2025 年度の講義概要のデータベースを検索します。カリキュラムツリーへのリンク
学部・研究科
Faculty/Graduate School
経/商/社/ビ/シ/環/化
時間割コード
Course Code
00595
科目名
Course title
サブテーマ
Subtitle
今日の道徳的ディレンマ
授業形態/単位
Term/Credits
クラス
Class
/2
B
担任者名
Instructor
後藤 博和
曜限
Day/Period
火4
授業概要
Course Description
到達目標
Course Objectives

授業種別 / Teaching Types

講義(対面型)

言語 / Language

日本語(Japanese)

授業概要 / Course Description

 人類は太古の昔から、動物たちと様々なしかたで関わりながら生きてきた。それゆえ、神話・宗教をはじめとする世界各地の伝統文化は、多かれ少なかれ、そうした関わりの「あるべきかたち」についての指針を含んでいた。しかし、世俗化が進む過程でこうした倫理的指針は形骸化してしまった。その結果、現代社会にあっては、様々な分野で空前絶後の動物虐待が行われており、「動物大好き」と自認する多くの人々も、そうした虐待行為とまったく無縁でいることは難しい。たとえば、ペットショップで生きたぬいぐるみのようなかわいらしい子犬を買う、おしゃれなファーを身にまとう、新発売の化粧品や衛生用品を使う、スーパーで格安の肉を買う――こうしたことがすべて間接的に動物虐待に手を貸しているとしたら、われわれはどうしたらよいのだろうか?
 本講義では、まず、サルからヒトへの進化の最終過程で成立した「人と動物の絆」が現代社会で失われてしまったことの問題性を押さえたうえで、現代日本の抱える動物問題の中で、ペット、動物実験、羽毛・毛皮産業、動物園・水族館の諸問題を論じる(序論・第1章)、次いで東西の伝統思想において動物がどう捉えられていたかを概観して、捕鯨論争における文化摩擦的側面を考察する(第2章)、次に、現代社会における動物問題に取り組む倫理学の諸潮流を紹介し(第3章)、そこで問題視されているトピックの中から、とくに工場畜産を取り上げる(第4章)。最後に、食の問題を広くとらえなおして、われわれ人間のいのちと、動物のみならず植物も含む他のいのちとのあるべき関わりについて考える(第5章)。

到達目標 / Course Objectives

(1)動物問題を切り口にして、西洋倫理学の基礎理論を理解する。
(2)犬肉食や捕鯨の問題を通じて、自文化中心主義の弊害を理解する。
(3)古今あるいは東西の動物観/人間観の違いを学んで、複眼的思考を身につける。

授業手法 / Teaching Methods

・教員による資料等を用いた説明や課題等へのフィードバック
・学生同士の意見交換(グループ・ペアワーク、ディスカッション、ディベート等含む)

授業計画
Course Content

授業計画 / Course Content

第1回  序論「ヒトは他の動物とどう関わってきたか」
第2回  第1章「空前のペットブームの陰で」(1)─ペット問題─
第3回  第1章「空前のペットブームの陰で」(2)─動物実験、羽毛・毛皮産業、動物園・水族館─
第4回  第2章「東西の伝統的動物観と捕鯨論争」(1)─西洋の動物観─
第5回  第2章(2)─東洋の動物観─
第6回  第2章(3)─捕鯨論争─
第7回  第2章(4)─捕鯨論争(続)─
第8回  第3章「動物倫理学の登場」(1)─動物愛護運動の歴史─
第9回  第3章(2)─アニマルウェルフェア─
第10回  第3章(3)─動物解放論─
第11回  第3章(4)─動物権利論─
第12回  第4章「工場畜産と哲学的ヴェジタリアニズム」(1)─肉食の歴史─
第13回  第4章(2)─工場畜産─
第14回  第4章(3)─哲学的ヴェジタリアニズム─
第15回  終章「食の倫理の再構築に向けて」

授業時間外学習 / Expected work outside of class

(1)毎回、復習として、授業資料・板書ノートを読み返し、要点を整理するとともに、意見・感想をメモ書きし、また疑問点を洗い出しておくこと。これがミニッツペーパー作成の際に生きてくる。(目安:30-60分)
(2)毎回、予習として、各章ごとに指示する参考文献・WEBサイト・視聴覚ソフトにできるだけ多く当たること。(目安:120-150分)
(3)欠席した際は、LMS上に掲載される授業資料を熟読した上で、前後のつながりなどわからない部分があれば整理しておき、授業後に質問すること。

成績評価の方法・基準・評価
Grading Policies /
Evaluation Criteria

方法 / Grading Policies

定期試験を行わず、平常試験(小テスト・レポート等)で総合評価する。
レポート(70%)とミニッツペーパー(30%)

基準・評価 / Evaluation Criteria・Assessment Policy

レポートでは、授業で扱った諸問題の中から各自の関心に合わせてテーマを設定して書いてもらうが、評価のポイントは(1)授業の理解度、(2)論述構成の論理性と説得力(各50%)。ミニッツペーパーは、授業の理解度を中心に3ランクに分け、最終的に点数に換算してレポートの評点に加算する。

教科書
Textbooks


使用しない。代わりに、毎週、LMS上に授業資料を掲載する。

参考書
References

伊勢田哲治  『動物からの倫理学入門』  (名古屋大学出版会)  978-4-8158-0599-9
デヴィッド・ドゥグラツィア  『動物の権利』  (岩波書店)  4-00-026865-1
ローリー・グルーエン  『動物倫理入門』  (大月書店)  978-4-272-43098-7
井上太一  『動物倫理の最前線』  人文書院  978-4-409-03115-5

他にも多数ある。各章ごとに「参考文献等」としてWEBサイトや視聴覚ソフトとあわせて配布プリントで紹介する。

フィードバックの方法
Feedback Method

ミニッツペーパーに記された質問については、全体化して答えるのがよいと判断したものに絞り、次回授業の冒頭で答える。それ以外の質問は授業後に個別に答える。すぐれた意見・感想についても、次回授業冒頭で紹介し、コメントする。

担任者への問合せ方法
Instructor Contact

オフィスアワー:授業後に対応する

備考
Other Comments

私はこの授業の後は空いているので、質問のある人は遠慮なく授業後に尋ねてほしい。