- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 化
- 時間割コード
Course Code - 65122
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 金属材料
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 春/2
- 担任者名
Instructor - 森重 大樹
- 曜限
Day/Period - 月2
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
授業種別 / Teaching Types
講義(対面型)
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
金属材料はセラミック材料、高分子材料とならぶ三大材料の一つに挙げられ、日常生活・産業の分野で幅広く用いられている。他の材料にない金属材料の一般的な性質として、「高強度でかつ延性を有している」、「電気・熱伝導性に優れる」、「光をよく反射する」ことが挙げられる。最も汎用的な金属材料は鉄鋼であるので、金属材料は重くて強いという印象を与えるが、金属の種類は多く、密度の小さい金属から軟質の金属も存在する。したがって、用途に応じた金属種の選択が可能であり、材料選択・設計のためには十分な金属材料の知識が必要である。
金属材料の性質は合金化と金属組織制御によってさらに向上させることができる。その結果、金属材料は構造材料のみならず、ステンレス鋼やチタン合金に代表される耐食材料や銅合金に代表される電気材料としても利用されている。
金属組織は構成する相の種類・大きさ・形・分布によって決定され、工業的には溶解・鋳造・塑性加工・熱処理によって制御されている。金属組織の形成過程を理解するための基礎は、熱力学的平衡、相の核生成・成長、溶体化・時効、合金元素の拡散、熱伝導・電気伝導、格子欠陥・転位、回復・再結晶が挙げられる。
さらに、金属材料の価値は目的の形状・寸法に加工することで高められる。その基礎は結晶構造、溶体化・析出、格子欠陥・転位、回復・再結晶である。
したがって、2年次までの専門科目の修得が理解の助けになる。
上述の組織制御によって高強度の金属材料を得る技術として、過飽和固溶体から微細な析出物を生成させる熱処理技術が挙げられる。鉄鋼材料では「焼入れ→焼戻し」処理、非鉄金属材料では「溶体化→時効」処理が基本的な熱処理であり、その基礎は共通している。さらに、加工と熱処理を組み合わせたプロセスで、形状付与と同時に組織制御によって材料強度を高める加工熱処理は上述の専門基礎を応用した技術である。
本講義では、金属材料の用途に応じた材料選択と製造法を考える能力の修得を目的とし、2年次までに学んだ専門知識を基に金属組織と材料物性との関係及び金属組織の制御の専門理論を修得することを目標とする。到達目標 / Course Objectives
①知識・技能の観点
鉄鋼材料、ならびに非鉄金属材料(主にアルミニウム、銅、チタンの合金)の用途と特徴の知識を修得し、それらの金属組織を状態図と熱処理と関連させる能力を修得する。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
鉄鋼材料、ならびに非鉄金属材料において、要求される力学特性から、必要な合金化や熱処理を判断する能力を修得する。
③主体的な態度の観点
学んだ知識を応用し、身近な製品・用途に対して、適切な金属材料を見出す能力を修得する。授業手法 / Teaching Methods
・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生による学習のふりかえり
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1週 ガイダンス
第1週〜第6週 鉄鋼材料
鉄の性質、鉄鋼材料の歴史・用途・生産量
Fe-Fe3C状態図と炭素鋼を構成する主な相
亜共析鋼、共析鋼、過共析鋼の標準組織
相割合と組織との関係(炭素量から組織が描けるようにする)
鋼の熱処理(焼入れ、焼戻し、焼鈍し、焼ならし)
マルテンサイト、ベイナイトとCCT曲線、TTT曲線
低合金鋼(炭素鋼の焼入れ性の改善でCrやNiなどを加えた鋼)、高合金鋼(ステンレス鋼など)
JIS規格の鉄鋼材料(SS400、S45C、SUS304など)
第7週 中間テスト1(鉄鋼材料)
第8週〜第9週
アルミニウムの性質、アルミニウム合金材料の歴史・用途・生産量
純アルミ系の材料(工業用純アルミニウムと高純度アルミニウム)
非熱処理型のアルミニウム材料(Al-Si系合金など)
熱処理型のアルミニウム材料(Al-Mg系合金など)
アルミニウム合金の時効(溶体化・時効析出・過時効・GPゾーンなど)
アルミニウム合金の強化
JIS規格のアルミニウム合金(1000系〜9000系)
第9週〜第10週 銅合金
銅の性質、銅合金材料の歴史・用途・生産量
純銅材料(IACS)
コルソン合金、ベリリウム銅(時効)
黄銅、青銅、白銅
JIS規格の銅合金
第11週〜第12週 チタン合金
チタンの性質、チタン材料の歴史・用途・生産量
工業用純チタン
α型、β型及びα+β型チタン合金
第13週 超合金、高融点金属、低融点金属、特殊用途の金属材料
Ni基超合金(インコネルなどの耐熱材料)
高融点金属(W、Mo、Zrなど)
低融点(Sn、Pb、Znなど)
レアアース
レアメタル
耐食性材料(歯科材料)
ハイブリット材料としての金属(MMC:金属とセラミックスの複合材料)
第14週 中間テスト2(非鉄金属材料)
第15週 総括
適宜行う演習,小テストについては,後ほど自己採点すると共に教員によって解説し,フィードバックを行う。授業時間外学習 / Expected work outside of class
2年次配当の必修科目の実験・講義の内容を意識して毎回の講義ノートを復習すること。
- 成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。
成績評価割合:レポート+中間テスト(40%)、定期試験(60%)基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy
到達目標の①(知識・技能)および②(思考力・判断力・表現力等の能力)の理解度、ならびに③(主体的な態度)の達成度について評価する。
- 教科書
Textbooks 村上陽太郎、亀井清、山根寿巳、長村光造 『金属材料学』 (朝倉書店)
追加資料ならびに参考図表等は、随時配布する。
-
参考書
References 杉本孝一、長村光造、山根壽己、牧正志、菊池潮美、落合庄治郎、村上陽太郎 『材料組織学』 (朝倉書店)
日本金属学会 編 『鉄鋼材料』 (日本金属学会)
松原英一郎、田中 功、大谷博司、安田秀幸、沼倉宏、古原忠、辻伸泰 『金属材料組織学』 (朝倉書店)
幸田監訳 熊井浩,野田龍彦 訳 『レスリー鉄鋼材料学』 (丸善)
須藤一、田村今男、西澤泰二 『金属組織学』 (丸善)
荒木透 編 『鉄鋼材料学』 (丸善)
門馬改三 『鉄鋼材料学』 (実教出版)
宮川大海、古葉正行 『金属材料通論』 (朝倉書店)
井川克也、田中雄一、桃野正、新山英輔、堀江皓 『材料プロセス工学』 (朝倉書店)
腐食防食協会 『材料環境学入門』 (丸善)
牧正志 『鉄鋼の組織制御』 (内田老鶴圃)
- フィードバックの方法
Feedback Method オフィスアワー:授業終了時に申し出てください。
関大LMSに補足資料や課題をアップロードすることがありますので、定期的に確認してください。
- 担任者への問合せ方法
Instructor Contact 関大LMSのメッセージ機能またはe-mailでも随時受け付けます。
メールアドレス:tmorishi@kansai-u.ac.jp
- 備考
Other Comments 学習教育目標:B、E、H
本科目の基礎となる科目:材料の強さと変形(演習含)、材料熱力学、固体の物理的性質、結晶構造とX線回折、状態図と材料組織、速度論と物質移動、材料の強さと組織、格子欠陥と塑性変形、相変態と組織制御、核生成・成長と凝固過程、材料電気化学
本科目を基礎とする科目:塑性加工学、鋳造工学、材料精製工学、複合化プロセス、セラミック材料化学、半導体材料、社会環境適応材料、高分子材料化学、材料機器分析、マテリアルコロキウム、統計的品質管理