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学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
50854
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
メディア研究方法論
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
溝口 佑爾
曜限
Day/Period
火2
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

データとは何か。あるいは数とは何か。それは人間的な知性との対立のなかで常に感性や経験を抑圧するものとして描かれてきた、その抽象的で人工的な彼岸性を本質とする「強いメディア」である。

「巨人の肩の上に立つ」という比喩がある。近代科学の基盤をつくったアイザック・ニュートンはこの表現を用いて、効率よく新たな知識や発想を得るためには、先人たちのアイデアによって築き上げられた巨大な構造物の上に立って視野を広げるという遠回りが必要であるという鋭い逆説を示した。情報技術が進歩した現代、私たちがその肩に立つべきもっとも汎用性の高い巨人のひとつがデータサイエンスだ。

統計学とコンピュータアルゴリズムを核とするデータサイエンスは、古典的な科学とは異なる位相に知を形づくる。ただし、抽象的なデータによって駆動するその終わりなき知的実践は、その「強さ」ゆえに、その力と限界を私たちの目の前に広がる具体的で人間的なスケールの現実と結びつけて理解することが難しい。

本講義は、データサイエンスを題材としてこの困難を解きほぐし、巨大な知識体系に挑むための地図を提供するものだ。プログラミングを用いたデータ解析の基礎スキルとその理論的な基盤について鑑賞・対話・実践を通じて学ぶことで、メディア研究の方法論について理論と実践の両面から多角的な探求を行う。地図を片手に巨大なアイデアの体系を再発掘し、地図を塗り直すこの旅は、知識と経験との関係をつなぎ直すためのきっかけとなるはずだ。
 

到達目標 / Course Objectives

①  知識・技能の観点
・データサイエンスの基礎的な概念と理論を理解し、統計学やアルゴリズムの役割を説明できる
・適切な手法を用いてデータの可視化や基礎的な解析を正確に実践できる

②  思考力・判断力・表現力等の観点
・データ解析の結果をもとに因果関係やバイアスを論理的に検討できる。
・使用したデータやモデルの選択理由を説明し、分析結果を論理的かつ具体的に表現できる

③  主体的な態度の観点
・授業内外での課題や演習に主体的に取り組み、積極的な参加を通じて学びを深められる
・多様な考え方を尊重しながら対話や議論に貢献することができる

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生による学習のふりかえり
・学生同士の意見交換(グループ・ペアワーク、ディスカッション、ディベート等含む)

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1回-第2回:オリエンテーション
    コース概要と目標の説明
    Google  Colabのセットアップと基礎的な操作
    Miroの導入・鑑賞・ディスカッション

第3回-第6回:データの可視化と記述統計
    データの型と構造
    可視化の基本
    記述統計
    データマイニング入門
    高度な可視化

第7回-10回:多変量解析と因果推論
    データ解析とバイアス
    交絡バイアスと第3変数のコントロール
    因果推論というアイデア

第11回-14回:応用手法
  履修生の到達度と興味に応じて以下からいくつかを選択する
    クラスタリング(K-means、階層型クラスタリング、二分木)
    テキストマイニング(単語頻度、TF-IDF、自然言語処理)
    画像解析(OpenCVや簡単なCNNによる)
    音声解析(Librosaによる)
    アンケートの設計
    反証としての質的調査

第15回:総括

授業時間外学習 / Expected work outside of class

・講義内容の復習
授業資料、教科書、ノートを読み返し、理解が不十分な箇所については調べるなどして復習を行うこと。特に、授業内で解説されたコードの流れや実行結果を確認すること。

・課題の完成
各授業で指示された課題(データの分析、可視化、レポート作成など)を指定された期限までに完成させること。Google  Colabを使用する場合は、ノートブックを保存し、動作と共有権限を確認してください。

・LMS上での演習に取り組む

LMSにアップロードされる演習問題を解くことで、Google  ColabとPythonの操作の基本を身につけること。
また、授業内で学んだ理論や手法を実践的に理解すること。

・次回以降の授業範囲の予習
指定された教科書を読み進め、次回以降の授業で登場する専門用語や基本概念を理解しておくこと。また、関連するPythonライブラリの使い方に簡単に目を通しておくこと。

・LMS上での演習に取り組む
LMSに掲載される演習問題を解くことで、次の実践的なスキルを身につけ、授業の成果を最大化するよう努めること。
-  Google  ColabやPythonの基本操作を習得すること。
-  授業で学んだ理論や手法を実践し、理解を深めること。
-  必要に応じて復習にも活用すること。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
・授業中のディスカッションと参加態度(40%)
授業中のディスカッションやグループ作業への積極的な参加姿勢を評価します。発言の内容や議論への貢献度を重視し、単なる発言頻度ではなく質を評価対象とします。

・小課題(振り返りレポート)(40%)
各回の授業後に提出する振り返り課題(小レポート)を評価します。
主な評価基準は以下の通りです:
-  授業内容の理解度が反映されているか
-  学生自身の考えや視点が具体的に記述されているか
-  レポートの論理性と記述の明確さ

・演習課題(20%)
Google  Colabを用いたデータ解析の補助課題についての取り組みを評価します。
主な評価基準は以下の通りです:
-  コードの正確性:指定されたタスクを正確に達成できているか
-  分析手法の適切性:データ解析に適切な手法が選択・実行されているか
-  分析結果の解釈:得られた結果について論理的かつ妥当な考察が行われているか
-  データの適切性(該当時):
データを自分で取得する場合、そのデータが解析目的に適しているか、データの信頼性や妥当性、関連性が考慮されているかを評価します。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

①知識・技能の観点(30%)
・データサイエンスの基礎的な概念やモデルを理解しているか。
・適切なモデルを選択し、Google  Colabを用いて正確に動作するコードを作成できているか。
・データの特徴を的確に把握し、可視化や基本的な分析を適切に実行しているか。

②思考力・判断力・表現力等の観点
・データ解析の正確さ(20%)
 -  分析結果に基づき、因果関係やバイアスを論理的に考察しているか
 -  エビデンスに基づいた適切な判断を行いて結果を明確に説明しているか
・分析に基づく論述の質(20%)
 -  分析結果を基に、論理的かつ説得力のある考察ができているか
 -  エビデンスに基づいた具体的な記述がなされているか

③主体的な態度の観点
・授業内での積極的な参加や演習課題への取り組み(30%)

教科書
Textbooks

黒木賢一・安田浩平・桑元凌・下山輝昌  Python実践  データ分析  課題解決ワークブック  秀和システム  978-4798071428

参考書
References

渡辺  宙志  ゼロから学ぶPythonプログラミング  講談社  978-4065218839
マイケル・フレンドリー、ハワード・ウェイナー  データ視覚化の人類史  グラフの発明から時間と空間の可視化まで  青土社  978-4791774197
西内啓  統計学が最強の学問である:データ社会を生き抜くための武器と教養  ダイヤモンド社  
中室牧子・津川友介    「原因と結果」の経済学  ダイヤモンド社  
馬場敬之    統計学キャンパス・ゼミ  マセマ  

その他、題材に応じた参考文献を授業時に適宜紹介する。

フィードバックの方法
Feedback Method

・小課題および中間レポートのフィードバック:提出された課題については授業中に全体的な講評とコメントバックを行います。特に重要な改善点や優れた取り組みを具体的に示し、次回以降の課題に活かせるよう指導します。
・オフィスアワーの活用:学生の質問や疑問に応じ、オフィスアワー中に追加のフィードバックやアドバイスを提供します。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

メール:y.mizo@kansai-u.ac.jp

備考
Other Comments

・本講義の方針:
本講義では、Google  Colabを用いたデータ解析や可視化の基礎スキルを習得しながら、自分の視点で知識を深め、成長することを目指します。プログラミング経験に関係なく取り組める内容としていますから、自分のペースで学習を進めてください。初心者の視点は新しいアイデアをもたらす重要な要素です。安心して参加し、多様な視点を共有してください。

・ノートPCの持参:
データ解析と授業内でのディスカッションに使用するため、ノートPCまたは同様の操作が可能な端末を持参することを推奨します。端末は十分に充電した状態で持参してください。

・必要な基本的なパソコン操作スキル:次の操作ができることを前提とします。
1.  ローマ字入力でのタイピングができること。
2.  WordやExcel、PowerPointなどの基本的なソフトを操作できること。
3.  複数のウィンドウを切り替えて操作できること。

・学内ネットワーク利用のためのIDとパスワード:
あらかじめ各自で確認してください。

・事前のアカウント作成
Google  Colabおよびオンラインホワイトボード「miro」を活用しますので、初回授業までにアカウントを作成しておいてください。利用が難しい場合は事前に教員に相談してください。

・実習参加の推奨
より詳細かつ包括的に社会調査とデータ解析を学ぶ実習としてメディア調査実習1(春)と2(秋)を開講しています。本講義を履修した学生には、これらの実習を2年次以降に履修することを推奨します。ただし、本講義のみの受講も可能です。