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学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
21655
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
倫理学特殊講義a
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
担任者名
Instructor
後藤 博和
曜限
Day/Period
火3
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 ナチ戦犯アイヒマンに対して、二人のユダヤ人哲学者、ハンナ・アーレントとジャック・デリダは対照的な態度を示した。『人間の条件』で「赦し」の重要性を強調していたアーレントも、自らの罪を最後まで認めることのなかったアイヒマンに対しては「赦し」の対象とはならないとした。一方、デリダはアイヒマンのような「赦し得ぬ者をも赦す」ことこそが真実の「赦し」であるとした。
 この授業では、まず二人の「赦し」論を概観したのち、トラウマ問題で有名な精神医学者ジュディス・ハーマンの総決算とも言われる著書『真実と修復』を参考にしつつ、暴力被害者の回復における「赦し」のもつ意味について考える。そして最後には、これまでの議論を踏まえて、死刑存廃問題について考える。

到達目標 / Course Objectives

①知識・技能の観点
 哲学者・精神医学者の深い思索の結晶としてのテキストを、まずはおのれを殺して正確に理解する能力を身につける。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
 ①で得た知見を現在われわれが直面している具体的現実と結びつけて理解する能力を身につける。
③主体的な態度の観点
 講義科目ではあるが、ただ理解するのではなく、質疑応答・ディスカッションなどを通じて批判的な視座を獲得する。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生同士の意見交換(グループ・ペアワーク、ディスカッション、ディベート等含む)

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1回  序論:裁判員裁判における厳罰化傾向について
第2回  アーレント『人間の条件』1)イエス論
第3回  アーレント『人間の条件』2)「赦し」と「罰」
第4回  アーレント『エルサレムのアイヒマン』
第5回  DVD「ハンナ・アーレント」鑑賞、グループ・ディスカッション
第6回  デリダによるアーレント批判
第7回  デリダ『赦すこと』1)「贈与」と「赦し」
第8回  デリダ『赦すこと』2)「恩赦」を授ける権利
第9回  デリダ『赦すこと』3)「赦し」と「感謝」
第10回  ノルウェー連続テロ事件(2011年)について、グループ・ディスカッション
第11回  ハーマン『真実と修復』1)暴力被害者の負うトラウマ
第12回  ハーマン『真実と修復』2)加害者による謝罪
第13回  ハーマン『真実と修復』3)和解は可能か?
第14回  死刑 1)被害者遺族の葛藤
第15回  死刑 2)死刑は野蛮か?

授業時間外学習 / Expected work outside of class

配布プリントの復習は必ず毎週行うこと。聴講している際はわかったつもりになっていても、読み返してみると理解があいまいなことはよくある。また、参考文献のうち最低でも1冊は、みずからチャレンジしてほしい。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
平常点20%、レポート80%。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

①知識・技能の観点
 ミニッツペーパーによる理解度の確認
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
 レポート
③主体的な態度の観点
 質疑応答、ディスカッション

教科書
Textbooks


使用しない。配布プリントで代替する。残部は2週間分はもってくるが、それ以降は順次廃棄する。

参考書
References

ハンナ・アレント  『人間の条件』  (講談社学術文庫)  978-4-06-531427-2
ハンナ・アーレント  『エルサレムのアイヒマン』  (みすず書房)    978-4-622-08628-4
ジャック・デリダ  『赦すこと』  未來社  978-4-624-93263-3
ジュディス・ハーマン  『真実と修復』  (みすず書房)  978-4-622-09690-0

フィードバックの方法
Feedback Method

ミニッツペーパーをLMSに投稿してもらったときは、翌週の授業冒頭で行う。
成績発表後は教務課を介して行なう。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

オフィスアワー:火曜5限。場所は相談の上、決める。
その他:緊急の質問・相談は関大LMSの「メッセージ」機能を活用してもらいたい。

備考
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