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学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
65167
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
鋳造工学
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
丸山 徹
曜限
Day/Period
水2
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 金属加工法の一つである鋳造の歴史は長く、日本では約2000年前に鐘、祭器、武器などが鋳造されている。8世紀半ばに鋳造された奈良の大仏は世界最大の鋳物として知られている一方で硬貨のような小さな物も鋳造で造られた歴史がある。また、秦始皇帝陵の銅馬車のように大型複雑形状の金属加工が可能である。このように鋳造法は、製品サイズと形状の自由度に優れた金属加工法である。
 近代以降は鋳造現象の科学的解明により工程管理や量産性が向上し、自動車・エアコンの部品など量産・複雑形状品や風力発電・タンカーの部品など大型品は鋳造法が適用されている。
 このような鋳造の利点は今後も求められる一方で、これからの鋳造技術として、省資源・省エネルギー・カーボンニュートラルに適応した鋳造技術や従来技術のデジタル化を活用したシミュレーション技術向上が求められている。
 本講義では、一連の鋳造プロセスを学ぶことで鋳造の利点と課題を物理的・化学的な側面から学ぶ。具体的には、鋳造欠陥を発生させないための基本技術である「鋳造方案の設計」について課題の取り組みを通じて学ぶ。次に鋳鉄はじめとするニーズの多い鋳造用材料について学ぶ。鋳造技術は物理、化学及び物理化学の応用技術であり、伝熱、凝固、液体流動、材料力学は重要な基礎である。したがって、2年次までの専門科目の修得が理解の助けとなる。

到達目標 / Course Objectives

①  知識・技能の観点
 ・鋳造の工程を説明できる。
 ・鋳造方案の基礎を説明できる。
②  思考力・判断力・表現力等の能力の観点
 ・鋳造欠陥が発生する要因について、「溶湯」「鋳型」「湯流れ」「凝固」の観点から説明できる。
 ・鋳鋼、鋳鉄、アルミニウム合金、銅合金の溶解・鋳造の注意点及び鋳造組織の基本的特徴を説明できること。
 ・重力鋳造法、ダイカスト法、連続鋳造法、遠心鋳造法、精密鋳造法、消失模型鋳造法及びVプロセスなどの各種鋳造法を説明できること。
③  主体的な態度の観点
 上記①及び②の目標に対して、理解度の自己点検を行い、適切な改善点を挙げることができる。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生による学習のふりかえり

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

1 ガイダンス・鋳造の概要(1週目)
 鋳造プロセスの概要を技術の変遷を含めて学ぶ。

2 湯流れと鋳造方案(2〜4週目)
 溶融金属(溶湯)の湯流れに由来する基本的現象を学び、乱流や負圧による鋳造欠陥を発生させない技術について学ぶ。

3 溶湯性状と鋳造欠陥(4~5週目)
 溶湯に対するガス成分の吸収・排出に関する基礎理論を学び、ガス成分に由来する鋳造欠陥を発生させない技術について学ぶ。

4 押湯と鋳造方案(5~8週目)
 凝固に伴う基本的現象を学び、凝固収縮による鋳造欠陥を発生させない技術について学ぶ。

5 実用合金の溶解・鋳造(8~10週目)
 代表的な鋳造材料である鋳鉄、鋳鋼、アルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金の溶解と凝固の基礎的特徴を学ぶ。

6 模型・鋳型(11~12週目)
 鋳型材料と鋳物砂・粘結剤の基礎について学び、鋳型由来の鋳造欠陥について学ぶ。

7 鋳造品の設計(12~13週目)
 鋳造欠陥発生リスクの低減のための方案設計、鋳造品の強度設計における基本的な考え方と注意点を学ぶ。

8 鋳造法(14週目)
 重力鋳造法をはじめとし、基本的な鋳造法の概要を学ぶ。省資源・省エネルギー型の消失模型鋳造法など特殊鋳造法の利点と他の材料加工法との類似点・相違点を学ぶ。

8 到達度の確認(15週目)
 下記参照

授業時間外学習 / Expected work outside of class

課題レポート、小テストの予習に取り組むこと。
シラバスで指定している教科書や参考書の範囲を読み、内容を把握するように予習すること。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。
授業内の小テスト・課題レポート(25%)、到達度の確認(75%)履修者数が多数になった場合には、成績評価方法を「定期試験(16週目)」に変更することがあります。
成績評価方法が変更になった場合は、インフォメーションシステム等で連絡します。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

①授業内の小テスト・課題レポート
 授業で扱った内容を演習問題形式で小テストやレポート課題により評価する。
②到達度の確認
 小テストや課題レポートの内容を総合した知識・理解度を問う試験を行う。

教科書
Textbooks

日本鋳造工学会  編  『基礎から学ぶ  鋳造工学』  (日本鋳造工学会)  

必要に応じて資料を配布する。

参考書
References

杉山正孝 他  『鋳造技術の基礎』  ((財)素形材センター)  
中江秀雄  『新版 鋳造工学』  (産業図書)  
日本金属学会  編集  『鋳造凝固』  (日本金属学会)  
井川克也 他  『材料プロセス工学』  (朝倉書店)  
杉山正孝 他  『鋳造技術講座・第1巻鋳造技術の基礎』  (日刊工業新聞社)  
素形材技術解析書制作委員会編  ものづくりの原点『素形材技術』  (財団法人 素形材センター)  
(社)日本鋳造工学会 <ものづくり研究部会 編>  ものづくりの原点 -鋳造技術と情報化時代ー  (日本鋳造工学会)  
新山英輔  『鋳造伝熱工学』  (アグネ技術センター)  
中江秀雄  『濡れ、その基礎とものづくりへの応用』  (産業図書)  
安田秀幸  『凝固工学の基礎』  (内田老鶴圃)    978-4753651382

フィードバックの方法
Feedback Method

課題レポートについては、提出後の講義内で行う。
その他の質問については、講義終了後、Eメール(tmaru★kansai-u.ac.jp)または関大LMSにて対応する。
※「★」記号を「@」に置き換えてください。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

オフィスアワー
授業前後またはEメール(tmaru★kansai-u.ac.jp)にて随時受け付ける。
※「★」記号を「@」に置き換えてください。

備考
Other Comments

学習・教育到達目標:B,E

本科目の基礎となる科目:材料熱力学、固体の物理的性質、状態図と材料組織、速度論と物質移動、マテリアル科学実験Ⅰ、マテリアル科学実験Ⅱ、金属材料、マテリアル工学実験Ⅰ、材料の強さと組織、相変態と組織制御、核生成・成長と凝固過程、工業製図、統計的品質管理
本科目を基礎とする科目:マテリアル工学実験Ⅱ、複合化プロセス