- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 文
- 時間割コード
Course Code - 21861
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - リアリティの心理学
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 担任者名
Instructor - 菅村 玄二
- 曜限
Day/Period - 木1
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
授業種別 / Teaching Types
講義(対面型)
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
本科目「リアリティの心理学」の旧名称(2021年度入学生まで)は「認知心理学a」であった。一般に,認知心理学とは,記憶,思考,注意,イメージ,言語,概念形成,問題解決,意思決定などを扱う分野である。知覚・感覚や神経作用といった基礎分野が含まれる場合もある。
しかし,今日では,こうしたテーマについて,従来の認知心理学の枠組みだけで論じるには限界が来ているのが実際のところである。認知科学の台頭はその好例であり,コンピュータサイエンス(人工知能研究)のほか,認知言語学,認知考古学,認知神経科学,認識論や心の哲学などを巻き込む大きな学際的領域を形成している。ただ,認知科学もまた,残念なことに,多分野にまたがる領域ではあるものの,各分野の枠を出ない研究が多く,異分野協働的な学際的成果は少ないのが現状である。そして,学問的知識の体系化を考えたとき,最も大きな問題の1つは,こうした多様な知見をとおして,一体,どのようなことが主張でき,またどのような方向に向かうことが示唆されるか判然としないことである。
こうしたなかで注目されてきたのが「構成主義」(constructivism)と総称される枠組みである。構成主義は,哲学,心理学,社会学,言語学,生物学,神経科学,美学,複雑系科学などを含む一大領域でありながら,「リアリティの構成性」という共通項を元に展開し,人間の能動性への価値づけなど一定の方向性をもった動向となっている。現代思潮の最大勢力と言われて久しいが,単なる机上の理論ではなく,現実場面への応用として,教育や臨床でも有用とされてきた歴史がある。
本講義では,構成主義の観点から,我々にとってのリアリティとは何か,それはどのように作られるのか,またどのようにすればそれを変容することできるのかといったことについて,価値観や生き方の問題も見据えながら概説していく。到達目標 / Course Objectives
①知識・技能の観点
・構成主義の理論と実践に関する基本的な知識を習得する。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
・上記の知識を適切に表現できる。授業手法 / Teaching Methods
・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生による学習のふりかえり
・課題探究(プロジェクト学習、課題解決型学習、ケーススタディ等含む)
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1回 オリエンテーション:リアリティの意味・教科書・成績評価
第2回 主客問題(1):色彩知覚にみるリアリティ
第3回 主客問題(2):構成主義からみたリアリティ
第4回 リアリティと夢
第5回 リアリティ構成における言語的操作と前言語的作用(1)
第6回 リアリティ構成における言語的操作と前言語的作用(2)
第7回 リアリティとしてのパレイドリアと相貌的知覚
第8回 リアリティを形作る投影とプライミング
第9回 身体・生物学的に構成されるリアリティ
第10回 社会・文化的に構成されるリアリティ
第11回 リアリティの測定法としてのRCRT
第12回 エナクトメントにみるリアリティ
第13回 マインドフルネスにみるリアリティ
第14回 結局,リアリティとは何か?
第15回 「あるがままのリアリティ」を生きる授業時間外学習 / Expected work outside of class
・指定の書籍を読み,内容や背景の理解を深める。
・自己分析課題を行う。
- 成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
授業内ワークシート(10%),授業外課題(20%),理解度テスト(70%)
※成績分布が素点の分布を反映しないと判断される場合は,素点を偏差値に換算し,定数を加算するなど相対化した得点調整を行うことがある。基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy
①知識・技能の観点
・試験:各回で取り上げた内容について,身につけた知識の正確性とその総数を評価する。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
・課題:結果を踏まえた解釈の適切性について,論理とわかりやすさの点から評価する。
- 教科書
Textbooks
-
参考書
References フランセラ,F. 『認知臨床心理学の父 ジョージ・ケリーを読む:パーソナル・コンストラクト心理学への招待』 (北大路書房) 978-4762829567
早稲田大学複雑系高等学術研究所(編) 『身体性・コミュニケーション・こころ』 (共立出版) 978-4320034464
レーザーズフェルド,v. E. 『ラディカル構成主義』 (NTT出版) 978-4757102354
春木豊・菅村玄二(編訳) 『マインドフルネス瞑想ガイド』 (北大路書房) 978-4762828102
マホーニー,M.J.(編) 『認知行動療法と構成主義心理療法』 (金剛出版) 978-4772410519
・2024年度までは「参考書1」を教科書として指定し,読書課題にしていました。今年度は読書課題は別の課題で代替しますが,本講義の内容と密接に関わる数少ない書籍ですので,興味のある方はぜひご覧ください。
・その他の資料については,授業内で別途,指示します。
- フィードバックの方法
Feedback Method ・質問等については,原則として授業内でフィードバックします。
・LMS上の課題については,コメント機能で返信する場合もあります。
- 担任者への問合せ方法
Instructor Contact 授業の前後やオフィスアワーのほか,メールもしくはLMSのメッセージなどで対応します。LMSから尋ねる場合は「メールでも送る」にチェックしてください。
オフィスアワーは水木の昼休みですが,先約が入ることもあるため,あらかじめメールでアポイントメントを取ることをおすすめします。オフィスアワー以外でも対応できる場合もあります。
- 備考
Other Comments ・講義内で,学業論文等の研究協力依頼をすることがあります。
・受講生の反応次第では,講義の順番やその内容,理解度の確認の実施日を変更することがあります。
・本講義の評価方法では,追試験・再試験の日は設けられておらず,理由の如何にかかわらず,救済措置はありません。
・欠席により配付資料を受け取れなかった場合は,次回までに法文研究室2号棟307号室のドアのファイルボックスからとっておいてください。