2025 年度の講義概要のデータベースを検索します。カリキュラムツリーへのリンク
学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
62131
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
統計力学1
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
和田 隆宏
曜限
Day/Period
火4
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

「熱力学」は物質の熱的な性質を巨視的な視点で記述する理論であるが、「統計力学」は物質の熱的性質をその構成分子、原子といった微視的(ミクロ)なレベルから記述する理論である。本講義では「熱・統計力学」で学んだ知識を基本にして、物理系の熱力学的平衡状態の性質をミクロスケールから記述する方法について学ぶ。高校で学んだ気体分子運動論から始めて、古典統計力学、さらに量子論的統計力学に進む。統計力学の考え方は確率論を基盤としているので、高等学校で修得する「確率・統計」の初等的知識があることが前提である。
「量子力学・統計力学演習1」も履修し、演習問題に取り組むことが望ましい。また、統計力学の現実的な応用分野は物性物理学である。従って「統計力学2」、「物性物理A,B,C」を併せて受講することを勧める。

到達目標 / Course Objectives

本講義の達成目標は以下の①~⑤である。
①統計力学の考え方が理解できる
②解析力学と相空間の考え方に基づき、物理系を理解できる。
③小正準集合の考え方を理解し、エントロピー、状態和、熱力学観測量の計算とそれらの解釈ができる
④正準集合の考え方を理解し、状態和、熱力学的観測量の計算と解釈ができる
⑤統計力学的な視点を身につけ、それに基づいて様々な事象を解釈できる。

 本講義での学習活動を通し、ディプロマポリシー1(DP1)に掲げる「学問と実践との融合の精神に基づき、幅広い人間力を基盤として、ものごとを分析し、その結果を表現するための物理学に関する専門知識・技能を修得しそれを実践できる」を達成することを目標としている。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生による学習のふりかえり
・学生同士の意見交換(グループ・ペアワーク、ディスカッション、ディベート等含む)

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

講義テーマとしては以下を予定している。(テーマ番号は必ずしも講義番号とは一致しない)

1.  気体の分子運動論
2.  確率論と統計データの取り扱いについての復習
3.  相空間、リュウビルの定理、断熱定理
4.  エルゴードの仮定、統計力学の考え方
5.  状態数、状態密度とエントロピー
6.  ミクロカノニカル集団
7.  古典的自由分子、マクスウェル・ボルツマン分布
8.  カノニカル集団、分配関数
9.  分配関数と種々の熱力学関数
10.  古典的理想系の取り扱い(1):自由分子
11.  古典的理想系の取り扱い(2):調和振動子
12.  量子系の分配関数計算(1):調和振動子
13.  量子系の分配関数計算(2):二準位系
14.  統計力学に関する話題
15.  講義のまとめ、到達度の確認

授業時間外学習 / Expected work outside of class

授業資料、教科書、ノートを読み返し、授業内容の理解に努めるよう復習をすること。 
また、同時に開講される「量子力学・統計力学演習1」も同時に履修して演習にも取り組むことを勧める。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。
筆記による学力確認(60%)と平常成績(40%、小テスト、課題レポートなど)
履修者数が多数になった場合には、成績評価方法を「定期試験(16週目)」に変更することがあります。
成績評価方法が変更になった場合は、インフォメーションシステム等で連絡します。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

①知識・技能の観点
小テスト、課題レポート、筆記テスト
総合評価で100点満点の60点以上を取ることが合格の条件である

教科書
Textbooks

長岡洋介  統計力学(岩波基礎物理シリーズ7)  岩波書店  
戸田盛和  熱・統計力学(物理入門コース7)  岩波書店  

第1回目の講義時に教科書、参考書のガイダンスを行う。

参考書
References

久保亮五編  大学演習「熱学・統計力学」修正版  裳華房  熱統計に関する標準的な演習書。大学院進学予定者はBランクまでは解いておく必要があるだろう。
原島鮮  熱力学・統計力学  培風館  論理展開自身は教科書1に類似しているが、アンサンブルの考え方がより明快に書かれている。
中村伝  統計力学(物理テキストシリーズ)  岩波書店  統計力学の一通りの内容がコンパクトにまとめられている。ただし、その分説明や論理展開にやや行間がある。

フィードバックの方法
Feedback Method

必要な場合はLMSを用いてフィードバックする。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

オフィスアワー
授業終了時に随時受付を行う。
また、関大LMSのメッセージシステムを活用してください。

備考
Other Comments

統計力学では、確率論を多く用いるので、高校や大学で学んだ数学についてよく復習しておくこと。
古典論と量子論をつなぐのにも大きな役割を果たし、物理学の様々な分野で使われる共通の考え方なので、ぜひ修得してほしい。