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学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
30693
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
組織の経済学1
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
小林 創
曜限
Day/Period
木3
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

近年発展を遂げている組織の経済学について、この講義を通じてその基礎をじっくり学ぶ。不確実性下の意思決定とモラルハザードを分析の基礎として学習し、それを応用して組織の経済分析を進める。具体的なトピックとしては、  人を動かすためのインセンティブの設計である。

また、行動経済学の論点を加味して、個人が組織の中でどのような形で仕組みに反応するのかについて、心理的な特性を踏まえながら多様な角度から議論して行く。

最終的には、事例分析等によって、学習した分析枠組みを通じた企業組織の分析ができるようになることが目標である。

学位授与方針との関係 / Related Diploma Policy

(経済学部)
1.知識・技能
  ② ①の問題の解決策を経済学の立場から提示できる、あるいはその内容について経済学の基本原理及び専門知識を活用し理解できる。
2.思考力・判断力・表現力等の能力
  ①経済学に関する幅広い知識を活かして溢れる情報の中から真に必要な情報を取得する能力、グローバルな視野を持って時代を切り拓くための国際性を身に付けている。
  ② いかなる状況の変化に対しても深い洞察力を持って問題解決に向け「考動」できる。

到達目標 / Course Objectives

到達目標:
①組織の経済分析に必要な重要な諸概念の意味と役割を理解できる。
②いくつかの基本モデルやその簡単なバリエーションを学習した解法に基づいて正確に解くことができる。
③導いた結果について経済学的な意味を理解することができる。
④理論が提示する分析枠組みに基づいて、具体的な事例をその観点から分析することがきる。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・課題探究(プロジェクト学習、課題解決型学習、ケーススタディ等含む)

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1週 オリエンテーション:講義概要、講義計画、成績評価等の確認。
講義の進め方を説明する。

第2週 巨大化する企業と組織内取引の増大,  初級ミクロ経済学における企業の姿
1年次に学習した初級ミクロ経済学における企業の姿を復習し、現実の企業のあり方とのギャップを確認する。また、初級ミクロ経済学では市場取引に力点がおかれるが、近年の企業のあり方をみると、組織内での取引が拡大していることが報告されている。こうした事実をデータや資料で確認するとともに、その原因を探りながら、組織のなかで人を動かす要因にはどのようなものがあるかについて考察して行く。

第3週 理論:ゲーム理論入門

インセンティブ設計の議論に欠かせないツールであるゲーム理論を学習する。特に、展開型ゲームにおける部分ゲーム完全均衡を数値例を用いて学習する。


第4〜6週 モラルハザードと業績インセンティブ

モラルハザード問題の基本モデルの導入をする。具体的には、モデルの設定、報酬設計者に課される諸条件を学習した上で、問題を定式化していく。その上で、定式化された問題を解く方法を学習する。時間が許せば数値例を用いた具体的な解法を学習する。また、それに関連する練習問題を配布する。

第7〜8週 心理的・社会的動機付けの可能性と金銭的インセンティブ付けの比較検討

近年の行動経済学で主張されている動機付け要因を概観するとともに、金銭的インセンティブに比べ、それらがどのような場面で、どの程度効果を持つのかを検討して行く。


第9週  経営学における組織論:組織的記憶と組織学習

近年の経営学の組織論のなかで重要視されているもの一つが組織におけるイノベーションの創出である。新たな知をどう生み出すのか、イノベーションを生み出す組織の在り方について、経営学で展開されている研究を概観するとともに、経済学との接点を見出していく。

第10〜13週  組織におけるリーダーシップ

明示的な契約が締結されない場合でも、組織のリーダーによるリーダーシップによって組織メンバーのモチベーションが向上するメカニズムがあることを近年の研究成果に沿っていくつか紹介していく。

第14週 講義のまとめ
これまで学習してきた内容を概観し、キーワード等をまとめることで全体像を再度確認する。

第15週 到達度の確認

授業時間外学習 / Expected work outside of class

授業資料、教科書を、ノートを読み返し、理解が不十分な箇所に関しては各自参考書を調べるなどして復習をすること。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、到達度の確認(筆記による学力確認)と平常成績で総合評価する。
・到達度の確認(80%)
・レポート(20%)

履修者数が多数になった場合には、成績評価方法を「定期試験(16週目)」に変更することがあります。
成績評価方法が変更になった場合は、インフォメーションシステム等で連絡します。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

到達度の確認の得点と課題の出来映えがそのまま各自のの成績となる。

教科書
Textbooks

伊藤秀史,  小林創,  宮原泰之  組織の経済学  有斐閣  4641165505

参考書
References

ジョン・マクミラン  経営戦略のゲーム理論  有斐閣  
ポール・ミルグロム&ジョン・ロバーツ  組織の経済学  NTT出版  
エドワード・ラジアー  人事と組織の経済学  日本経済新聞社  
入山  章栄  世界標準の経営理論  ダイヤモンド社  

フィードバックの方法
Feedback Method

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

備考
Other Comments

・授業に関する問い合わせは、関大LMS  のメッセージ機能にて連絡してください。

・受講生への連絡は、関大LMSのメッセージにて行います。

・ミクロ経済学を習得していること。

・数理モデルを扱う上で必要となる簡単な計算、具体的には、中学・高校数学で学習した1次関数、2次関数、微分法を理解していること。不安な場合はきちんと復習しておくこと。

・予習は不要だが復習をしっかり行うこと。特に、次の2点は必ず行うこと。
(1)授業で示した計算は、授業後もう一度自分の手で追い直すこと
(2)授業で紹介されたグラフを授業後にもう一度自分で書いてみること
以上ができないようであれば、授業についていけなくなり、単位習得はかなり厳しいものと考えてください。