2025 年度の講義概要のデータベースを検索します。カリキュラムツリーへのリンク
学部・研究科
Faculty/Graduate School
文/政策/外/シ/環/化
時間割コード
Course Code
00698
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
政治学のすすめ
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
B 1
担任者名
Instructor
木村 祐治
曜限
Day/Period
金1
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

テーマ:民主政治の根本問題
「政治」という営みを理解し、分析するための「道具」=    政治学の概要を紹介します。

・「現実(政治)」=制度と現象の背後にある歴史や思想を意識すること
・「歴史」「思想」を「お勉強」の対象としてではなく、現実と常にかかわっているものとして捉えること
・「政治学」の全体像を可能なかぎり示すこと

が、このクラスの基本方針です。

「政治」には、価値、制度、現象の3つの側面があるといえます。制度が現象を生み出すこともあれば、現象が制度を生み出すこともあります。また、制度や現象は、何らかの価値に支えられています。政治はこの三者の相互作用で動いているということができるでしょう。

「政治学のすすめ」には、それぞれ担当者が異なる複数のクラスがありますが、このクラスでは、とりわけ民主政治(いわゆる「民主主義」)のもととなっている制度について、歴史的・思想史的な観点から、「なぜこの制度が存在しているのか」「どのような目的でこの制度が作られているのか」という、根本的な問題について考察することを重視します。「制度」=しくみの存在理由を理解すること、すなわち「制度の精神」(丸山眞男)を捉えることは、「政治」の理解にとどまらず、他の分野の理解にも役立つでしょう。

SNS等をとおして伝えられる「政治」は、基本的な知識を欠いていたり、誤解を含んでいたりする見解であることも少なくありません。歴史や思想、制度についての十分な理解を踏まえて「政治」と向き合えるようになることを目標とします。

到達目標 / Course Objectives

①知識・技能の観点
 a.  政治学の基本概念を理解する。
 b.  基本概念相互の連関(つながり)を理解する。

②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
 c.  基本概念の理解を踏まえて、政治制度・政治現象を学術的に分析する。

③主体的な態度の観点
 d.  分析を踏まえて、政治制度・政治現象を独自の視点で学術的に論評する。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1回 オリエンテーション

第2回 政治「学」とは何か?
 ―  心理学との比較、政治学の歴史

第3回 「民主政治」とは?
(教科書はしがき、第2章第1節)

第4回 民主政治は「善きもの」?
 ―  古代ギリシアの民主政治
(教科書第1章第1節)

第5回・第6回 三権分立?
 ―  公民系科目、「世界史」で学んだことはほんとうか?
(教科書第1章第3節)

第7回 執政制度
 ―  首相と大統領のリーダーシップ
(教科書第1章第3節、第4章第1節、第6章第1節) 

第8回 政党制と選挙制度
 ―  政党制と選挙制度とは関連する?
(教科書第1章第2節、第5章第1節、第6章第2節)

第9回 日本の選挙制度
 ー  日本の選挙制度は「おかしい」のか?
(教科書第5章第1節・第3節)

第10回 投票行動
 ―  人はどのように投票するのか?
(教科書第5章第2節-第3節)

第11回 政策過程
 ―  誰が政策を「決める」のか?
(教科書第7章)

第12回 現代日本の政治
 ―「55年体制」から「政治改革」へ
(教科書第4章第2節、第6章第3節、第7章、第9章)

第13回・第14回 現代の民主政治とその課題
(教科書第2章第2節-第3節、第11章)

第15回 国際政治の捉えかた
 ―    安定した平和な国際秩序をどのように構築・維持するか?
(教科書第2章第1節、教科書第3章第2節、教科書第10章第1節・第3節)

・可能なかぎり、最新の研究成果や事例を授業内容に反映させたいと思いますので、授業の進度や具体的な内容は変動するかもしれませんが、テーマについては変更しません。
・教科書では「政治とメディア」に関する問題も扱われていますが(第8章)、メディアについては「メディア・リテラシー入門」で取り上げられますので、この授業では省略します。また、「福祉国家」(第3章)については、やや専門的にすぎるため、第15回で簡単に触れるにとどめます。

授業時間外学習 / Expected work outside of class

・予習として、授業前に「授業計画」の各回に示されている教科書の章と節とに目を通しておくと理解が深まるでしょう。
・基本概念の相互連関を重視するため、教科書の内容を担任者の視点から再構成して講義します(「授業計画」で示しているように、教科書の章の順番どおりに授業が進むわけではありません)。また、授業では、教科書の内容の背景を説明することに重点を置きます。「教科書を読めばわかる」ことについては説明を省略することがありますので、理解を深めるためにも、教科書をできるだけ早いうちに通読し、授業のあとや試験前にはノートを整理しなおしてください。自分のことばで授業内容をまとめなおすことが、ヨリよい理解につながります(これは他の科目についても同様です)。
・授業の進行状況、配付資料は関大LMSに随時掲載します。
・欠席・遅刻・早退した場合は、知り合いにノートをコピーさせてもらう、LMSをチェックするなど、各自でフォローに努めてください。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。
定期試験(70%)、アンケートへの参加・提出課題・小テスト[LMS上で実施することもあり](30%)

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

①知識・技能の観点
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
③主体的な態度の観点

・上記の観点=評価の内容は、「到達目標」で示しているとおりです。主として①は課題を、②③は定期試験を通じて評価します。
・定期試験は論述式とし、授業内容全体を踏まえて到達目標の達成度と論述力(学術論文の作成能力=学術的に適切な表現・形式で論述できること)とをあわせて評価します。参照条件は「すべて許可」です。「過去問」はすべてLMSで公開します。
・課題の内容・形式は授業中、ならびにLMS上でその都度説明します。

秀:到達目標  a-d  を達成
優:到達目標  a-c  を達成
良:到達目標  a-b  を達成
可:到達目標  a  を達成
不可:到達目標未達成

教科書
Textbooks

川出良枝、谷口将紀(編)  『政治学 第2版』  (東京大学出版会、2022年)  978-4-13-032235-5

・教科書は第2版(2022年)を使用します。古書店で入手する場合は、初版(2012年)ではないことをご確認ください。
・お金がかかることでもありますので、第1回の授業までに購入する必要はありません。第1回の授業を聞いて、正式に履修登録することにした人のみ購入して、3回目の授業から持参してください。
・その他、資料を配布することがあります。

参考書
References

木寺  元  (編)  『政治学入門  <第3版>』  (弘文堂、2023年)  978-4-335-46044-9
坂本治也、石橋章市朗(編)  『ポリティカル・サイエンス入門』  (法律文化社、2020年)  978-4-589-04100-5
伊藤光利(編)  『ポリティカル・サイエンス事始め』[第3版]  (有斐閣、2009年)  978-4-641-18372-8
砂原庸介、稗田健志(ひえだたけし)、多湖  淳(たごあつし)  『政治学の第一歩 新版』  (有斐閣、2020年)  978-4-641-15078-2
羅  芝賢(ナ・ジヒョン)、前田健太郎  『権力を読み解く政治学』  (有斐閣、2023年)  978-4-641-20008-1
秦  正樹  『陰謀論 民主主義を揺るがすメカニズム』  (中公新書、2022年)  978-4-12-102722-1
高橋澪子  『心の科学史 西洋心理学の背景と実験心理学の誕生』  (講談社学術文庫、2016年)  978-4-06-292383-5
酒井大輔  『日本政治学史 丸山眞男からジェンダー論、実験政治学まで』  (中公新書、2024年)  978-4-12-102837-2
宇野重規  『民主主義とは何か』  (講談社現代新書、2020年)  978-4-06-521295-0
内山奈月、南野  森(みなみのしげる)  『憲法主義 条文には書かれていない本質』  (PHP文庫、2015年)    978-4-569-76480-1
加藤秀治郎  『日本の選挙 何を変えれば政治が変わるのか』  (中公新書、2003年)  978-4-12-101687-4
細谷雄一  『国際秩序 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ』  (中公新書、2012年)  978-4-12-102190-8

授業内容に関連するトピックは、基本的に上記の参考書から提供します。  さらに理解を深めたい人は、図書館で参照してください。

フィードバックの方法
Feedback Method

・アンケート、課題、小テストについては授業時に、またLMS上で解説を行ないます。
・興味深い見解については、個人情報を伏せた上で授業や資料で紹介することがあります。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

オフィスアワー
・授業の前後に直接対応します。
その他
・LMSの「メッセージ」機能で連絡してください。メッセージ機能を利用する際は、「メッセージをメールでも送信」にチェックが入っていることを確認してください。メッセージ送信が担任者にメールで通知されるので、少しでも速く対応することができます。

こんなしょうもないこと訊いてもええんかな……」と思うようなことが、案外重要な内容を含んでいることがあります。質問は遠慮なく投げてください。

備考
Other Comments

・原則として図表を提示するとき以外はプレゼンテーションツール(PowerPoint、Keynote  etc.)を使用せず、板書で授業を進めますので、第2回以降はノートを持参してください。
・政治への関心や特別な知識がなくても、受講にはまったく支障ありません(さすがに「衆議院の優越」のような、中学レヴェルの知識があやしいと厳しいですが……)。むしろ、なまじ「政治に関心がある」ことは、政治「学」に取り組む上では有害(?)であるとすらいえます(一政治学者としての担任者個人の見解です)。よって、「政治のことはわからない」「政治には関心が持てない」という人をこそ歓迎します。逆に、今の政治について物申したいと思っているような、政治に関して「意識の高い」人は、謙虚に学ぶ姿勢で臨んでいただきたいと思います。
・私語等の迷惑行為については、学生証を没収し、退室を指示します(学生証の返却についてはインフォメーションシステムの「個人伝言」を参照してください)。該当する人については、以後の授業への出席、定期試験の受験を認めません(受験した場合は、到達目標を満たしていたとしても評価は不可=0点とします)。
・担任者の研究内容等については、個人ウェブサイト「@ykmr75    |    Portal」(https://www.ne.jp/asahi/ykmr75/portal/)を参照してください。

関連する共通教養科目(2024年度に開講された科目から):「政治学と21世紀社会」「メディア・リテラシー入門」「現代社会とジェンダー」