- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 法
- 時間割コード
Course Code - 11085
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 海商法
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 秋/2
- 1
- 担任者名
Instructor - 笹本 幸祐
- 曜限
Day/Period - 木3
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
授業種別 / Teaching Types
講義(対面型)
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
海商法においては、内航海運および外航海運に関する法制が異なるため、それぞれに対応した学習が必要になります。国際化が高らかに叫ばれる現在、国際売買・輸送の世界的動向を知ることは大いに重要なことではありますが、それらについても、本来は売買契約・運送契約に基づくものであり、それゆえ本講義では、とりわけ運送契約全体に関する法理論の基礎的な理解を主たる目的とします。根底に流れる運送契約法理をまず理解することが、海商法の研究については遠回りのようで実は近道なのです。
そこで、本講義では、運送契約法理については、商行為法における陸上運送に関する規定をまず検討・考察し、そのうえで、海上運送について、理解を深めていくことを目的とします。また、時間に都合がつけば、授業担当者が日本空法学会常任理事である立場から、航空運送に関する問題についても適宜解説していきます。
運送契約では、運送人の責任が議論の中心となるため、それを理解するには、民法における不法行為責任や債務不履行責任等の民事責任法理についての知識が必要となります。
したがって、本講義では、商法だから、民法だから、といった個別的な理解に走ることなく、民商法の純粋な契約法理を探求し、そこから得られる示唆をもって海商法を学習することになるので、受講生にはかなりの負担になると思われますが、現実の物流を考える生きた運送法を学ぶ貴重な機会を提供するつもりですからぜひ挑戦してもらいたいなと思っています。
毎回の講義時には、教科書のほか、電子情報端末をできる限り持参してください。六法の携帯よりもスマホ、タブレットの利用による電子政府の総合窓口(e-Gov)での条文閲覧を推奨します。
対面での授業運営を予定していますが、毎回の講義内容をより詳細に解説した口述式講義案を毎回の授業時に合わせてLMSに掲載していきますので、授業時には、それを利用して授業を聴いてもらってもいいし、授業後の復習にそれを活用してもらってもかまいません。したがって、このような授業運営に余裕で対応できるようにPCおよび通信環境等を整えておいてください。学位授与方針との関係 / Related Diploma Policy
(法学部)
1.知識・技能
(1)制度に関する体系的知識
2.思考力・判断力・表現力等の能力
制度の正確な理解に基づいて問題状況を客観的に説明する力
規範や歴史的経験によって根拠づけられた説得的な議論を構成する力
到達目標 / Course Objectives
物流に関わる企業について、受講生諸君が何らかの興味を持つことができ、講義計画に掲げた内容について、就活や資格試験等にも対応できる程度の基礎知識は必ずマスターできるようになることを主たる目標とします。
また、PCスキルは徹底的に磨いておかなければ、テレワークでのインターンシップ等に対応できなくなるので、常にPCスキルの上達を心がけるように取り組んでほしいと思います。授業手法 / Teaching Methods
・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・匿名での感想や意見を教員に伝えることができる投稿箱をLMSに設置する予定であり、それに対する回答集的なものを適宜掲載していくつもりです。
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
全15回の講義については、以下のような項目順で行うつもりですが、航空運送についても必要に応じてふれ、受講生の受講態度、理解度、および講義の進度によって、項目の順序を入れ替えたり、項目によってはその内容を複数回にわたって行うなど臨機応変に変更・対応します。
0 はじめに
1 運送法総論(商法における運送契約の定義、利用運送・実運送)
2 運送企業組織その1(船舶・船主・船舶共有者・船舶賃借人)
3 運送企業組織その2(傭船者・船長・海員)
4 運送企業の責任と責任制限(特に船主責任)
5 陸上物品運送契約(陸上運送取扱業・陸上物品運送業)
6 海上物品運送契約(国際海上物品運送法・定期傭船契約・複合運送契約)
7 運送証券(特に船荷証券)
8 陸上物品運送人の責任と海上物品運送人の責任の再検討
9 船舶衝突・共同海損・海難救助
10 海上企業金融(船舶先取特権・船舶抵当権・強制執行)
11 旅客運送契約概論
12 旅客運送人の責任(特に旅客航空運送契約)
13 総括授業時間外学習 / Expected work outside of class
自筆ノートの作成および充実に取り組むことが単位取得に直結するので、普段から配布物や聴講内容を自分の手でノートにまとめ直す作業が必要とされます。また、運送に関する法は、民法の知識・理解がないと学習が困難であるばかりか、興味自体が失われる可能性がありますから、仮に民法の知識がおぼつかないのであれば、自分の努力で民法の知識を補うなどの幅広い学習意欲がない限り、講義内容の総合的理解は到底困難であろうと思います。
- 成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
レポートの成績での評価(100%)
LMSで各講義回に配布する口述式講義案、および各種参考資料に基づいて受講生各自が作成した自筆ノートだけでなく、一切の資料の参照を許可した上で、単なるネット情報の丸写しでは解答できない、論述問題(基礎問題5問+応用問題1問)を答案用紙の形式の定期試験代替レポートとして出題します。基礎問題のみの解答は60点台までの評価しか与えられず、かつ、基礎問題で60点以上獲得できていない場合には応用問題の採点は行いません。
事前に問題の情報提供はしますが、授業内容がすべて試験範囲となるため、毎回の授業に対する積極的な参加が必然的に求められることになります。
合格率は履修登録者数によってある程度変動するものの定期試験の受験者数の約9割、不受験者も一定数いるので、全履修登録者数の概ね7割以上を目標値とします。例年不合格者はほぼ白紙の答案や問題の意味がわかっていないもの、明らかに記述が的外れなものがほとんどで大半が40点前半未満です。これに対して例年合格者の多くが70点以上を得点できていますので、成績分布は二極分化しています。
したがって普段から口述式講義案を熟読する習慣があり、適宜自分で別途ノートを作り上げるなどの通常の試験準備ができる者であればまず不合格にはなりませんが、最終回まで講義案に目も通さず、いきなり答案を書こうとする者は講義案の内容にふれることができないため満足な答案が書けずにほぼ不可になります。
また、レポート評価の場合、Wordの書式設定等ができずに様式違反で不可になってしまうこともありますので、Wordを普通に使いこなせるようになっておいてください。基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy
評価に際しては、基礎問題については講義計画に掲げた内容に関する基本的な理解ができているか、応用問題については同内容に関する発展的な理解(設定事例などへのあてはめ、学説・判例の分析・検討など)ができているか、さらに答案構成力などを加味して、高得点者との答案内容の出来の差、および全受講生の得点分布をふまえて総合的に判断します。特に70点台の受講生の大半と比べてやや劣っている答案は可になる可能性がありますが、著しく劣っていると客観的に判断されうる答案は必然的に不可となります。
- 教科書
Textbooks 箱井崇史 基本講義 現代海商法(第5版) 成文堂
海商法の専門的な研究者が現在は非常に少ないために、海商法の信頼できる最新のテキストとしては、今のところこれしかないのでこの教科書は必ず手に入れておいてください。最新のものは今のところ第5版です。法改正等が反映されていない第4版以前のものを買わないように気をつけてください。
-
参考書
References 小林登 新海商法(増補版) 信山社
神作裕之=藤田友敬(編) 商法判例百選 有斐閣
- フィードバックの方法
Feedback Method 授業期間中にLMSで自由に投稿できる投稿箱を設置して、そこに投稿されたものの中から質問や意見についてはそれに対するコメントの形で公表して、疑問等を受講生間で共有化しつつ解決を図れるように効率的にフィードバックを行います。また、質問については、関大LMSからのメッセージによって常時受け付けますので安心してください。
- 担任者への問合せ方法
Instructor Contact LMSのメッセージを利用して問い合わせをしてもらえれば臨機応変に対応します。
- 備考
Other Comments 講義内容については、授業をそのまま紙に起こした形での口述式講義案を配布しますが、授業回によっては数万字に及ぶ分量で内容が非常に濃いので、読まずに溜めてしまうと試験前には到底読みきれなくなるので、毎回の講義時に必ず一通り目を通す習慣をつけてください。補足その他必要とあれば適宜音声動画や、ペンタブレットによる画面共有を利用した形で図解その他の解説を配信することもありますが、その場合にはDropboxにUPして、urlへのリンクをLMSに掲示します。
口述式講義案のLMSへのUPは毎週の講義日の正午までに行う予定です。DLは毎回UPしてから1週間に限定しますので、必ずその期間内にDLして目を通すようにしてください。なお、講義案については、再配布はしませんので、試験直前にPCが壊れた等の事故に対処できるように、常にDLしたらクラウド等にバックアップをとるようにしてください。
出来不出来に関係なく、学習意欲のある学生を主たる対象として講義を進めたいと考えていますので、物流業界を志望する者の就職後の研修等にも十分耐えうる内容にするつもりです。
したがって、学究心のない学生は、ついていけなくなるだけでなく、結果的に単位を落とすことになりますから、安易な気持での履修は遠慮してください。
学習用六法の利用を否定するものではありませんが、最新の改正にも対応するために、この講義では、スマホやタブレット、ノートPCの利用による電子政府の総合窓口(e-Gov)での条文閲覧を推奨します。
社会状況の変化によって仮にオンデマンド授業になった場合にも余裕で対応できるようにPCおよび通信環境等を整えておいてください。それが就活でも絶対に役立ちますから。