- 学部・研究科
Faculty/Graduate School - 経/商/社/ビ/シ/環/化
- 時間割コード
Course Code - 00523
- 科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle - 宗教学を学ぶ
- 授業形態/単位
Term/Credits - クラス
Class -
- 春/2
- A
- 担任者名
Instructor - 磯 忠幸
- 曜限
Day/Period - 水4
- 授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives -
授業種別 / Teaching Types
講義(対面型)
言語 / Language
日本語(Japanese)
授業概要 / Course Description
わたしたちは「宗教」についてどのようなイメージをもっているでしょうか。たとえば、「正しい生き方の道しるべ」や「社会的生活の秩序のガイダンス」であったり、いわば「道徳的」「倫理的」なイメージもあるでしょうし、「心のよりどころ」だとか、願い事や祈りをききとどけてくれる「カミさま」を中心にした「信仰」だとかというイメージもあるでしょう。あるいは、日常生活とは相容れない考え方や行動を強制したり、怪しげな勧誘をしたりと、きわめてネガティブなイメージもあるでしょう。
この講義では、様々な宗教現象のトピックスを提示しつつ、それらを宗教研究(「宗教学」やその隣接分野である「社会学」「心理学」「文化人類学」など)の基本的な概念や理論と関係づけながら、考察します。受講生のみなさんには、「宗教に対する一般的なイメージ」をいったん保留してもらって、講義内容の理解を通じて、「宗教」(宗教的なもの)について考えるための柔軟で多様なパースペクティブを身につけてもらいたいと考えています。到達目標 / Course Objectives
①知識・技能の観点
「宗教学」がどのような研究分野なのかを理解できる。
②思考力・判断力・表現力等の能力の観点
「宗教学」が問題としている主題とその学説について、基本的な理解ができる。
③主体的な態度の観点
受講以前に漠然と抱いていた「宗教」についての一般的なイメージを学術的に見直すことができる。授業手法 / Teaching Methods
・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
- 授業計画
Course Content -
授業計画 / Course Content
第1回 「宗教学」とは何を研究しているのか?
宗教学とは「宗教を学ぶ」分野であるが、それは、たとえば仏教やキリスト教などの特定の各宗教について学ぶということなのだろうか。そうした宗教の「教え」や「(信仰)行為」を知ることなのなのだろうか。「一般的な宗教(全般)」について考察することなのだろうか。初回は導入として、「宗教学」が何をどのように研究し、どのような研究構成になっているのかを、細分化された各分野にまで言及しながら、俯瞰してみる。
第2回 日本人は「無宗教」なのか?
アンケート調査によれば、日本では「宗教を信じる人(特定の宗教を信仰している人)」は少ないのに、「宗教心を大切に思う人」は多いという、矛盾した結果が現れる。この矛盾した結果の背後にこそ、「日本人は無宗教だ」という言説が生成する理由があると考えられている。今回の講義では、わたしたちが抱く「宗教」イメージと社会の変化とを関連づけながら、日本人の「無宗教」の内容を考えてみる。
第3回 世俗化論―宗教は衰退しているのか?
1960年代、宗教研究では「近代化が進むと宗教は衰退する」という説が有力であった。いわゆる「世俗化論」である。欧米では、実際の調査によると、世俗化を示すと判断可能な結果が出ているが、イラン・イスラーム革命に顕著なように、イスラーム世界では、世俗化とは逆の事象が生じている。宗教研究の世俗化論についての議論を追いながら、宗教は世俗化して衰退しているのか、そうではないのか、について考えてみたい。
第4回 聖地・聖域の構造
第5回 巡礼の構造―日常性からの離脱
ほとんどの宗教には「聖なる場所」としての「聖地・聖域」が設定されている。そうした聖地・聖域はどのように特別で、どのように構成されているのかを第4回講義で分析してみる。第5回講義では、そうした聖地・聖域へ旅する「巡礼」の構造について考えてみる。
第6回 どんなお葬式がお望みですか?(1)―葬送儀礼の意義について考える
第7回 どんなお葬式がお望みですか?(2)―日本におけるお葬式の形態の変遷について
わたしたちにとって最も身近な宗教儀礼のひとつは葬送儀礼(お葬式)であろう。第6回では宗教研究が葬送儀礼をどのように論じているのかを概説し、第7回では日本におけるお葬式の変遷を追いつつ、少子高齢化が進み、「終活」が推奨される現代社会における「お葬式」の意味づけを考察する。
第8回 カルト(1)―「カルト」とは何か
第9回 カルト(2)―「地下鉄サリン事件」と「千石イエス事件」
第10回 カルト(3)―「人民寺院事件」
宗教についてネガティブなイメージを持つ最大の理由は、いわゆる「カルト」の存在であり、「カルト」が起こした様々な事件であろう。いくつかの「カルト」の事例を紹介しつつ、宗教研究が「カルト」をどのように論じてきたのかを検討し、「カルト」の様相とカルトに対する「わたしたち」の態度との関係を考察する。
第11回 超常現象や幽霊はどう扱えばいいのか?
第12回 占いはあたるのか?―占いの思考モードについて
わたしたちは、合理性に基づいた近代科学的な世界に生きているということを自覚しながらも、都市伝説(ネット怪談)、心霊現象、ホラーといった怪異的でオカルティズムなものに惹かれてしまう。同時に、パワースポット、霊性、精神世界といった癒やし系のスピリチュアルなものへも惹かれてしまう。また、占いをついつい気にしてしまう。こうしたことをわれわれはどう考えればいいのか、いくつかの事例やその背景となっている考え方を考察しながら、こうした事態を読み解くためのパースペクティブを示してみたい。
第13回 医療の場に宗教の役割はあるのか?―ターミナルケアの試み―
キューブラー・ロスによる『死ぬ瞬間』は、ターミナルケア、グリーフケア、死生学に大きな影響を与えた名著である。『死ぬ瞬間』を手がかりにして、西洋近代医学にいおいてスピリチュアリティが求められる場とその背景、それが果たす役割と有効性について考えてみたい。
第14回 イスラーム世界について考えてみる―イスラームについてのイメージとイスラーム主義
わたしたちは、「イスラーム」についてあまり関心がないか、ほとんど何も知らず、あげくは「テロ」と短絡的に結びつけてしまいがちである。そこで、今回の講義は、イスラームについてもう少し知り、関心を持ってもらうということを目的として、今日のイスラーム世界では、宗教と社会との関係おいて、何がどのように問題になっているいるのかを、「イスラーム主義」をキーワードに概観してみたい。
第15回 宗教を定義することは可能なのか?
これまでの講義回の内容をもとにして、「宗教とは何か」という問題設定自体を再検討することで、講義全体をまとめてみたい。授業時間外学習 / Expected work outside of class
予習として、各講義の主題に関して、予備知識として概要を調べておいてもらえると、講義内容が理解しやすくなると思います。
各回の講義は、全体として相互連関するものの、各回の主題の内容はそのつど完結することになっています。それゆえ、復習として、少なくとも提供する「講義内容プリント」を精読して、各回の受講後にその講義回の内容の理解を深めるだけでなく、その講義回の内容が講義全体の中でどのような意義を持つのか全体的な関連を把握するように心がけて下さい。
- 成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria -
方法 / Grading Policies
定期試験(筆記試験)の成績と平常成績で総合評価する。
筆記試験70%
講義で課せられる課題など 30%基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy
①各主題で取り上げた事象がどのような概念と結びつき、どのようなコンテキストで問題になっているのかを理解できているか。
②各主題で取り上げた内容を受講者自らの関心・興味や経験などと関連づけて考察し、それを論理的に説得力をもって論述表現できているか。
- 教科書
Textbooks
教科書は使用しません(LMSで提供する「講義内容プリント(PDFファイル)」を教科書だと考えて下さい)。必読文献がある場合、その都度に講義で指示する予定です。
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参考書
References 柳川啓一 『祭と儀礼の宗教学』 筑摩書房 ISBN4-480-84170-9 C0014
各主題に関しては、その都度に講義で紹介する予定です。
- フィードバックの方法
Feedback Method 課題提出を求めた場合、提出された内容について、講義時間内で講評したり、LMSで応答したりする予定です。
定期試験として行う筆記試験(論述試験)の論述形式や内容については、適切な時期に解説する予定です。
- 担任者への問合せ方法
Instructor Contact 授業日の授業前後に講師控室か教室で対応します。あるいはLMSのメッセージ機能を使って対応します。
- 備考
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