2016 年度の講義概要のデータベースを検索します。
学部・研究科
Faculty/Graduate School
経/商/社/シ/環/化
時間割コード
Course Code
00634
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
政治学のすすめ
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
A 1
担任者名
Instructor
木村 祐治
曜限
Day/Period
金1
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

テーマ:「制度の精神」を捉える

「政治」という営みを分析し、理解するための「道具」=  政治学の概要を講義します。「現実(政治)」=制度と現象の背後にある歴史や思想を常に意識すること、「思想」を「お勉強の対象」としてではなく、現実と常にかかわっているものとして捉えることが基本方針です。

「政治」には、制度の側面と現象の側面とがあります。制度が現象を生み出すこともあれば、現象が制度を生み出すこともあります。政治はこの両者の相互作用で動いているということができるでしょう。

このクラスでは、とりわけ、民主政治(いわゆる「民主主義」)のもととなっている制度について、歴史的・思想史的な観点から、「なぜこの制度が存在しているのか」「どのような目的でこの制度が作られているのか」という、根本的な問題について考察することを重視します。「制度」=しくみの存在理由を理解すること、すなわち「制度の精神」(丸山眞男)を捉えることは、「政治」の理解にとどまらず、他の分野の理解にも役立つでしょう。

メディアを通して伝えられる「政治」は、できごとの紹介にとどまっていたり、基本的な知識を欠いた解説であったりすることも少なくありません。歴史や思想、制度についての知識を踏まえた上で「政治」と向き合えるようになることを目標とします。

到達目標 / Course Objectives

(1)  政治学(法学、政策学)の基礎概念を理解する。
(2)  基礎概念相互の連関(つながり)を理解する。
(3)  基礎概念を踏まえて、政治制度・政治現象を学術的に分析する。
(4)  分析を踏まえて、政治制度・政治現象を独自の視点で学術的に論評する。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

【重要】ミスマッチを防ぐため、第1回の授業で詳細なガイダンスを行ないます(直前の学期の定期試験問題も、初回の授業で公開します)。正式に履修登録するかどうかは、第1回の授業を聞いて判断してください。教科書も、第1回から準備する必要はありません。正式に履修登録しようと思った人のみ、第3回の授業から持参してください。

第1回 ガイダンス
 1.  担任者の自己紹介
 2.  成績評価方法
 3.「政治」の定義と目的
 
第2回 政治「学」とは何か
 1.  政治学の「体系」
 2.「科学」とは
 3.「科学としての政治学」?  ―  political  science?  political  studies?:政治学は「科学」か

第3回 教科書の立場とこのクラスの観点
 1.  教科書の内容と使いかた
 2.「民主主義」をめぐって 
 3.「国家」と「国民」をめぐって
(教科書第2章第1節、第10章第1節)

第4回 「政治」はどのように捉えられてきたか(その1)―古代ギリシャ・ローマの政治思想
 1.  古代ギリシャの民主政治
 2.  プラトンの民主政治観
 3.  混合政体論―アリストテレスとポリビュオス
(教科書第1章第1節)

第5回 「政治」はどのように捉えられてきたか(その2)―社会契約説と権力分立
 1.  ホッブズ
 2.  ロック
 3.  ルソー
 4.  モンテスキュー
(教科書第1章第2節-第3節)

第6回 統治機構―「政府」の中の対立と協力
 1.「政府」と統治機構
 2.  議会制の歴史
 3.  議院内閣制と大統領制―ひ弱な首相?  強い大統領?
 4.  権力分立か、混合政体か
(教科書第4章第1節・第3節、第6章第1節) 

第7回 選挙制度と政党制(その1)
 1.  選挙制度の分類
 2.  政党制の分類
 3.  デュヴェルジェの法則―選挙制度が政党制の差異を生み出す?
(教科書第5章第1節、第6章第2節)

第8回 選挙制度と政党制(その2)
 1.  日本の選挙制度ー当選者はどう決まる?
 2.  「復活」当選?ー選挙制度を支える思想

第9回 投票行動
 1.  投票・棄権を分けるもの
 2.  投票行動の理論―人はなぜ投票するのか
(教科書第5章第2節、第8章第1節-第2節)

第10回 政策はどのように作られるのか
 1.  公共政策の目的
 2.  政策のサイクル
 3.  官僚制
 4.  利益集団
 5.  誰が政策を「決める」のか
(教科書第3章第1節-第2節、教科書第7章)

第11回 現代日本の政治(その1)
 1.  敗戦・占領・独立
 2.  55年体制の成立
 3.  55年体制下の政治過程
(教科書第4章第2節、第5章第3節、第6章第3節)

第12回 現代日本の政治(その2)
 1.  55年体制を可能にしたもの―歴史的、制度的視点から
 2.  地方政治のしくみと課題
 3.「政治改革」とその評価
(教科書第4章第2節、第5章第3節、第6章第3節、第7章、第9章)

第13回 国際政治をどう見るか
 1.  グローバリゼーションとグローバル・イシュー
 2.  国際政治理論
(教科書第10章)

第14回 現代の民主政治とその課題
 1.  民主政治への懐疑―「大衆」の登場
 2.「政治とメディア」を考える
 3.「平等」と「差異」との緊張関係
(教科書第1章第3節、教科書第2章第2節-第3節、第3章第3節、第8章、第11章)

第15回 まとめ―政治学的なものの見かたとは
 1.「政治」は結局、何にかかわっているのか
 2.  授業全体のまとめと補足
 3.  授業評価アンケート
(教科書全体)

・可能なかぎり、最新の研究成果や事例を授業内容に反映させたいと思いますので、授業の進度や具体的な内容は変動するかもしれませんが、各回のテーマは変更しません。

授業時間外学習 / Expected work outside of class

・最低でも、「授業計画」の各回に示されている教科書の章と節とに目を通した上で授業に臨んでください。
・基礎概念の相互連関を重視するため、教科書の内容を再構成して講義します(「授業計画」で示しているように、教科書の章の順番どおりに授業が進むわけではありません)。また、授業では、教科書の内容の背景を説明することに重点を置きます。「教科書を読めばわかる」ことについては説明を省略することがありますので、理解を深めるためにも、教科書をできるだけ早いうちに通読し、授業のあとや試験前にはノートを整理しなおしてください。自分のことばで講義内容をまとめなおすことが、ヨリよい理解につながります(これは他の科目についても同様です)。
・欠席・遅刻・早退した場合は、知り合いにノートをコピーさせてもらうなど、各自でフォローに努めてください。
・質問は授業中、授業の前後はもちろん、メールでも受け付けます。担任者のメールアドレスなど、連絡の取りかたについては第1回の授業で説明します。

成績評価の方法・基準
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Course Content

定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。定期試験(筆記試験)70%、平常成績(提出物)30%
・定期試験は論述式とし、到達目標の達成度と論述力(学術論文の作成能力  =  学術的に適切な表現・形式で論述できること)とをあわせて評価します。参照条件は「すべて可」です。なお、いうまでもないことですが、試験範囲は「授業で取り上げたことのすべて」です。
・提出物は講義内容の要約です。これは授業で取り上げたことを整理し、理解を深めるために作成・提出するものですが、担任者の説明がみなさんに通じているかどうかを確認するためでもあります。授業の改善にもつながりますので、積極的に取り組んでください。抜き打ちで数回提出を求めますので、手を抜かずにノートを取るようにしましょう。作成・提出の方法は第1回の授業で説明します。

基準 / Evaluation Criteria

秀:到達目標  (1)-(4)  を達成
優:到達目標  (1)-(3)  を達成
良:到達目標  (1)-(2)  を達成
可:到達目標  (1)  を達成
・筆記試験の解答、提出物の内容が学術論文として表現されていることが前提条件です。
不可:上記以外

教科書
Textbooks

川出良枝、谷口将紀(編)  『政治学』  (東京大学出版会、2012年)  お金がかかることでもありますので、「授業計画」でも述べているとおり、第1回の授業までに購入する必要はありません。第1回の授業を聞いて、正式に履修登録しようと思った人のみ購入して、第3回の授業から持参してください。
・その他、資料を配布することがあります。

参考書
References

伊藤光利(編)  『ポリティカル・サイエンス事始め』[第3版]  (有斐閣、2009年)   砂原庸介、稗田健志(ひえだたけし)、多湖淳(たごあつし)  『政治学の第一歩』  (有斐閣、2015年)   内山奈月、南野森(みなみのしげる)  『憲法主義 条文には書かれていない本質』  (PHP文庫、2015年)   細谷雄一  『国際秩序 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ』  (中公新書、2012年)  
・その他、適宜紹介します。

備考
Other Comments

・時事解説(ニュース解説)ではないことを理解した上で受講してください。学問的に政治を理解することが目標です。
・政治についての予備知識や関心は必須ではありません。メディアの政治情報にアクセスする必要もありません。むしろ、なまじ「政治に興味がある」ことは、この科目の受講に当たってはマイナス(有害?)かもしれません。特に、まとめサイトなどを見て政治についてひとかどの意見を持っているつもりになっている人、政治家のもとでのインターンシップなどに参加したりしている人は、謙虚に学ぶ姿勢で授業に臨んでください。 
・私語等、受講態度が悪い人には学生証の提出と退室を命じます(学生証の返却についてはインフォメーションシステムの「個人伝言」を参照してください)。評価はその時点で「不可」(0点)としますので、注意してください。「学生」としての自覚を持って授業に臨みましょう。ちなみに、大学に「生徒」はいません。
・授業を補完するために、関大LMS(Learning  Management  System)を使用する予定です。
・担任者の研究内容等については、個人ウェブサイト「@ykmr75  |  Portal」(http://www.ne.jp/asahi/ykmr75/portal/)を参照してください。