- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 文
- 時間割コード
Course Code - 21370
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 心理学専修ゼミ4
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/1
- 3
- 担任者名
Instructor - 菅村 玄二
- 曜限
Day/Period - 金2
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
授業種別 / Teaching Types
演習(対面型)
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
本ゼミでは,「構成行動学」(constructive praxeology)を大きなテーマとする。この学問名は,担当者が大学院生時代に所属していた「構成主義研究室」(Michael J. Mahoney)と「行動学研究室」(春木豊)を掛け合わせた造語である。
「構成主義」(constructivism)とは,一言で言えば,われわれが環境をどのように捉えるか,いかにして知るかということに関して,知覚対象である客体の特質以外の要因の影響を強調する理論群である。本ゼミで取り上げてきた環境事象としては,社会環境(他者,コミュニティ,言語,文化,宗教など),自然環境(生態系,大気,気温,重力など),人工環境(イス,クッション,机,食品,飲料,温冷パッド,電子書籍,VRデバイスなど),自己環境(身体,認知システム,感情,生理反応など)が含まれる。こうした環境を知覚し,認識するプロセスは,言語と非言語を用いた対人相互作用によって影響され,社会・文化・歴史性に依拠しながらも,進化生物学的な背景をもつ身体性を基盤としている。
一方の「行動学」は,動物行動学/比較行動学(ethology)や行動主義心理学を背景にした身体心理学の旧称であり,行動(behavior)の機能的側面,特にその生物学的適応価を追究するという意味合いに由来する。身体心理学は,姿勢,表情,呼吸,タッチといった身体動作やそれに伴う身体感覚が,行動主体者の感情や認知にどのような影響を与えているか実験的に明らかにする分野である。
もっとも,広義の構成主義に身体心理学が含まれるという考え方も可能であり,構成主義と身体心理学を足したからと言って,それが新しいすぐさま学問分野になるわけでもない。むしろ,そこには,感情心理学,認知心理学,進化心理学,学習心理学,臨床心理学,教育心理学,環境心理学といった従来の心理学分野に相当する内容が多分に含まれる。
しかし,それでもなお,構成主義と身体心理学をあえて分け,その旧称を使って「構成行動学」という名称にしたのは,そこに一つの価値観を含めたかったためである。まず「構成主義的」を意味する”constructive”という語に含まれる「建設的」という意味合いを強調したいという意図があった。また行動学の英訳として”study of behavior”や”behaviorology”という用語ではなく,”praxeology”という単語を当てたのは,これが実践を重視する分野であることを強調したかったからである。
したがって,構成行動学とは,構成主義の立場を基本としながら,生物・身体という個人的次元と言語・文化といった社会的次元の双方の視点から,われわれがどのようにして現実を作り上げるかを問うとともに,どのような実践によって現実を変えていけるかという「建設的な行動」を追究する分野であると言える。
秋学期は,こうした考え方や実際の研究を分析するための統計法を学ぶ一方で,各自が関心をもったテーマに関する論文を読み,各自の卒業研究の具体化へとつなげていく。到達目標 / Course Objectives
①知識・技能の観点
・関心のある心理学論文の主旨を独力で理解できる知識を身につける。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
・文献を正確に読解し,それを要約,パラフレーズし,自分の研究との関連を適切な言葉で表現できる。
③主体的な態度の観点
・得られた知識とスキルをもとに,各自の卒業論文へとつながる計画を自主的に立案できる。授業手法 / Teaching Methods
・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生同士の意見交換(グループ・ペアワーク、ディスカッション、ディベート等含む)
・プレゼンテーション(スピーチ、模擬授業等含む)
・課題探究(プロジェクト学習、課題解決型学習、ケーススタディ等含む)
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1回 オリエンテーション:進捗確認・最先端トピック紹介・今後の予定
第2回 グループ別卒論構想相談会①(1/2)
第3回 グループ別卒論構想相談会②(2/2)
第4回 実験計画批判トレーニング
第5回 グループ発表①:2要因以上の分散分析
第6回 グループ別卒論進捗相談会①(1/3)
第7回 グループ別卒論進捗相談会②(2/3)
第8回 グループ別卒論進捗相談会③(3/3)
第9回 グループ発表②:因子分析・主成分分析+講義「因子分析のポイント」
第10回 講義「進路選択の心理学」「アウトライン作成法」
第11回 全員参加型卒論相談会①+文献紹介①(1/3)
第12回 全員参加型卒論相談会②+文献紹介②(2/3)
第13回 全員参加型卒論相談会③+文献紹介③(3/3)
第14回 アウトラインへのフィードバック
第15回 アウトラインとデータ収集法の相談・確認授業時間外学習 / Expected work outside of class
・グループや個人で選んだ論文や書籍を読む。
・発表資料を準備する。
・卒業論文の研究計画を具体化する。
・卒業論文の一部,また卒業研究で使用する資料を作成する。
- 成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
・グループ学習発表(20%)
・研究計画の発表と資料(40%)
・指定された提出課題(40%)基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy
①知識・技能の観点
・発表と資料:説明と資料の正確さ,詳しさ,幅広さ
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
・発表と資料:論理性と表現の適切性
③主体的な態度の観点
・授業内外のワーク:発言や応答など授業への能動的な関わりの度合いと卒業論文の進捗
- 教科書
Textbooks
その他,必要があれば,別途,指示する。
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参考書
References 春木 豊・山口 創(編) 『新版・身体心理学』 (川島書店) 978-4-7610-0912-0
春木 豊 『動きが心をつくる:身体心理学への招待』 (講談社) 978-4-06-288119-7
鷲田清一 『悲鳴をあげる身体』 (PHP研究所) 4-569-60309-2
その他,必要に応じて,別途,指示する。
- フィードバックの方法
Feedback Method 授業内でコメントするほか,メールやオフィスアワーで対応する。
- 担任者への問合せ方法
Instructor Contact オフィスアワーに限らず,対応できる場合もありますので,あらかじめメールでアポイントメントを取ってください。
- 備考
Other Comments 原則、心理学専修から発表された「ゼミ指定」で指定された者のみ、このクラスに履修登録できる(編転入生を除く)。履修せずにオブザーバーとして聴講を希望する場合は,担当者まで問い合わせること。