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学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
62333
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
バイオメカニクス
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
田地川 勉
曜限
Day/Period
月2
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 この講義では,機械工学的理論によって生体(ヒトの身体)の構造や機能,生物のロコモーション(移動運動)を理解・解明しようとするバイオメカニクス(生物/生体力学)について講述する.このバイオメカニクスは,力学とその応用を専門とする機械工学者がヒトの身体の「生理学」や生体内現象を,力学的観点に基づいて理解するための考え方と,健康・医療(診断・治療)・福祉機器の研究・開発・製造に携わる際に必須な考え方や方法論,知識を与える学問である.
 本講義では,力学的な立場として,連続体の変形や運動の中でも,特に流体と弾性体に関連した力学的な考え方とその生体への応用について詳述する.まず,生体内の臓器・組織の構造と機能を紹介した上で,それらの力学的な観点に立った理解の仕方を例示しながら,生体問題を取り扱うために必要な機械工学的基礎知識を紹介する.次に,これら生体組織の変形や運動に関わる諸問題を扱うために必要な基本的な力学モデルについて述べる.ここでは,特に血液循環器系と呼吸器系に焦点を絞り,それらに関わる固体および液体の生体材料のレオロジー特性や流れと熱・物質移動に関わる数理モデルについて講述し,生体で起こりうる現象が物理によってモデル化され,数学によって表現可能なことを解説する.最後に,動物の移動運動,とくに鳥・昆虫の飛行と魚鯨類の遊泳の力学について述べ,バイオミメティクス(生物模倣工学)的応用に触れる.全体としてバイオメカニクスの基礎的かつ総合的知識の習得を目指す.

到達目標 / Course Objectives

①知識・技能の観点
大学でこれまでに学んだ力学の知識を応用し,生体に関わる現象を力学的な観点で説明できること.
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
機械工学で学んだ様々な専門知識を相互に組み合わせることで,生体に関して起こりうる諸現象を数式として表現でき,それを使って現象やその影響因子について説明できること.
③主体的な態度の観点
生体に関する諸現象を,本科目で学んだ視点で考えることができること.

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

1.  バイオメカニクスとは? その領域,歴史と将来,スケーリングとアロメトリー
2.  生体組織の力学モデル(1);生体軟組織の構造とその機械的静特性
3.  生体組織の力学モデル(2);生体軟組織の大変形とその応力
4.  生体組織の力学モデル(3);生体軟組織の機械的動特性(粘弾性力学モデル)
5.  生体組織の力学モデル(4);生体流体の特徴とその機械的特性(レオロジー) 
6.  生体組織の力学モデル(5);非ニュートン流体の流れの特徴と粒子懸濁液のレオロジー
7.  血液循環に関する力学モデル(1);血管の変形モデルとコンプライアンス,スティフネスパラメータ
8.  血液循環に関する力学モデル(2);薄肉,厚肉弾性円筒管の変形と応力分布 
9.  血液循環に関する力学モデル(3);動脈中の脈波の伝播(Pulse  Wave  Velocity:PWV) 
10. 血液循環に関する力学モデル(4);弾性血管内を流れる拍動流と血圧変動の関係(Windkesselモデル)
11. 血液循環に関する力学モデル(5);分岐を有する血管網の形態と力学的最適化(血管形状の3乗則)
12.  分岐・合流,弯曲を有する管内の非定常流れ(1);往復振動流の流速分布(Womersleyの振動流理論)
13.  分岐・合流,弯曲を有する管内の非定常流れ(2);弯曲・分岐・合流を持つ管路内の流れの特徴,血流と血管病変好発部位の関係
14.  呼吸器と発声・聴覚の力学モデル;発声,聴覚と喘息のメカニズム
15.  生物の飛翔と遊泳のメカニズム;ロコモーション、昆虫と鳥の飛翔,魚と微生物の遊泳

授業時間外学習 / Expected work outside of class

各講義開始時に資料を配付.前週までの資料を読み返しておくこと. また,流体,熱,材料,機械力学の基本的な知識を復習しておくこと.

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験(筆記試験)の成績で評価する。
定期試験(筆記)の成績で評価する

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

授業目標に挙げた到達目標①~③に到達しているかを総合的に評価する.

教科書
Textbooks


教科書は使用せず.毎講義最初にプリントを配布する.
(遅刻者や欠席者に対しては配付しない.)
やむを得ず欠席・遅刻する場合は,予めその旨をLMSの個人伝言などで連絡すること.
(連絡があった者にのみ,翌回の講義開始前に資料を再配付します.)
また,配布物は出席状況に応じて準備部数を調整します.再発行はせず,早い者勝ちでの配付となるため,遅刻せず余裕を持って出席すること.

参考書
References

林紘三郎  『バイオメカニクス』  (コロナ社)  
谷下一夫・山口隆美 編  『生物流体力学』  (朝倉書店)  
Y.C.  Fung  『Biomechanics    -Mechanical  Property  of  Living  Tissue-』  (Springer-Verlag)  
C.R.  Ethier  &  C.A.  Simmons  『Introductory  Biomechanics:  From  Cell  to  Organisms,』  (Cambridge  University  Press)  
伊能教夫  生体機械工学  コロナ社  
山田宏  力学の基礎と バイオメカニクス  コロナ社  
林紘三郎,安達泰治,宮崎浩  生体細胞・組織のリモデリングのバイオメカニクス  コロナ社  
日本機械学会 編  生体機械工学  丸善  
菅原基晃,前田信治  血液のレオロジーと血流  コロナ社  
東昭  生物の動きの事典  朝倉書店  
田中一朗,永井實  抵抗と水深の流体力学  シップ・アンド・オーシャン財団  

フィードバックの方法
Feedback Method

演習課題の添削等を通じてフィードバックする場合がある.

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

オフィスアワー
毎回の授業終了後に受け付けるので,各自申し出ること.

その他
LMSを活用するので,各自でLMSのコンテンツと個人伝言を常にチェックすること.

備考
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