協」をつくり、病院や診療所、介護施設や介護事業所をつくり、福祉や医療の専門家と生協の組合員がともに運営している。ここでは、医療生協が地域に果たす役割について、その理念と事業から紐解いてみる。

第14回
公正な市場と消費者団体の役割
西島秀向(特定非営利活動法人消費者支援機構関西事務局長)
消費行動は、私たちの暮らしにとって欠かせないものです。今、事業者と消費者の相互理解と信頼の確立により、よりよい消費者市民社会の形成が大きな課題です。消費者団体が誕生してきた歴史、現状から、よりよい社会づくりに向けて必要な視点を考える。

第15回
講義全体のまとめ
杉本貴(関西大学商学部教授)
これまでの講義をまとめ、本講義を総括する。

授業時間外学習 / Expected work outside of class

非営利・協同組織についてのマスメディアの報道に関心を持ち、常にそうした情報をフォローすることが必要である。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Course Content

定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。成績評価割合:筆記による学力確認55%、平常成績(毎講義時の提出物)45%
※成績評価方法を到達度の確認から定期試験に変更しました(10/6)

基準 / Evaluation Criteria

講義の理解度により評価する。

教科書
Textbooks

参考書
References

備考
Other Comments

履修者数が多数になった場合には、定期試験期間中に試験を実施することがあります。成績評価の方法の変更については、インフォメーションシステム等で連絡します。
※成績評価方法を到達度の確認から定期試験に変更しました(10/6)