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学部・研究科
Faculty/Graduate School
政策
時間割コード
Course Code
86469
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
グローバル・スタディーズ・セミナー(英語で学ぶ自由論)
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
佐藤 一進
曜限
Day/Period
火2
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

自由とは何でしょうか。

これは自明なようでいて、実は現代社会に生きる私たちにとって、最も重要な問いの一つであるだけでなく、いまだに明確な答えが出ない政治思想史上の永遠の問いでもあります。

たとえば、コロナ禍に見舞われたわたしたちの経験のなかに「自由」をめぐる問題の実例を探ってみましょう。欧米各国では法的罰則を伴う「都市封鎖(ロック・ダウン)」が繰り返されました。しかしこれらは「営業の自由」や「移動の自由」の厳格な制限という点で見れば、「個人の自由」の侵害ともいえます。極端な立場からすれば、「マスクをせず外出する自由」だってありうるでしょう。しかし、欧米の都市封鎖は、そうした「自由」の保障よりも、感染者数の抑制と減少、すなわち「生命」を優先する政策判断をとったということになります。他方では、ロック・ダウン、さらにはワクチン接種の義務化への反発として、個人の「自由」や「権利」の擁護を唱えるデモなども多発しました。

他方で日本では、「緊急事態宣言」なるものが繰り返し発令されたましたが、そうした状況下でも、飲食店での飲酒を伴う会合、県境をまたいでの移動や旅行などは、けっして後を断ちませんでした。これは「経済」を回すことと「生命」を守ることの二兎を追った政策の結果ともいえますが、欧米各国のような「私権(private  rights)」の制限、すなわち「個人の自由」の制限へ踏み込めなかった(あるいは、あえて踏み込まなかった)日本に固有の「自由」に関する繊細な感覚の発露と見ることができるのかもしれません。しかしそのかたわらで、「自粛」を要求する自警団を典型に、「個人の自由」よりも「集団での協調」を求める「同調圧力」が自発的に作動する傾向が強いのも、日本社会の特徴です。

このようにコロナ禍における国内外の出来事を振り返っても、個人の「自由」はどこまで保証されるべきか、どこからが制限されるべきか、そもそも「自由」とは何なのかについて、わかりやすい答えは出されていません。

こうした経験にも鑑みながら、この授業では、アイザイア・バーリン(Isaiah  Berlin)の自由論(論文「二つの自由概念(two  concepts  of  Liberty)」)に対して重要な疑義を提示したレオ・シュトラウスの議論(論文「相対主義(relativism)」)を原書で丁寧に読み解きます。英語や政治学のみならず思想や哲学にも関心を持つ受講生を特に歓迎します。

本授業を通じて、政治哲学における自由論の基本を英語文献の読解を通じておさえたうえで、自分なりの「自由」の考え方を身につけることを到達目標とします。

各回ごとに読み進めるテキスト範囲を事前に指示するので、予習ではその範囲をしっかりと読み解き、授業に臨んでください。授業の中ではランダムに受講者を指名して、単語や熟語の意味、文法事項、訳文などについて答えてもらいます。 

その上で自由の問題、ニヒリズムの問題、近代の思想史、コロナ禍や格差社会化、世界的規模での富の不平等をはじめ、現代のグローバル世界に生じている諸問題についても話題を広げますので、それらについても受講者の考えを問います。 

到達目標 / Course Objectives

①アイザイア・バーリンのいう「二つの自由概念」を的確に把握する。 
②なぜレオ・シュトラウスはバーリンの自由論を批判するのかを理解する。 
③相対主義のもたらすニヒリズムについて自分なりの思考を行なう。 
④政治思想・政治哲学の原書に親しむ。 

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生同士の意見交換(グループ・ペアワーク、ディスカッション、ディベート等含む)

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第  1  回  ガイダンスとイントロダクション 
第  2  回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  1
第  3  回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  2 
第  4  回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  3 
第  5  回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  4
第  6  回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  5 
第  7  回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  6 
第  8  回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  7
第  9  回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  8 
第10回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  9 
第11回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part10 
第12回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  11 
第13回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  12 
第14回  Leo  Strauss,  'Relativism',  part  13
第15回  総括とディスカッション 

授業時間外学習 / Expected work outside of class

指示されたテキスト範囲について分からない単語、熟語の意味を調べる。また事前に下線部で指示された箇所については英文和訳を作成する。わからない部分があれば、何がどうわからないのかを明確にして授業に臨む。 

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
授業参加(ディスカッション、および、指名による問いかけへの応答)の姿勢(60%)、提出指定課題の達成度(40%)

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

①授業を通じて修得・発揮した知識(30%)
②授業を通じて修得・発揮した思考力(30%)
③授業内での問いかけに対する応答の主体性と適確性(40%)

教科書
Textbooks

参考書
References

濱真一郎  『バーリンの自由論』  勁草書房  978-4326101795
森達也  『思想の政治学:アイザィア・バーリン研究』  早稲田大学出版部  978-4657188038
石崎嘉彦・厚見恵一郎(編)  『レオ・シュトラウスの政治哲学:『自然権と歴史』を読み解く』  ミネルヴァ書房  978-4623083930
高山裕二・野口雅弘・山本圭(編)  『よくわかる政治思想』  ミネルヴァ書房  978-4623090990

テキストは初回授業時にコピーを配布します。

フィードバックの方法
Feedback Method

基本的にメールを通じて実施します。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

下記のメールアドレスまでメールを送信してください。

備考
Other Comments

votahi@gmail.com