- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 商
- 時間割コード
Course Code - 40575
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 協同組合論
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 担任者名
Instructor - 杉本 貴志
- 曜限
Day/Period - 木2
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
授業種別 / Teaching Types
講義(対面型)
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
格差社会が深刻化している。梅田の街を見てみれば、ブランド品を買いあさり、贅沢な食事を毎日のように楽しむ人々がいるかと思えば、その隣には、住む場所さえなく、今晩の寝床となるネットカフェをもとめてフラフラと歩いている人々がいる。いわゆる「ワーキングプア」は、ごく特殊な、少数の人々の話ではない。「コロナによる倒産」「円安で経営破綻」「リストラ」「派遣切り」「内定取り消し」等で会社を放り出された人々の悲惨な境遇、失業者や破産者の痛ましい自殺などを新聞やニュースで目にして、これは他人事ではないという思いを抱いた学生諸君も多いのではないだろうか。
200年程前、産業革命期のイギリスで協同組合の設立に立ち上がった人々は、まさにそうした思いから、競争社会に代わる「協同」の社会を建設することを夢見たのであり、以後協同組合運動は劇的な発展を遂げ、今日では全世界で10億人もの組合員を抱える巨大な事業・運動体へと成長している。2012年は、国連によって「国際協同組合年」と定められ、日本を含む各国でさまざまな行事や企画が開催されたし、2016年には協同組合に集まる人々の実践が「ユネスコ文化遺産」として登録された。いま世界では、営利企業以上に、協同組合に対する期待が集まっている。2025年を再び「国際協同組合年」とすることが国連総会で表明され、いま協同組合は世界中で社会問題解決の旗手として注目されているのである。
この講義では、そうした協同組合運動が当初抱いていた理想と、その後の運動の変質、そして現在運動が抱えている課題を検討する。日本における協同組合の現状については「生活協同組合論」で取り上げるので、この講義ではもっぱら国外における協同組合の理念と歴史を、できる限り受講者の興味を引くように、現代の諸問題と結びつけて論じる予定である。学位授与方針との関係 / Related Diploma Policy
(商学部)
1.知識・技能
③専修に関わる専門知識の修得。
2.思考力・判断力・表現力等の能力
①ビジネス・経済・社会に対する広い視野と鋭い洞察力をも つ。
②企業倫理と社会的責任を深く認識し、品格をそなえたリーダーシップと「考動力」を発揮できる。
3.主体的な態度
自ら諸問題を発見し、主体的かつ柔軟に取り組むことができる。
到達目標 / Course Objectives
協同組合の歩みを学ぶことを通じて、市場経済とは何であるのか、企業とはいかなる存在であるのか、その理解を深める洞察力を養うことを目標とする。
授業手法 / Teaching Methods
・講義を行う
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
【第1回】
なぜ協同組合を取り上げるのか? 非営利・協同の企業とは
○授業のイントロダクションと講義対象の説明を行う。
【第2回】
資本主義と自由競争
○資本主義と競争経済の弊害について講義する。
【第3回】
ロバート・オウエン
○オウエンの生涯と思想(協同主義)を講義する。
【第4回】
初期協同組合運動の展開とロッチデール
○オウエン派協同組合運動について講義する。
【第5回】
ロッチデール公正先駆者組合
○先駆者組合の発足=協同組合運動の再興を講義する。
【第6回】
先駆者組合の運営と「ロッチデール原則」
○原則について解説する。
【第7回】
ロッチデールの転換
○消費者運動としてのロッチデール以後の協同組合を解説する。
【第8回】
利潤分配論争
○協同組合運動における論争の意義を考える。
【第9回】
消費者主権と女性協同組合ギルド
○女性ギルドの展開を紹介する。
【第10回】
国際協同組合運動
○ICAの誕生と展開について講義する。
【第11回】
戦争と協同組合
○第2次大戦と協同組合の関係を考える。
【第12回】
協同組合原則
○原則の変遷を解説する。
【第13回】
新時代の協同組合
○95年原則の意味を考える。
【第14回】
「国際協同組合年」と「ユネスコ文化遺産」
○これからの協同組合を展望する。
【第15回】
まとめと到達度の確認
○講義全体のまとめを行い、受講者の理解度を確認する。授業時間外学習 / Expected work outside of class
常にメディアに目を通して世の中の動きを理解しておくこと。
- 成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)で評価する。
到達度の確認100%
履修者数が多数になった場合には、成績評価方法を「定期試験(16週目)」に変更することがあります。
成績評価方法が変更になった場合は、インフォメーションシステム等で連絡します。基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy
①知識・技能の観点
非営利企業としての協同組合の特質を理解しているかを基準に評価する。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
自分自身の言葉で上記の知識を表現し、そこに存在する課題を考察できているかを基準に評価する。
③主体的な態度の観点
競争社会に生活する人間として非営利組織・協同組合の存在意義を自ら考えることができているかを基準に評価する。
- 教科書
Textbooks 杉本貴志・北川太一監修 『図解協同組合入門』 (家の光協会)
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参考書
References ジョンストン・バーチャル 『コープ:ピープルズ・ビジネス』 (大月書店)
中川雄一郎・杉本貴志編 『協同組合を学ぶ』 (日本経済評論社)
中川雄一郎・杉本貴志編 『協同組合 未来への選択』 (日本経済評論社)
杉本貴志編 『格差社会への対抗 新・協同組合論』 (日本経済評論社)
- フィードバックの方法
Feedback Method
- 担任者への問合せ方法
Instructor Contact 授業中及びその後に質問時間を設ける。
- 備考
Other Comments 履修者数が多数になった場合には、定期試験期間中に試験を実施することがあります。成績評価の方法の変更については、インフォメーションシステム等で連絡します。