- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 人間
- 時間割コード
Course Code - 25339
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 公的扶助論
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 担任者名
Instructor - 長澤 敦士
- 曜限
Day/Period - 水2
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
授業種別 / Teaching Types
講義(対面型)
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
貧困問題に関しては、わが国でも長い歴史がある。しかし、「経済大国ニッポン」のイメージに隠れていた貧困問題が、多くの人の目に触れ、可視化され、また経験されるようになったのは2006 年ごろからであると言われている。その後、2008 年秋には世界的な経済・金融危機が日本をも襲い、派遣切りや雇い止めなどという形で、貧困・労働問題が露呈した。さらには、2011 年3 月には、東日本大震災および原発事故による打撃を受け、人々の考え方や社会生活に大きな影響を与えた。そして2019年末からの新型コロナウイルス感染症の流行下では、様々な立場や生活状況の違いなどからくるせめぎ合いにより、さまざまな形で人と人との分断が起こり、まさにアノミー状況を呈するものとなった。行政や種々の民間団体、企業など、様々な主体が、問題解決に資する取組みを展開し、一定の成果をあげてきたとも言えるが、まだまだ課題はあまりにも多い状況にある。
本授業では、こうした社会背景を踏まえ、不安定・流動化社会における公的扶助の意義と役割について考察していく。同時に、社会保障制度の限界を乗り越えようと、全国で展開されている様々な取組みを積極的に評価する。公的扶助をとりまく社会背景、社会保障制度、さまざまな取組みについて学習するその過程で、自分と社会の関係について多角的に考え、不安定・流動化社会を生き抜く知恵と考え方を習得することが目指される。学位授与方針との関係 / Related Diploma Policy
(人間健康学部)
1.知識・技能
広い知識・視野と柔軟な思考を基盤に、健康の維持や増進を図る人間健康学に関する専門知識・技能を習得し、それを実践することができる。
2.思考力・判断力・表現力等の能力
円滑なコミュニケーション能力と将来を構想する力を持ち、関西大学が推奨する判断力と行動力を融合した「考動力」全般を身につけ、社会や他者のために、人間健康学にかかる専門性を基盤とした責任ある行動をとることができる。
到達目標 / Course Objectives
1.現代日本における低所得層の現状とその社会的背景について説明できる。
2.貧困状態にある人に対して公的扶助制度の概要を説明し、紹介することができる。
3.公的扶助など社会保障制度の現在の問題を指摘し、自分なりの新しい社会設計を図解し、何らかの形で行動できる。授業手法 / Teaching Methods
・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1回 はじめに――公的扶助とは
第2回 低所得層の生活実態とその背後の社会情勢
第3回 労働と貧困の問題からみる私たちの社会
第4回 低所得者からみた生活保護制度および関連制度の概要
第5回 生活保護制度の原理・原則と種類
第6回 福祉事務所の機能/役割と実際
第7回 生活保護以外の制度――自立支援プログラムなど
第8回 行政と民間団体などの協働――社会的企業等の可能性
第9回 ホームレス対策・住宅政策と実践(1)
第10回 ホームレス対策・住宅政策と実践(2)
第11回 若者の世代と貧困
第12回 子どもの貧困と社会活動――ネットワーキング/レジリエンス
第13回 国際福祉の視点と困窮者生活支援
第14回 まとめ(1)――公的扶助の意義と問題点、およびレポート執筆の方法
第15回 まとめ(2)――公的扶助論を活かした学習・研究・実践などの個別指導と相談授業時間外学習 / Expected work outside of class
新聞、テレビ、雑誌、インターネットなどのメディアを活用して、日ごろから関連する時事問題をチェックしてください。
- 成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
レポートが約70%、コメントペーパーなどによる平常成績が約30%の割合で、総合的に評価する。基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy
公的扶助や貧困に関わる課題について、問題設定/説明/実践を行う能力が身についたかどうかを基準とする。
- 教科書
Textbooks
特に指定はありません。
-
参考書
References 岩田正美 『現代の貧困:ワーキングプア/ホームレス/生活保護』 (筑摩書房) 9784480063625
杉村宏 『人間らしく生きる:現代の貧困とセーフティネット』 (左右社) 9784903500256
西澤晃彦 『人間にとって貧困とは何か』 (放送大学教育振興会) 9784595319396
阿部彩 『弱者の居場所がない社会:貧困・格差と社会的包摂』 (講談社) 9784062881357
岩永理恵・卯月由佳・木下武徳 『生活保護と貧困対策:その可能性と未来を拓く』 (有斐閣) 9784641150614
金子充 『入門貧困論:ささえあう/たすけあう社会をつくるために』 (明石書店) 9784750345475
柏木ハルコ 『健康で文化的な最低限度の生活(1)』 (小学館) 9784091863577
大西連 『絶望しないための貧困学:ルポ自己責任と向き合う支援の現場』 (ポプラ社) 9784591163443
見田宗介 『まなざしの地獄:尽きなく生きることの社会学』 (河出書房新社) 9784309244587
岩田正美 『貧困の戦後史:貧困の「かたち」はどう変わったのか』 (筑摩書房) 9784480016591
*ぜひ、受講期間中に、この中から一冊は手に取って読んでみてください。
- フィードバックの方法
Feedback Method コメントペーパーの感想や質問については、講義内でとりあげ、社会福祉学や社会学などの観点からコメントします。
- 担任者への問合せ方法
Instructor Contact 講義内でお伝えします。
- 備考
Other Comments 本講義は15回のうち2回程度、遠隔講義で実施する可能性があります。詳細は講義内でお知らせします。