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学部・研究科
Faculty/Graduate School
時間割コード
Course Code
11083
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
保険法
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
1
担任者名
Instructor
笹本 幸祐
曜限
Day/Period
木4
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 平成22年に施行された「保険法」の立案作業の一部に関わった経験から得られた示唆、施行後の裁判例などをもとにして、新しい保険法に関するさまざまな理論と実務について徹底的に掘り下げて考えてみたいと考えています。
 保険会社における約款運用、取扱者との関係、募集・支払などの現実的な実務内容をもとに考えるため、書籍だけの知識では授業内容についてくるのはやや困難であるということをあらかじめお断りしておきます。
 なお、授業担当者は、某生命保険会社の保険金不払事案に関する不払審査委員会の学識経験者委員を15年以上務めていることから、適宜必要に応じて、保険実務上の理論的問題点を紹介したり、保険会社で実務にあたっている方々の現場での生の声を授業中に織り込んでいくつもりですので、就活で保険会社をはじめとする金融業界や、保険代理店業務を営む自動車販売業界や不動産業界のほか、保険を必ず利用する運送業界等を志望している学生の積極的な受講を歓迎します。
 対面での授業運営を予定していますが、毎回の講義内容をより詳細に解説した口述式講義案を毎回の授業時に合わせてLMSに掲載していきますので、授業時には、それを利用して授業を聴いてもらってもいいし、授業後の復習にそれを活用してもらってもかまいません。したがって、このような授業運営に余裕で対応できるようにPCおよび通信環境等を整えておいてください。
 なお、自動車保険および医療保険については、主として展開講義2(保険取引)[旧・展開講義(商法)]で取り扱いますので、そちらを併せて履修してもらえると総合的に保険法の知識が学べます。

学位授与方針との関係 / Related Diploma Policy

(法学部)
1.知識・技能
  (1)制度に関する体系的知識
2.思考力・判断力・表現力等の能力
  制度の正確な理解に基づいて問題状況を客観的に説明する力
  規範や歴史的経験によって根拠づけられた説得的な議論を構成する力

到達目標 / Course Objectives

 保険法および保険実務の両方にバランスの取れた理解の修得を目標とします。
 市販本に軽く目を通せば覚えられるような単なる教養のための机上の学習レベルの講義をするつもりはありません。毎年、就活やインターンシップ等に即役立つレベルの内容にしています。
 また、PCスキルは徹底的に磨いておかなければ、テレワークでのインターンシップ等に対応できなくなるので、常にPCスキルの上達を心がけるように取り組んでほしいと思います。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生による学習のふりかえり
・前年度に引き続き、匿名での感想や意見を教員に伝えることができる投稿箱をLMSに設置する予定であり、それに対する回答集的なものを適宜掲載していくつもりです。

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

 全15回の講義については、どのような形で立法が行われるに至ったのか、またその背景にはどのような事情があったのかといったことから、現実の法的諸問題が立法で解決されることになったのかどうか、残された課題はあるのかといったことまでを、以下の順で各項目を数回にわたって概観していく予定ですが、受講生の興味関心に応じてもっと実務に沿った形で臨機応変に変更していくこともあります。
 なお、より詳細な各論的内容については、展開講義2(保険取引)[旧・展開講義(商法)]で対応するので、そちらを併せて受講してもらえると、保険法の理解がより深まります。

 1.保険法成立の経緯
 2.新保険法の特徴
 3.損害保険契約における諸論点
 4.生命保険契約における諸論点
 5.傷害・疾病保険契約における諸論点
 

授業時間外学習 / Expected work outside of class

 自筆ノートの作成および充実に取り組むことが単位取得に直結するので、普段から配布物や聴講内容を自分の手でノートにまとめ直す作業が必要とされます。また、保険法は、特殊な領域とはいえ、基本は契約法ですから、民法の知識・理解がないと学習が困難であるばかりか、興味自体が失われる可能性がありますから、仮に民法の知識がおぼつかないのであれば、自分の努力で民法の知識を補うなどの幅広い学習意欲がない限り、講義内容の総合的理解は到底困難であろうと思います。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験(筆記試験)の成績で評価する。
 定期試験の成績での評価(100%)
 LMSで各講義回に配布する口述式講義案、および各種参考資料に基づいて受講生各自が作成した自筆ノートの参照を許可した上で、単なる丸写しでは解答できない、論述問題(基礎問題5問+応用問題1問)を出題します。基礎問題のみの解答は60点台までの評価しか与えられず、かつ、基礎問題で60点以上獲得できていない場合には応用問題の採点は行いません。
 事前に試験問題の情報提供はしますが、授業内容がすべて試験範囲となるため、毎回の授業に対する積極的な参加が必然的に求められることになります。
 合格率は履修登録者数によってある程度変動するものの定期試験の受験者数の約9割、不受験者も一定数いるので、全履修登録者数の概ね7割以上を目標値とします。例年不合格者はほぼ白紙の答案や問題の意味がわかっていないもの、明らかに記述が的外れなものがほとんどで大半が40点前半未満です。これに対して例年合格者の多くが70点以上を得点できていますので、成績分布は二極分化しています。
 したがって普段から口述式講義案を熟読する習慣があり、適宜自分で別途ノートを作り上げるなどの通常の試験準備ができる者であればまず不合格にはなりませんが、最終回まで講義案に目も通さず、いきなり答案を書こうとする者は講義案の内容にふれることができないため満足な答案が書けずにほぼ不可になります。
 また、試験がレポート評価に切り替わった場合には、Wordの書式設定等ができずに様式違反で不可になってしまう人もいますので、Wordを普通に使いこなせるようになっておいてください。

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

 評価に際しては、基礎問題については講義計画に掲げた内容に関する基本的な理解ができているか、応用問題については同内容に関する発展的な理解(設定事例などへのあてはめ、学説・判例の分析・検討など)ができているか、さらに答案構成力などを加味して、高得点者との答案内容の出来の差、および全受講生の得点分布をふまえて総合的に判断します。特に70点台の受講生の大半と比べてやや劣っている答案は可になる可能性がありますが、著しく劣っていると客観的に判断されうる答案は必然的に不可となります。

教科書
Textbooks

洲崎博史=後藤元(編)  保険法判例百選(第2版)  有斐閣  

 担当者が普段、保険会社の不払審査委員として関わっている現実の保険実務で取り扱われている事案と関連させて解説していく予定です。

参考書
References

山下友信  保険法(上)(下)  有斐閣  
山下友信=永沢徹  論点体系  保険法 1・2  第一法規  
山下友信=米山高生  保険法概説  有斐閣  

フィードバックの方法
Feedback Method

 授業期間中にLMSで自由に投稿できる投稿箱を設置して、そこに投稿されたものの中から質問や意見についてはそれに対するコメントの形で公表して、疑問等を受講生間で共有化しつつ解決を図れるように効率的にフィードバックを行います。また、質問については、関大LMSからのメッセージによっても常時受け付けますので安心してください。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

 LMSのメッセージを利用して問い合わせをしてもらえれば臨機応変に対応します。

備考
Other Comments

 モラル・ハザードという語は保険分野から派生した語です。そういった道徳的危険を防止するためにどのような措置が考えられるか、また保険会社の保険金不払問題や、保険契約者の保険料過払問題なども意識して、いたずらに保険会社に有利にならないようにバランスを取るにはどうすればいいのかといった問題意識を持てて、かつ就活等に授業で得た知識を活かしたいというような学習意欲のある人のみに参加してもらいたいなと考えています。
 講義内容については、授業をそのまま紙に起こした形での口述式講義案を配布しますが、授業回によっては数万字に及ぶ分量で内容が非常に濃いので、読まずに溜めてしまうと試験前には到底読みきれなくなるので、毎回の講義時に必ず一通り目を通す習慣をつけてください。補足その他必要とあれば適宜音声動画や、ペンタブレットによる画面共有を利用した形で図解その他の解説を配信することもありますが、その場合にはDropboxにUPして、urlへのリンクをLMSに掲示します。
 口述式講義案のLMSへのUPは毎週の講義日の正午までに行う予定です。DLは毎回UPしてから1週間に限定しますので、必ずその期間内にDLして目を通すようにしてください。なお、講義案については、再配布はしませんので、試験直前にPCが壊れた等の事故に対処できるように、常にDLしたらクラウド等にバックアップをとるようにしてください。
 出来不出来に関係なく、学習意欲のある学生を主たる対象として講義を進めたいと考えていますので、保険を扱う業界を志望する者の就職後の研修等にも十分耐えうる内容にするつもりです。
 したがって、学究心のない学生は、ついていけなくなるだけでなく、結果的に単位を落とすことになりますから、安易な気持での履修は遠慮してください。
 学習用六法の利用を否定するものではありませんが、最新の改正にも対応するために、この講義では、スマホやタブレット、ノートPCの利用による電子政府の総合窓口(e-Gov)での条文閲覧を推奨します。
 社会状況の変化によって仮にオンデマンド授業になった場合にも余裕で対応できるようにPCおよび通信環境等を整えておいてください。それが就活でも絶対に役立ちますから。