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学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
65003
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
基礎化学2
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
3
担任者名
Instructor
矢島 辰雄
曜限
Day/Period
水1
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 物質を「原子が集まってできたもの」としてとらえ、「物質のさまざまな性質が、元素の種類、原子の配列の仕方、原子の結びつき方によって決まる」と考えるのが化学・物質工学の学問上の特徴であるといえる。1個の分子は複数の原子が共有結合によって結びついてできている。一方、固体物質では、原子間の共有結合または金属結合、イオン間のイオン結合、あるいは分子間の水素結合またはvan  der  Waals力によって、原子、イオン、分子が結びついている。これら原子、イオン、分子同士の結びつきは「化学結合」とよばれる。これらの化学結合の種類と特徴が、物質の性質を大きく左右する。
 とくに共有結合や金属結合においては、それら化学結合の形成に電子が活躍する。電子の軌道は1個の原子においては「原子軌道」、1個の分子においては「分子軌道」という名でよばれ、さらに、膨大な数の原子からなる固体物質において電子の軌道は「エネルギーバンド」を形成する。高校では、電子が原子核のまわりを円軌道を描いて動くように学んだであろうが、実際の電子の振る舞いはそのようなものではなく、量子論とよばれる新しい力学体系によって説明される。将来、光や電気にかかわる物質の性質について学習する際には、量子論に基づく電子や物質の理解がどうしても必要になる。

到達目標 / Course Objectives

①知識・技能の観点
物質の性質を根元的に支配する原子および化学結合に関する基本知識を獲得し、原子の性質や化学結合の種類とそれぞれの特徴と電子とのかかわりについて理解することができる。

②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
量子論に基づいて、電子の軌道の観点から原子の性質や化学結合を説明できるようになる。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

講義計画 
第1週: 
【原子核と電子】 原子の構成。原子核の構成。質量数、原子量、原子番号、同位体。 
【イオン】 陽イオンと陰イオン。イオンの価数と電荷。 

第2〜4週: 
【原子・イオンの電子配置】 電子の量子論(エネルギーの量子化、ハイゼンベルクの不確定性原理、波動関数の2乗)。量子数と原子軌道。原子軌道の形と電子雲。構成原理。

第5週:
【化学結合の種類】 共有結合、金属結合、イオン結合、配位結合、水素結合、van  der  Waals力。化学結合の種類と結合力。共有結合結晶、金属結晶、イオン結晶、分子結晶。 

第6週: 
【イオン結合】 陽イオン・陰イオン間の引力。イオン半径と原子半径。イオン結晶の格子エネルギー。 

第7〜12週: 
【共有結合】 ルイスの理論(ルイス構造、オクテット則、共有電子対・非 
共有電子対、単結合・二重結合(エチレン)・三重結合(アセチレン)。
電気陰性度と共有結合性・イオン結合性、分子の極性。
【原子価結合理論】混成軌道の形成、混成軌道と分子の形(エチレン、アセチレン、グラファイト、ダイヤモンド)。σ結合とπ結合。
【分子軌道理論】分子軌道の概念、結合軌道と反結合軌道。
【配位結合と金属錯体】

第13〜14週: 
【固体における電子の軌道】 共有結合結晶と金属結晶における分子軌道(エネルギーバンド、絶縁体、半導体、金属)。 

第15週: 
【到達度の確認と講評】 講義で学習した内容の理解に関する到達度の確認と講評。

授業時間外学習 / Expected work outside of class

授業中に理解できなかった事項・箇所については、教員や友人に質問し、また、教科書を読むことによって、その日のうちに理解すること。また、授業内容の理解を深めるためには、受講したその日のうちに教科書の該当する箇所を読むことが望ましい。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。
小テスト(15%)、レポート(20%)、筆記による学力確認(65%)により評価する。履修者数が多数になった場合には、成績評価方法を「定期試験(16週目)」に変更することがあります。
成績評価方法が変更になった場合は、インフォメーションシステム等で連絡します。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

講義で学習した内容の理解に関する到達度を評価する。

①知識・技能の観点
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
に関して小テストおよび筆記による学力確認試験で評価する。

教科書
Textbooks

中林安雄、荒地良典、幸塚広光、田村裕、春名匠、矢島辰雄  『理工系のための現代基礎化学 -物質の構成と反応-』  (三共出版)  

参考書
References

新村等訳  ダグラス-マクダニエル無機化学(上)(下)  東京化学同人  
玉虫等訳  シュライバー無機化学(上)  東京化学同人  
小玉等訳  ヒューイ無機化学(上)(下)  東京化学同人  
浜口博・菅野等訳  リー無機化学(上)(下)  東京化学同人  
アメリカ化学会編 大木道則訳  ケムコム  東京化学同人  
内田・小松・幸塚・斉藤・伊熊・紅野著  ニューテック化学シリーズ無機化学  朝倉書店  

フィードバックの方法
Feedback Method

講義終了後または関大LMSにて各講師が質問に対応する。

小テストを採点後に返却します。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

オフィスアワー
電子メールあるいはLMSを通じて日時を事前に打ち合わせた上で担当教員と面談すること。 
中井:  nakai@kansai-u.ac.jp
藤本:  k-fuji@kansai-u.ac.jp 
矢島:  t.yajima@kansai-u.ac.jp

LMS、メールでの連絡に関する注意点
 連絡をするときには、必ず、「宛先の教員名、自分の学生番号、名前、講義名(基礎化学2)」を明記すること。

備考
Other Comments

 マテリアル科学コース(JABEE認定プログラム)での本科目の学習・教育目標はB。
 同コースで、本科目の基礎となる科目は数学(演習含)(関数と微分積分の基礎Ⅰ)、数学(演習含)(関数と微分積分の基礎Ⅱ)、物理学(演習含)(基礎物理学)。
 同コースで、本科目を基礎とする科目は化学実験、物理化学Ⅲ、固体の物理的性質。