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学部・研究科
Faculty/Graduate School
安全
時間割コード
Course Code
75210
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
現代史
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
北泊 謙太郎
曜限
Day/Period
水2
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 20世紀は、「安全」という概念が社会的な規範として成立した時代でした。同じようなことは、「健康」や「平和(安全保障)」などについてもいうことができます。このように、「安全」・「健康」などが規範として成立した背景には、工業化・産業化の進展にともない、炭鉱での災害発生や製糸・紡績女工の結核、大気汚染や水質汚濁などの公害が発生し、人びとの「いのち」が脅かされたことがあげられます。
 この講義では、19~20世紀の日本史における様々なことがらを、「安全」・「健康」・「平和(安全保障)」という切り口から考えていきたいと思います。そして、当初は「社会災害」への対応という形で成立した「安全」という概念は、やがて「自然災害」の領域にも拡大適用されることになります。このように、20世紀に成立した社会的規範である「安全」や「健康」などをテーマとして、人びとの「いのち」を守る社会が歴史的にいかに形成されていったのかについて、本講義で考えてみたいと思います。

到達目標 / Course Objectives

 現代社会において重要なテーマである「安全」・「健康」・「平和(安全保障)」などのキー概念について、歴史的に、つまり時間軸に沿って整理しながら理解するという論理的思考を身につけることができます。そのことを通して、現代社会の諸課題、とりわけ社会安全学部のカリキュラムでも重視されている、自然災害や社会災害・環境問題などのテーマについても、歴史的な視点から考察できるようになることが、本授業の到達目標です。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1回  イントロダクション:「安全」を歴史のなかで考える
第2回  1885年淀川大洪水と淀川改良工事
第3回  産業革命と社会問題:「労働災害」の発生
第4回  公害の発生と工場法の成立:「安全」の制度化
第5回  第一次世界大戦と集団安全保障体制の成立
第6回  戦前日本の大規模地震とその復興:関東大震災を事例に
第7回  総力戦体制下での「健康」の国家管理化:「福祉国家」の原点
第8回  アジア・太平洋戦争:戦局の経過と本土への空襲
第9回  占領改革と日本国憲法制定:社会の平準化と「生存」権の制度化
第10回  軍事同盟としての「安全保障」:冷戦開始から日米安保条約締結まで
第11回  高度経済成長と企業社会
第12回  高度経済成長期の地域開発と公害
第13回  日本型社会保障と国民皆保険:制度と実態
第14回  低成長から経済大国へ:1970~80年代
第15回  本講義のまとめ

授業時間外学習 / Expected work outside of class

 本講義ではプリントを用意します。また、講義で使用するプリントは【関大LMS】と【CEAS】にもアップロードしますので、わかりにくいところは何度も読み返して復習しておくこと。また、講義内容の理解を深めるために、【参考書】で取り上げた図書を読んで学習しておくことが望ましいように思われます。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。
 定期試験(論述形式の筆記試験、60%)、平常点(授業への出席+ミニッツペーパーの提出、40%)の割合で総合評価します。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

 到達目標で掲げた内容に対応する形で、とくに以下の3点について注意しながら評価します。

1)授業内容、あるいは参考文献などで述べられている内容を的確に理解できているか(かつそれに対する論理的批判ができていればなおのことよい)。

2)「安全」・「健康」・「平和(安全保障)」に関する日本史上の様々な事象について、どれだけ自分で調べて知識や情報を収集できるか、そしてそれらの知識や情報を整理して、わかりやすい形でまとめながら叙述することができるか。

3)「安全」・「健康」・「平和(安全保障)」に関する日本史上の様々な事象について、その時代的特徴をふまえつつ、また同時代の政治・社会システムとの相互関連のなかで理解することができるか。

教科書
Textbooks


教科書は使用しません。レジュメ(講義プリント)を配布します。

参考書
References

小松  裕著  『全集日本の歴史14  「いのち」と帝国日本』  (小学館、2009年)  9784096221143
木畑洋一著  『20世紀の歴史』  (岩波新書新赤版1499、2014年)  9784004314998
土田宏成著  『災害の日本近代史  :  大凶作、風水害、噴火、関東大震災と国際関係』  (中公新書2762、中央公論新社、2023年)  9784121027627  ;
  鈴木淳著  『関東大震災  :  消防・医療・ボランティアから検証する』  (講談社学術文庫2381、講談社、2016年)  9784062923811
大門正克著  『全集日本の歴史15 戦争と戦後を生きる』  (小学館、2009年)  9784096221150
吉田  裕著  『シリーズ日本近現代史6 アジア・太平洋戦争』  (岩波新書新赤版1047、2007年)  9784004310471
吉田  裕編  『日本の時代史26 戦後改革と逆コース』  (吉川弘文館、2004年)  9784642008266
荒川章二著  『全集日本の歴史16 豊かさへの渇望』  (小学館、2009年)  9784096221167
渡辺  治編  『日本の時代史27 高度成長と企業社会』  (吉川弘文館、2004年)  9784642008273
武田晴人著  『シリーズ日本近現代史8 高度成長』  (岩波新書新赤版1049、2008年)  9784004310495
大日方純夫・山田朗・山田敬男・吉田裕著  『日本近現代史を読む(増補改定版)』  (新日本出版社、2019年)  9784406063524

 参考文献については、講義のなかで適宜指示しますが、とりあえずは以上の参考文献のいずれかを手にとって読むことをおすすめします。

フィードバックの方法
Feedback Method

 授業中に受講生に書いてもらったミニッツペーパーの質問に対しては、授業中に回答したり、その後の授業に反映させることで対応するように努めます。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

オフィスアワー:授業の前後に対応します。

関大LMS:関大LMSの「メッセージ」機能でご連絡ください(この場合は、確認・返事が遅れる場合があります)。

メールアドレス:kitadoma@let.osaka-u.ac.jpまでご連絡ください。

備考
Other Comments

 授業計画については、授業の進捗状況や受講生の関心に応じて変更の可能性があります。
 BYOD〔ノートPC〕を使用しない。